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2022.03.15

燃えるゴミは3カ月に1度しか出さない人の「末路」|ゴミを減らしたら増えていく「意外なもの」


仕事柄、雑誌やゲラ入りの大型封筒が送られてくるので、古紙回収に出す前に型紙を使って小さな封筒にリメイクするのが人生の中でかなり上位の楽しみ(写真:筆者提供)

仕事柄、雑誌やゲラ入りの大型封筒が送られてくるので、古紙回収に出す前に型紙を使って小さな封筒にリメイクするのが人生の中でかなり上位の楽しみ(写真:筆者提供)

疫病、災害、老後……。これほど便利で豊かな時代なのに、なぜだか未来は不安でいっぱい。そんな中、50歳で早期退職し、コロナ禍で講演収入がほぼゼロとなっても、楽しく我慢なしの「買わない生活」をしているという稲垣えみ子氏。不安の時代の最強のライフスタイルを実践する筆者の徒然日記、連載第48回をお届けします。

「エコは金がかかる」のか?

さて前回まで、エコであることを人生の目標に掲げれば、自動的に、そして我慢も敗北感も何もなく、実に元気にホクホクと「お金を使わない暮らし」を満喫せざるをえなくなるということを書かせていただいた。

稲垣えみ子氏による連載48回目です。

稲垣えみ子氏による連載48回目です。

この連載の記事はこちら ※外部サイトに遷移します

ちなみに、世の中にはエコに対してそれとは真逆のイメージ、すなわち「エコは金がかかる」あるいは「所詮は金持ちの道楽」などと思っておられる方も決して少なくないように思う。

これはおそらく、エコな製品は高い、というところから来る印象ではないだろうか。

確かに、一般的に言って「エコ系」な製品は値段が高めである。例えば食品で言えば、無農薬や減農薬の米や野菜、昔ながらの製法で造られた調味料や加工食品などは、「てまひま」が値段に反映されている分、当然高くなる。無農薬の綿花を使った衣類なども同様だ。

なので、わざわざそういうもの選んで買うことができるのは「結局はオカネモチだよね」と考える人がいてもおかしくないように思える。

で、本当にそうなのだろうか。

私はどうかと言えば、確かに単価が高めのものもよく買っている。豆腐は近所の豆腐屋で作りたてを買うので一丁150円。スーパーの豆腐は100円以下のものも珍しくないので確かに高いと言えよう。

納豆もパック入り、タレ入りのものはプラゴミが出すぎるので、タレもなく容器も簡易な高級納豆を買う。90グラム160円。一般的な納豆は3パック(計130グラム前後)100円以下も珍しくないからこれも高い。

米は近所の米屋で2キロ1000円弱の減農薬玄米を買う。スーパーでは5キロ1500円のコメもあるのでやはり高め。油もゴマ油とオリーブ油を使用しているので、サラダ油より確実に高い。

でもですね、だからと言って私が「カネのかかる暮らし」をしているのかというと、これはもうまったく笑っちゃうくらいそうなっていないんである。

何しろここ7年ほど食品ロスというものをまったく出さない生活をしており、となると、そもそも買う食材の量が圧倒的に少ないのだ。こんな「高級食材」を買っても、1日に平均したら食材に払うお金は数百円程度。

洗剤もエコな「高級品」を買っているが、そもそもどんなにエコだろうが洗剤が水を汚すことには違いないと思うと非常にチビチビと使わざるをえないので、数年前に買ったものがまだ残っている有様である。洋服は主に友達からもらうのでそもそも滅多に買わない。

ってことで、エコも何も考えていなかった過去の自分と比べると、もうまったくお話にならないほど支出が少ない。

これは我ながら、ものすごく感慨深い事実である。

何しろずーっと長い間、少しでもおトクな暮らしをしようと、そのためにはできるだけおトクなものを買おうと絶え間なく頑張ってきた。スーパーの店頭やネットで価格を比較して、同じものなら可能な限り安いものを買うべく労力を費やした。でもそれほど努力しても、なぜかお金はいつの間にやらなくなってしまうのである。

安いものを買っているのに、お金が貯まらない理由

その原因が、今のような暮らしを始めてようやくわかったのだ。

お金がいつの間にかなくなってしまうのは、単価が高いものを買っているからではなくて、安かろうが高かろうが「量」を買ってしまうからだったんじゃないだろうか?

