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2022.02.28

豊かな感性を養う「自ら選ぶ力」を身につけるコツ|「決断力は筋力」少しずつ鍛えることで力がつく


コロナ禍でも豊かな生き方ができる、感性の磨き方を陶芸家で器アーティストのSHOWKOさんが紹介します。最終回は「自分で決める力」の身につけ方です(写真:tokinoun/PIXTA)

コロナ禍でも豊かな生き方ができる、感性の磨き方を陶芸家で器アーティストのSHOWKOさんが紹介します。最終回は「自分で決める力」の身につけ方です(写真:tokinoun/PIXTA)

いま、「決められない⼈」が増えています。「トレンドを追う」「⼝コミを参考にする」「みんなが⾒ているものを⾒る」。情報があふれ、SNSでもさまざまな意⾒が⾶び交う現代で、「流されずにいる」ことは簡単ではありません。「⾃分に似合うもの」「⾃分が好きになれるもの」。コロナによって内省的になっているいまだからこそ、これらの⽬に⾒えない価値を感じ、自分だけの正解を選び取れるようになりたいものです。

「自分で感じて選び取るための“感性”は、習慣によって養われます」と語るのは、京都で330年続く陶芸の名家に⽣まれ、器アーティストとして世界で個展を開くなど活躍しているSHOWKO(ショウコ)さんです。「いまでこそ器をつくったり、ホテルの内装を手がけたりしていますが、社会人になるまで芸術に関する勉強をしたことはありませんでした。いまの作品づくりで発揮している感性は、すべて日常の習慣で養われてきました」。SHOWKOさんの著書『感性のある人が習慣にしていること』から、無理なく感性を養っていくためのヒントを紹介します。

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森本薫の戯曲『女の一生』に、こんなセリフがあります。

「誰が選んでくれたのでもない、自分で選んで歩き出した道ですもの。間違いと知ったら自分で間違いでないようにしなくちゃ」

選択肢の多い現代ですが、大事なのは「正解を選ぶ」ことではありません。なぜなら、正解はひとつではないからです。「自分で決める」こと、そして決めたことを「正解にしていく」ことが大切です。感性のある人は、自分の選択を信じて決断できます。だから、答えのないことにも正解を出せるのです。

小さなことでも選択や判断、決断していく

そのための「自分軸」を養うために、自分の感覚を信じて、小さなことでもいいから選択や判断、そして決断していくようにしましょう。決断力は、筋力です。小さな「決める習慣」を持つことで、少しずつ磨いていけます。

この「決める習慣」について、いくつかご紹介します。

■「目的地」をつくらずに歩いてみる

人生とは、目的を設定し、その夢をかなえるために日々活動することです。でも、設定した目標に向かって脇目も振らずに進むことが、夢への最短距離なのでしょうか? それが正解なら、偶然の出会いや予想外の発見は人生に必要がないはずです。

ときには目的地をつくらずに、そのときの感覚に従って進む道を決めてみましょう。私の運命のドアは、いつも予想不可能だった出来事や出会いから開かれました。たとえば20代の頃に、ある不思議な体験をしたことがあります。

それは沖縄の久高島という島を訪れたときのことです。沖縄にはすべての神の故郷である「ニライカナイ」という理想郷があり、久高島こそがその場所であると言われています。

久高島は沖縄本島の東に位置し、フェリーで行けます。私が島に降り立ったとき、ちょうど祭りが開かれていて、ノロ(琉球神道における女性の祭司)の方々や島民が広場に集まっていました。祭りは一般人も見学可能で、最後に音楽が流れたときにはカチャーシーという沖縄伝統の踊りを一緒に踊らせていただきました。

誘われるようにある小道を進んでいくと…

そんな久高島ですが、立ち入り禁止の祭場があり、海水浴ができる海もひとつしかありません。そういった立ち入り禁止の地域をよく理解したうえで散策をしていたとき、私はふと誘われるように、ある小道を見つけました。

「ここに誘われている」

そんな直感に従ってその小道を進むと、階段があり、下った先には大きな洞窟がありました。洞窟の奥には海に通じる小さな出口があり、そこから差し込んだ光が、洞窟内を美しく照らしていました。出口から海に出て、S字型に入り組んだ海岸線を辿っていくと、見たことのないような貝殻やサンゴが打ち上げられている、それは美しい海岸に行き着いたのです。

目的地を定めて歩いていたら、その小道には気づかなかったでしょう。思わぬ選択肢が現れたとき、自分の感覚を信じて歩いていくと、ときに予想もしなかった光景に出逢うことができます。

自分の住む街はすでに知り尽くしていると思っているかもしれませんが、一度、目的もなしに直感で決めた道を歩いてみましょう。完璧な夕焼けや美しい小石、素敵な人の生活、そして人との偶然の出会いや発見があるかもしれません。

