2022.03.18
ド素人でも「すごい絵」が簡単に描ける!3大秘訣|「椅子の脚」など「難しい題材+部分」も描ける!
キスラー式メソッドで、「椅子の脚」や「ブーツ」など、実際のモチーフを取り上げながら、絵の「難しい部分」を上手に描くコツを解説していきます(出所:『誰でも30分で絵が描けるようになる本』)。
世界で最も人気のある著名な絵画講師のひとりで、アメリカの大人気番組『マーク・キスラーのイマジネーション・ステーション』の司会を長年、務めるマーク・キスラー氏。
優れたテレビ番組、テレビ業界の功績に与えられる、最も権威ある文化賞のひとつ「エミー賞」も受賞し、2011年に出版した初の著書『You Can Draw in 30 Days』(未邦訳)は、世界中で大ベストセラーとなるほど人気を博している。
そのキスラー氏がこの度、前著をさらに進化させた「超時短30分バージョン」として、「キスラー式メソッド」をすべて1冊に凝縮した『誰でも30分で絵が描けるようになる本:たった「4つのステップ」で、驚くほど絵が上手くなる!』を上梓した。
「わかりやすく」「親しみやすく」「ユーモアに満ちた」解説が添えられた本書は、キスラー氏にとって待望の初の日本語の訳書で、日本でもたちまち4万部を突破するベストセラーになり、話題を呼んでいる。
「誰でも30分で絵が描けるようになる!」という「キスラー式メソッド」はどんなものか。本書の内容を再編集しながら、「絵の『難しい部分』を上手に描くコツ」について解説する。
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数万人に「絵の描き方」を教えてわかったこと
学校の美術の時間に「遠近法」を学ぶ目的で、「室内風景」を描いたことがあるという人も多いかもしれません。リビングに欠かせない「椅子」は多くの人が「描くのが難しい」と感じるモチーフで、とくに「脚」が難関のようです。
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私の「30分方式」のレッスンでは、「椅子の脚」のように「とくに難しいところ、わかりにくいところの解説」に力を入れ、上手に描くための「ヒント」や「テクニック」をふんだんに盛り込んでいます。
それは、全米のみならず世界各国を訪れ、数万人の大人や子どもに向けて「絵の描き方」を教えてきた私の経験から生まれたアイデアです。
鉛筆を持つ手が止まってしまうようなときは、「この方法なら描ける」というヒントを授け、「絵を描くコツ」さえつかめば、誰もが楽しく絵を描くことができると感じてきたからです。
だから、「絵を描きたいけれど、上手に描ける自信がない」という人も、「この題材は、いままで上手く描けたことがない」という人も、「キスラー式メソッド」を試していただければ、「こんな方法があったのか!」と嬉しい発見があるはずです。もちろん、「これまで絵なんてまともに描いたことがない」という人でも大丈夫です。
「椅子の脚」や「ブーツ」など、実際のモチーフを取り上げながら、絵の「難しい部分」を上手に描くコツを解説していきます。
私の「30分方式」のレッスンでは、はじめに絵の題材を身近な「基本図形」に分解して「設計図」を描きます。
椅子の座面は楕円形、脚、背もたれ、背柱など、そのほかの部分はすべて長方形で、基本図形は簡単に見つかります。
椅子を描くうえでいちばん難しいのは、「正しい比率」で脚を描くことです。
「絵の中の長さ」を比較するのがコツ
【コツ(1)】「即席定規」で「目安枠」をつくる
そこで私は次のように考えてみました。椅子を「目安枠」のなかに入れてしまうのです。そうすれば脚があっちこっちに飛び出すこともありません。
目安枠をつくるのに定規が必要ですが、手元になければ、まっすぐな紙切れの端に等間隔の目盛りを打てば簡単につくれます。自分の小指の幅をひと目盛りとして8つほど目盛りを打ち、数字を書き込めば「即席定規」の完成です。
この即席定規を使って、縦線が横線の2倍くらいの長さになる長方形を描きます。絵を描くための小さな方眼紙をつくるのです。そして、即席定規の目盛りに沿って、縦線と横線に目盛りと数字を書き込みます。
縦線の長さは、小指の幅のおよそ7倍、横線の長さは小指の幅のおよそ4倍にします。これを使えば、互いの長さを比較しながら、それぞれの脚の長さを決めることができます。
絵の中の大きさを決めるコツは、次のとおりです。
・座面の楕円形は縦線の上から3つめの目盛りの下あたりに配置します。
・背もたれの高さは「最も長い脚」の長さの3分の1以下にします。
・「左手前の脚」が最も長く、最も低い位置になります。