いや、考えてみれば、高いものをたくさん買うなんてことは現実にはほとんどない。安いものを一生懸命選んで買っているからこそ、つい「たくさん」買ってしまうのだ。

っていうか、そもそも「お徳用」商品は量が多いのである。「5000円以上買えば送料無料」とかも同様。お得と言われると、必要かどうかにかかわらずたくさん買ってしまう。言い訳は「腐るわけじゃないし、いつか使うから大丈夫」。

でもですね、私の経験から言えば、そんな「おトク」な製品を買う癖が身についてしまうと結局は毎日のようにおトクな製品を買っちゃうわけで、「いつか使う品」がエンドレスに増え続けることになる。つまりは、その「いつか」なんて永遠に来ないのだ。

片付け本の名著『人生がときめく片づけの魔法』には、片付けを依頼された家で遭遇する大量のストック品に驚く著者の様子がつづられている。

歯ブラシ60本、ラップ30本、トイレットペーパー80ロール、綿棒2万本……こうなるとたぶん、これを使い切る日は永遠にこないであろう。なぜなら使う分を上回る勢いで「補充」されていくことはほぼ確実だからだ。おトクなものを一生懸命買った結果、お金も品物も無駄にしてしまうという、実に矛盾した結果を招いてしまう人が決して少なくないことがよくわかる。

しかもおそらく本人は「頑張っている」つもり満々なので、その悲しい矛盾になかなか気づくことができない。

いや……なんという恐ろしい現実だろう!

でも大丈夫。ここで登場する強力な助っ人がエコなのだよ。

エコであるということは、一言でいえば「ものを無駄にしない」ということだ。モノもエネルギーも、できるだけ少ないものを大切に使い続けて生きる。

クルマにたとえるなら、ガソリン1リットルで地球を3周くらいしちゃうようなウルトラ燃費のいいクルマになるようなもんで、となれば当然、ガソリン代なんてほとんどいらないわけでして、ヒトとてそれと同様、エコを極めていけばいくほど、単価が多少高かろうが、お金を使わない方向になっていかざるをえないのである。

そう肝心なのは、買うモノの単価を下げることではなくて、買うモノの量を少なくすること。その発想の転換とアイデアをひねり出す上で、エコであろうとすることは最も単純で強力なモチベーションになる。

「消耗品」をほぼ購入しない家

ということでまたも前置きが長くなってしまったが、いよいよ、私がそのモチベーションの下でどれほど少ないモノでキャッキャと暮らすことに成功しているかの一例をお示しさせていただこうと思う。

まず、わが家では「消耗品」というものをほぼ購入しない。

ちなみに消耗品とは何かというと……と書こうとして、もう6年以上消耗品を買っていないのでそもそもそれが何だったかを忘れてしまったことに気づく。なので慌ててネットを検索し、とある主婦の節約ブログを参考に、その一覧を拾ってみた。

シャンプー、リンス、化粧品類、ティッシュ、トイレットペーパー、食器用洗剤、洗濯用洗剤、ハンドソープ、ボディーソープ、ラップ、アルミホイル、歯ブラシ、歯磨き粉、トイレ掃除洗剤、パイプ掃除洗剤、ゴミ袋、ハイター、日焼け止め、虫除け、フローリング掃除用洗剤、防虫剤、消臭剤、油汚れ用洗剤、お風呂カビ取り、スポンジ

ちなみにこれは節約ブログを参考にしたので、一般の人よりはかなり「少なめ」なリストであると思われる。

で、これを参考に私の消耗品をリスト化してみると、

トイレットペーパー、洗濯用洗剤、重曹、クエン酸、歯ブラシ

以上である。

こう書くと、我ながら改めて感慨深い少なさだ。これでは金を使わないのも道理である。

で、これで不自由しているかというと、やってみれば特に何の不自由もなし。

前にも書いたが、シャンプーもボディーソープも歯磨き粉もなくとも何の支障もないし、スポンジなどなくともすべての拭き掃除は手縫いの雑巾1枚で片付く。衣類用以外の洗剤は、重曹とクエン酸さえあればオッケー。

っていうかそもそも大体の汚れは水で解決するので重曹もクエン酸も半年に一度ほど、プラごみ節減のため百均ではなくドラッグストアでたっぷりサイズのものを買うのみ。ちなみにドラッグストアへ行くのはこの2つを買う時だけだ。化粧品もシャンプーも洗剤も買わないとなれば、行く用事がまったくないのである。

でも東京にはとにかくやたらとたくさんのドラッグストアがあるので、普通の人はいろいろと買うものがあるのだろう。それを見るにつけ、自分がいかに「普通じゃなくなった(買わなくなった)」かを思って密かにグフフとほくそ笑まずにはいられません♡

トイレットペーパーは1ロールで2カ月

ちなみにトイレットペーパーは近所の古い「何でも屋さん」で買うのだが、これも、使い捨てをできるだけ減らしたいという強迫観念が積み重なった結果、一度に使う分量を「20センチ程度」と決めている。もちろん二重ロールのふわふわのものではなく一重でぎっちり巻いたやつだ。なので1ロールなくなるのに2カ月ほどかかる。