そんな決断や出会いがあなたの感性を高めてくれるでしょう。せわしない現代人にとって、非日常で贅沢なことでもあります。

■「コンプレックス」を克服してみる

自分軸に基づいた決定をしようとするも、無意識のうちに選択肢を狭めてしまう要因があります。それは、コンプレックスです。

誰しも、上手にできないことや、以前にチャレンジして失敗したことなど、今もなお、小さく避けていることがあるのではないでしょうか? そういったコンプレックスによって選択肢を狭めてしまうと、自分の感性に基づいた決定はできません。

そこで、広い選択肢のなかから選び取るためにも、自分の可能性を狭めているかもしれないコンプレックスを克服してみましょう。

私は「魚をさばけない」ということがコンプレックスのひとつでした。ですが、コロナ禍の自粛生活を機に練習し、ここ1年でできるようになりました。魚のさばき方を知ると、魚を1匹単位で買うという選択肢が手に入り、世界の見え方が急に変わりました。

魚を1匹で購入できると、身はお造りやフライ、かぶととアラは煮付けなど、いくつもの選択肢のなかから料理を決められるようになります。自然にレパートリーも増えていきました。

長距離走を克服して得た「走る楽しみ」

また、「長距離走がとても苦手」というコンプレックスもありましたが、2012年の京都マラソンでフルマラソンを完走したことで、克服しました。すると、また日常が変わりました。「仕事や家庭で悩んだとき、とにかく無心で走り続けてみる」という選択肢が手に入ったのです。

コンプレックスを克服したことで、選択できる世界が一気に広がりました。以前の私なら、「魚料理はスーパーのお惣菜から選ぶだけ」「悩んだときはお酒や娯楽に頼るだけ」など、狭い選択肢のなかでしか「決定」ができない自分のままでした。

当たり前ですが、決定は選択肢があるからできることです。苦手な選択肢から目を背けて、これまで通りや、他人の言う通りにしていては、それは「決定」とはいえず、決断力は高まりません。

コンプレックスを克服することで、選択肢が増えます。いくつもの選択肢のなかから選ぶ意識を持つことで、判断軸としての感性もより強固になっていくのです。このタイミングで、何かにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

■「社会参加」の意識を持ってみる

「アンガージュマン」という言葉があります。20世紀フランスを代表する哲学者、ジャン=ポール・サルトルが唱えた言葉で、「参加」や「拘束」を意味するフランス語です。日本語では「社会参加」などと訳されますが、要するに「責任をもち、主体的に選択や行動をして生きる」ということです。

「責任をもつ」とは、社会に対して責任をもつという意味です。買い物からSNSでの発言にいたるまで、日常のあらゆる行動において、その選択や決断のすべてが社会に影響を及ぼす(かもしれない)という責任を感じて行動するのです。

ジェンダー問題、貧困、格差、宗教問題……。世の中にはたくさんの社会問題があります。それらの問題を「自分の力の及ばないこと」「誰かが代わりに解決してくれること」と、自分の外側の現実として扱っている人も多いかもしれません。

「自分が声高に叫んでも伝わらないじゃないか」「それよりもまずは自分と身近な人を大切にしたい」という意見も、とてもよく理解できます。ですが、すべての事象はつながっています。すべての結果には原因があり、あなたの些細な行動も、何かの結果の原因のひとつになりえます。

たとえば、選挙は民主主義の根幹です。投票率がずっと低い日本では、「自分ひとりが国や政治を変えられるものではない」と感じている人も多いと思いますが、実際に政治家を決めているのは、国民ひとりひとりです。私はこれまで、選挙に参加しなかったことはありません。他にも、結婚制度に違和感を覚えて「事実婚」を選んだ人は、その選択と決断自体が、世界への意思表示となります。

当事者となったことで見えた世界

私も、自身がつくる作品だけでなく、生き方そのものが社会に発信されているものだと思って活動しています。たとえば、私は数年前にシングルマザーになりました。当事者となったことで見えた世界があります。今はこの立場から、シングルマザーの生き方について社会に問題を伝えることができます。

■主体的に生きることで、感性が養われる

個人がSNSで自由に発信できる時代では、無名な人の「行動」や「ひと言」は、ときに有名人の言葉と同じくらい拡散され、影響をもたらす可能性を持っています。自分の言葉で、世界に自分の哲学を伝えることもできれば、誰かを傷つけることも、そして誰かを救うこともできます。

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世界で起きている現象はいつも自分と関わっていて、あなたも世界とつながっているのです。あらゆる選択や行動に責任を持ち、とことん考え、決断していきましょう。簡単ではありませんが、社会を覆っている空気や圧力に屈することなく、その決断に責任を持って選択して行動することで、自分の心に太い軸ができあがってきます。

その軸に基づいたすべての行動は、きっと大きな説得力となってあなたの生き方を周りに伝えてくれます。それが、周囲から見て、あなたを「感性のある人」と印象付けてくれるでしょう。

自分で考えて、行動する。そして、主体的に生きる。これ以上に、「感性」が高められることはありません。

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提供元:豊かな感性を養う「自ら選ぶ力」を身につけるコツ|東洋経済オンライン

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