・「右奥の脚」が最も短く、最も高い位置にします。
目安枠のなかに椅子の「設計図」を配置した図。椅子の脚は実際には平行ではないので、少し外側に広がるようあとで調整する(出所:『誰でも30分で絵が描けるようになる本』)
このように、各パーツが目安枠のどこに位置すればいいのかを確認しながら描くことで、バランスの整った椅子を描くことができるのです。
絵の題材として「ブーツ」などの靴も、難しいと感じる人が多いのではないでしょうか。
ブーツを描くときに最も苦労するのが、「ブーツの足の角度」と「各パーツの相対的な大きさ」です。私の考えた簡単に描くコツを紹介します。
【コツ(2)】「時計の針」で角度を考える
ブーツの基本図形を考えてみましょう。足を入れる部分を「ブーツの口」、ブーツの高さに当たる部分を「シャフト」、下の部分を「ブーツの足」と呼び、順に楕円形、長方形、大きな楕円形で描くことができます。
「ブーツの足」は「シャフト」に対して角度がついています。この角度を時計の針に置き換えて考えてみましょう。
すると、一方の針(シャフト)は12時を、もう一方の針(ブーツの足)は7時と8時の間を指しています。横に時計の絵を描いて針を描き入れ、その角度を写し取ってもいいでしょう。
「時計の針」を描いたら、その上に基本図形の長方形と楕円形を配置していきます。針は楕円形(ブーツの足)と長方形(シャフト)のちょうど真ん中を通っているので、図の配置だけでなく、幅を決める目安にもなります。
「時計の針」を最初に描いて角度を決め、その上に楕円形と長方形を配置した「ブーツの設計図」(出所:『誰でも30分で絵が描けるようになる本』)
「ブーツ」2つめの難関を解決するヒント
【コツ(3)】「相対的な大きさ」を身近な道具で測る
絵を描くうえで大切なのは、それぞれのパーツの相対的な大きさが実物とマッチするように正しい比率で描くことです。ブーツを描くときのテクニックを次に紹介します。
・「ブーツの口」の幅を、ほかのパーツの大きさを決める目安にします。
・「シャフト」の高さは、「ブーツの口」1つ分より少し長くします。
・「ブーツの足」の長さは、「ブーツの口」2つ分より少し短くします。
・「ブーツの口」の代わりに、コインの幅を基準にしてもよいでしょう。
ツを描くときに、絵の中の「相対的な大きさ」を実物の比率に合わせたように、画家は「描こうとするパーツ」を目で測るときには、ほかの部分と比較しながら見ています。
たとえば、頭と胴体を描きたいのなら、胴体が「頭いくつ分」なのかを考えることが大切です。「ペンギン」を例にすると、「体の長さは頭5個分以上」「頭の幅は体のおよそ半分を目安」にすると、ちょうどよいバランスで描くことができます。
このとき、大きさを決める基準として「自分の指」をメジャー代わりにすることができます。
ペンギンの頭が小指1本分の幅だとすると、「くちばしの先端は頭から小指1本分の場所」「手前に見えている足の長さは小指1本分、後ろ側の足はもう少し短く」という具合に、細かい部分まで大きさを比較しながら描くことが可能になります。
「ペンギン」の頭を小指1本分の幅で描くとき、くちばしの先端を頭から小指1本分の場所にすると上手く描ける(出所:『誰でも30分で絵が描けるようになる本』)
指と同様に、鉛筆やペンもその幅を利用してメジャーとして使えます。
私の『誰でも30分で絵が描けるようになる本』のレッスンでは、このように絵のパーツに特定の「大きさ」を指定することがありますが、そうして描くうちに「絵の中のそれぞれのパーツの大きさは互いに相関関係にある」ということを意識して描く視点が身につくようになります。
「コツ」を使いこなすうちに絵が上達
「椅子の脚」や「ブーツ」のように、多くの人が「難しい」と感じる題材も、キスラー流の「コツ」を押さえれば上手に描けることがおわかりいただけたでしょうか。しかも「特別な道具」は必要なく、誰でもできるアイデアばかりです。
あれこれ考えて、「本当に自分に描けるのか?」なんて悩んでいるうちに、創作意欲がしぼんでしまうのは、本当にもったいないことです。
私の「コツ」をどんどん活用して使いこなすうちに、自分が「描きたい」と思うものが次々と描けるようになっているはずです。
「30分方式」を通して、絵を描くことに対する恐怖心から解き放たれて、たくさんの人が「気軽に楽しく」絵を描く方法を学んでほしいというのが、私の何よりの願いなのです。
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提供元:ド素人でも「すごい絵」が簡単に描ける!3大秘訣|東洋経済オンライン