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2022.03.08

お金の不安から「するりと脱出する」一番の近道|何の才能も、元手も、地位もいらない方法


わが暮らしで使う布モノは今やタオル1枚(体用)と手拭い1枚(台所用)なんですが、気づけばいずれも銭湯でもらった景品。買わない生活ここまで来たかと感慨にふけりつつ干す……(写真:筆者提供)

わが暮らしで使う布モノは今やタオル1枚(体用)と手拭い1枚(台所用)なんですが、気づけばいずれも銭湯でもらった景品。買わない生活ここまで来たかと感慨にふけりつつ干す……(写真:筆者提供)

疫病、災害、老後……。これほど便利で豊かな時代なのに、なぜだか未来は不安でいっぱい。そんな中、50歳で早期退職し、コロナ禍で講演収入がほぼゼロとなっても、楽しく我慢なしの「買わない生活」をしているという稲垣えみ子氏。不安の時代の最強のライフスタイルを実践する筆者の徒然日記、連載第47回をお届けします。

エコを人生の目標にすることの恐るべき効能

さて前回、エコであることを人生の目標にすることの恐るべき効能、すなわち

稲垣えみ子氏による連載47回目です。

稲垣えみ子氏による連載47回目です。

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(1)無力感からの脱出

(2)孤独からの脱出

についてあれこれ書かせていただいた。

にしても改めて考えてみれば、この2つが同時に実現できるとは誠にスゴイことではないだろうか? 

何しろこの高度に発達した資本主義社会、すなわちどこの誰が支配しているかもよくわからぬ巨大システムが小さな人間の事情など有無を言わせずなぎ倒しまくっていく時代においては、この2つこそは現代人類共通の大問題。

すなわち誰もが、どうせ自分が何を頑張ったところで世の中も自分の状況も決して良くならないし、そして自分なんてどうせいてもいなくてもいい存在なのだという思いにどうしようもなく囚われて、日々怯え傷つきながら生きている。

それをまとめて同時にエイヤーと解決してしまうのだから、これはまさに恐るべき効能以外の何物でもないと私は確信する。

さらに前回も書いたが、これを実行するには、何の才能も、元手も、地位も、ナーンモいらないのだ。いつでも誰でも胸一つで実行可能。だからこそ会社を辞めてただの一匹の人間となった私が飛びついたのであり、そして実際、今の私を支えているのはどう考えても間違いなくこの新しい人生の目標だ。

だって今はなんとか世の中から相手にしていただき食いつないでいるものの、これからどんどん歳をとってどんどん必要とされなくなるに違いなく、そうなれば独身フリーランスの身などまさに吹けば飛んでいく。

つまりは私なんぞいてもいなくてもいい存在なのだということを近い将来、完膚なきまでに思い知らされる日が来ることはちゃんと覚悟しておかねばならない。

でも……私、大丈夫ですから!

だって私、どんな状況になろうが、すなわち人間様からまったく相手にされなくたって、私にはちゃんとやるべきことがある。少ないものを大切に使い、この偉大なる自然様の負荷をできるだけ少なくするように心がけて生き続けている限り、私は大自然から褒められている(はず)と感じることができる。

私はこの大自然の味方であり、であればきっとこの大自然も私の味方になってくれる(はず)と思うことができる。そう自然が味方! そう思えば何を恐れることがあるでしょうか! 

思えばニンゲンなど地球の生き物のごく一部のしかもよくよく考えてみればかなりロクデモナイ存在なのだ。そんなニンゲンの中で評価されるとかまったくちっちぇえことじゃねーか! 