無論、トイレットペーパーなどさして高いものではないので大したお金の節約になるわけでもなんでもないが、そういう問題じゃなく、「無駄に使わない」ことがただ気持ちいいのである……と思っていたら、初期のコロナ騒動でトイレットペーパーが店頭から消えたとき、パニックになる世間とはまったく無縁な自分に気づき、これは案外最先端の生活ではと思うに至った。

何が起きるかわからない時代だ。お金などいくら持っていたところで災害だの戦争だので交換するものがなくなればどうしようもない。どんな時であっても間違いなく頼りになるのは自分のスキルである。少ないものでやりくりできる能力こそは最高の危機管理と言えよう。まさに買わない生活最強である!

ラップ類は、冷蔵庫を手放した時点で用無しとなった。だって食品を保存しない(できない)わけですから、そもそもラップが登場する隙間がない。というか、正確に言えば食材は「干す」か「漬ける」かで保存しているので、どうやってもラップに頼る場面がないのである。

ちなみにこの「干す」「漬ける」は冷蔵庫と違ってほぼ「永久保存」が可能なので、私は冷蔵庫&ラップと縁を切ってから食材を無駄に腐らせることが一切なくなった。ってことは冷蔵庫&ラップこそが食品ロスの大元ってこと……? いやほんと、世の中どうもこんがらがってますな。

そんなこんなで私は消耗品、すなわち「使い捨て」の品を使い続ける人生の永遠のサイクルから一人抜け出して、涼しい顔をして生きている。無駄なお金を使い続けることもなく、無駄なものを家の中に溜め込むこともなく、しかも生活の質は上がっている。何度でも繰り返すがいいことしかない。それもこれも、エコを人生の目標としたおかげである。

で、このような生活になると何が起きるのかというと、ゴミの量が圧倒的に減るのだ。消耗品を買わない、すなわち「使い捨てない」生活なのだから当然と言えば当然だが、燃えるゴミは3カ月に一度出せば十分というわが現実を目の前にすると、さすがに我ながら驚いてしまう。

だって「普通の暮らし」をしていた頃は、週に2回のゴミ出しに必死だったんですよ。不規則な仕事をしていたので、帰宅が明け方とかになるとゴミ出しの時間に起きるのが大変で、うっかり寝過ごそうものならゴミ箱がパンパンに溢れて収拾がつかなくなると恐れていた。

ゴミを買うために働いていた?

ありゃ一体何だったのだろう。どうしてあんなにエンドレスにゴミを出し続けていたのだろう。つまりは私はゴミを買って生きていた……のか? そのために、つまりはゴミを買うために必死こいて働いていたんだろうか?

そうだったのかもしれない。

先日、芸能活動のかたわらゴミ清掃員として都内を回る、お笑いコンビ「マシンガンズ」の滝沢秀一さんにお会いする機会があった。滝沢さんも私と同様に「ゴミを減らすこと」に取り組んでいて、その話題で一気に意気投合したんだが、印象深かったのは、滝沢さんがゴミの削減に取り組み始めたきっかけが「お金持ちになりたかったから」という一言である。

というのも、ゴミ収集をしていて否応なく気付いたのが、お金持ちが暮らす地域のゴミが圧倒的に少ないのに比べて、普通の地域で出るゴミの呆れるほど多いことだったからだ。ろくに着ていない袋いっぱいの服、手つかずのコメ袋やピザ、何に使ったか不明だが大量のプラスチックの収納箱――。

収集に追われながら、これって……みんなゴミを買ってるんじゃないのか? と、自分の生活を振り返ったという。

本当に必要なもの、本当に欲しいものだけを買って長く使うのがお金持ち。ならば自分もそうすれば、つまりはゴミを減らせばお金持ちになれるのでは……?

私、思わずウンウンと大きくうなずいてしまいました。

少なくとも私の場合は、ゴミを出さない、すなわち無駄なものを究極まで買わない生活を目指した結果、確実に「お金の心配」がシュルシュルと減っていったのである。エンドエスにゴミを買い続けるような暮らしをやめれば、自分が豊かに生きていくために必要なモノなどほんのちょっとであると気づく。

そうなれば収入は増えずとも、いやかなり減ったところで、それ以上に使うお金が減ってしまう。お金持ちとはおそらく、お金をたくさん持っている人のことではない。「お金が余っている人」をお金持ちというのだ。

そう確かに、ゴミを減らせば誰でもお金持ちになれるのかもしれません。

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提供元:燃えるゴミは3カ月に1度しか出さない人の「末路」|東洋経済オンライン

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