役に立たない存在? 上等だ! 私はただこの母なる地球の一員としてやるべきことをやるのみ……などと本当に心の底から思えるかどうかはまあその時になってみなければわからないけれど、でも今のところ、これ以上に強く確実な心の支えなどどこにも見当たらない。そのくらい「えーもんめっけました!!」と私は声を大にして言いたいのである。

……と、またつい興奮して前置きが長くなったが今回はその続きである。そうなんと、エコであることにはこの2大効能に加えまして、さらなる大きな効能があったのだ。

それは……。

効能その3 お金の不安からの脱出

そう、不安な時代を生きるわれらの不安の中でもトップを争う不安の王様といえば、それはもうコレでしょう。お金の不安。

何しろ「人生100年時代」ですからね。人は生きている限りお金がかかる。となれば、幸せに長生きしようと思えばお金の心配はどうやったってついて回るわけです。つまりはいくらあったって足りない。しかも深刻さを増す一方の格差社会。

普通のレールに乗っていたら人生そこそこ安泰だった時代がウソのようだ。今やウカウカしてたらどんな深い穴に落ち込んでしまうかわかりゃしない。ってことで、今やこの長い一生をお金の不安なく生き切るのはとてつもなく難しいことになってしまった。

で、突然ですが。

みなさま、そもそも「お金の不安」とは一体どこから発生するのか、そのオオモトは一体何だとお思いでしょうか?

へ? 今さら何を言っているのか?とお思いでしょうが、一応、ちょっと真面目に考えてみてください。

私の予想では、圧倒的多くの方の答えはこうなんじゃないでしょうか。

それはもちろん「お金がない」からだと。お金がたくさんあれば、そもそもお金の不安なんて抱かずに済む。そうお思いなのでは?

むろん、私もずーっと長い間そう思ってきた。だからこそ、いい大学入っていい会社に入って出世して高い給料をできるだけ長く稼ぎ続けたいと自分なりに小さな戦いを繰り広げてきた。

そればかりか、今にして思えば実に多くの方を利用して不義理までも働いてきた。そこまでしても、どうにかしてこの厳しい競争社会を勝ち残りたかったのだ。それもこれも、結局のところはお金さえあれば幸せになれる、不安と無縁の人生を送れると心の底から信じきっていたからだ。

「お金がないから不安」の間違い

でも。今になってみれば、それは本当に大間違いだったということがよくわかるのである。

何しろ私はそうまでしても、どこまでもお金の不安から逃れられなかったのだ。もうこれで十分という時は永遠に訪れなかった。10を手にしたら15を手に入れたい、15を手にしたら20を手に入れねばと思った。どこまでいっても、もっとお金があれば幸せになれるのニィとばかり考えていた。

そしてそうこうするうちに、今度は一度手にしたものを失うのが恐ろしくなってきたのである。人は「生活レベルを落とす」ことをなかなか平常心で受け止めることはできないものだ。となれば頑張って20を手にしてしまったらその後もずっと20を手にし続けなきゃならんってこと? そりゃ大変だ。っていうか不可能だ。だって人は誰でも年をとって衰えていく。頑張れなくなっていくのである。

ってことは、頑張ってやってきたことがいつの間にか不安のタネになってるってことじゃありませんか! つまりは何が言いたいかというと、結局のところ「お金が十分あって安心♡」なんていう状態は、どう頑張っても作り出すことはできないものなのである。

じゃあ絶望的じゃないか……と思いますよね。

でもそんなことはないんだよ。確実に、お金の不安から逃れる方法がちゃんとあるんです。

そ・れ・は。

その「お金がないと幸せになれない」という考え方そのものが不幸のタネなのだということに気づくことだ。その強固で不毛な思い込みを今すぐやめることだ。

つまり、人生の目標が間違っているのである。「お金があれば幸せになれる」という目標に縛られている限り、お金はいくらあっても足りず、結局どこまで頑張っても不安なのである。

その思い込みをやめ、「お金がなくても幸せになれる」ことに気づくだけで、とにかく金を少しでもたくさん稼がなきゃどうにもなんないという重圧から人生を解き放つことができる。そうすればあとは有り余る時間とエネルギーを使ってやりたいことをやるだけだ。

それがまさに今の私である。

ほんのちょっと「エコ系の目標」を掲げてみる

はい。わかってますよ。皆様の不満げな顔が見えるようだ。なんかうまいこと言いくるめようとしてるみたいだけど、そんな簡単に騙されるもんかときっとお思いかと。

うんうん、わかります。だってお金とはわれら現代人の神である。唯一信じられる絶対的存在である。それをちょっと他人にそそのかされたくらいで「君は本当は神じゃなかった」などと急に考えられるはずもなし。ここから抜け出すには、何か具体的で強力なきっかけが必要だ。

例えばものすごい不幸に襲われるとか、決定的なすごい出会いとか……でも悲しいかな凡人にはそんなことはなかなか起きないので、それを待っていたらいつの間にか人生は終わってしまう。

でも心配はいらない。

その、長年信じてきた絶対的目標の取り下げは一旦保留にしておいて、ちょっとした余興程度でいい、新たな人生の目標を、暮らしの隙間にほんのちょっと掲げればいいのだ。

そうエコ系の目標を! なんでもいいんです。プラごみを減らすとか、食品ロスをなくすとか。これなら誰でも取り組みやすいのではないだろうか。

何しろ世間じゃエスディージーズとかサスティナブルとか言ってるし、時流に乗ってる感じ。ちょっとおしゃれな匂いすらする。そんなイマドキな意識を人生の中にちょこっと取り入れるだけでいいのである。それだけで、あなたは少しずつ「お金」と「幸せ」の間にちょっとずつ隙間風が吹いてくるのを日々実感することになる。

だってですよ、例えば、ちょっと喉が渇いたな、コンビニでお茶でも買おうと思ったとする。しかし使い捨てのペットボトルを買うのはエコの目標に反する。となると、うーんと立ち止まる。で、買わずに出てくる。

例えば、古くなった鍋を買い換えようかなと思う。でもまだ使えるものをゴミにするのはエコの目標に反する。なので買わずに今のものを使うことにする――。

そうなんですよ。エコを達成しようとすればどうしたって「買わない」方向に決断が傾くのである。つまりは買わないことが目標達成につながり、目標を達成すればやっぱりウレシイ。人生は充実する。

こんなことを繰り返していると、否が応でも「買わない=幸せ」っていう小さなエクササイズを毎日積み重ねることになる。そのうち、「買う」ってことと「幸せ」とが徐々に切り離されてくる。お金がないと幸せになれないという鉄則が少しずつグラついてくる。

そうこうするうち、あなたはある日、ふと気づけばいつの間にやら自分の価値観が大きく変わっていることを認識することは間違いない。

お金を使わないことの中にもそれなりの幸せがあるんだと気づいた時、あなたはきっと、あれほどしつこく付きまとってきた「お金の不安」がどこか遠くにかすんで見えることに気づいてビックリするに違いない。

「クリエイティブ」で「オリジナル」

この方法がなんといっても素晴らしいのは、「お金を使わないこと=ガマン」という世界とは無縁のまま、買わない体験を前向きに積み重ねることができるところだ。

そもそも、何度も言うがお金を使わないことは本当は不幸でもなんでもないのに、それを「ガマン」と感じてしまうのは、例の「お金がなければ幸せになれない」という信心で凝り固まっているからである。

ここが変わらない限り、ガマンの節約は人生を楽しくない色に染めるだけで何の解決ももたらさない。お金を使わないことが、ガマンでなく「幸せ」になって初めて、人はお金の不安から逃れることができるのだ。

その入り口としての最強ツールが「エコな目標を掲げる」ことである。何事も体験とは強いもので、一度この体験をしてしまったらあなたはお金を使わない幸せを次々と発見する楽しみに取り憑かれることになるだろう。

なぜってそれは、お金を使うよりもずーっとずーっとクリエイティブでオリジナルな行為だから。そして人とは誰でも実はクリエイティブでオリジナルなことをするのが大好きなのだ。

子供の頃は、誰だって画用紙にわけのわからぬ絵を大得意になってのびのびと書いていたはずではないか。その根源的なわけのわからぬ欲求は、今だって誰の中にも活躍の場がないまま眠っているだけなのだ。

つまりはわれらはお金を安易に使うことで、人生の最もオイシイ楽しいところをせっせと失い続けているのかもしれませんぜ。

ってことで次回は、不肖私がこの「エコな目標」を掲げることで突然目を覚ましたわがとんでもないオリジナリティーに振り回され、次々と習慣化したフツーじゃないわがクリエイティブな暮らしぶりについていくつかご紹介したい。

記事画像

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提供元:お金の不安から「するりと脱出する」一番の近道|東洋経済オンライン

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