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2021.12.16

誰でも「プレゼント名人」になれる最大のコツ|あなたの「幸せ度」もアップする驚きの方法


持参のタッパーでホカホカのおでんを頂く。私の好きなコンニャクと昆布を山盛り入れすぎてフタが閉まらないありがたさ……(写真:筆者提供)

持参のタッパーでホカホカのおでんを頂く。私の好きなコンニャクと昆布を山盛り入れすぎてフタが閉まらないありがたさ……(写真:筆者提供)

疫病、災害、老後……。これほど便利で豊かな時代なのに、なぜだか未来は不安でいっぱい。そんな中、50歳で早期退職し、コロナ禍で講演収入がほぼゼロとなっても、楽しく我慢なしの「買わない生活」をしているという稲垣えみ子氏。不安の時代の最強のライフスタイルを実践する筆者の徒然日記、連載第36回をお届けします。

「お金が足りない!」という心配にサヨナラ

さて、前回、前々回と、ちょっとしたオマケ話をするはずが思いのほか2時間ドラマのような壮大なストーリーになってしまったので、これ以上脇に逸れて自分でも何を書いていたんだか迷子になってしまわぬうちに、ここらでグイと話を元に戻させていただきます。

稲垣えみ子氏による連載36回目です。

稲垣えみ子氏による連載36回目です。

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ま、読者の方もきっと覚えておられないと思うので、ここで改めて、そもそもいったい何を語ろうとしていたのか、簡単に復習しますね。

テーマは「もらって暮らす」。

私は今、生きてくために必要な多くのものを「買う」ことなく「もらう」ことで生きておりまして、自分でも思ってもみなかったそんな魔法のような暮らしを実現するためのノウハウを、ぜひとも皆様にお伝えしたいという趣旨でありまして。

ナニ別に難しいことはない。というのは、実は世間には今この時も、ありとあらゆるものを「あげたりもらったり」しながら暮らしている人々がちゃんと存在するのだ。

田舎だろうが都会だろうが関係なし。その世界にうまくアプローチすることさえできれば、生きていくためにはものを「買う」という一択しかないと頭から信じ込み、「お金が足りない!」「老後はどうする!」という出口なき不安や不満を抱えたまま貴重な一生を終えるという悲劇から簡単にサヨナラすることができるのである。

というわけで、不肖私が、一足先にその世界に足を踏み入れた経験を踏まえ、サルでもできる、この「地下経済」へアクセスするコツをお伝えしております。

これまで説明してきたことをざっと復習しますと、スタートはまずは「あげる」ところから! 間違っても「もらう」から始めちゃダメですよ! そこを間違えると幸せどころか不幸を招く危険性が非常に高い。

とはいえ、あげるったってじゃあいったい何をあげればいいのかと迷う方も多いかもしれません。でも大丈夫、あげるのは「モノ」に限らないのだ。まずはちょっとした言葉やお礼をマメに丁寧に言うだけでも十分なプレゼントになる……というところまで縷々書いてきたところであります。

で、本日はいよいよ、モノをあげる名人(プレゼント名人)になるための最大のコツですよ! それはスバリ、これだ!

相手をよく「見る」!

これは、いくら強調しても強調しすぎることのないポイントである。

前にも書いたが、誰かに何かを差し上げて喜んで頂くというのは、現代においては案外、というか非常に難しいことである。

我が親の世代であれば、みんなモノに飢えていたのでもらえるものは何でもありがたかったんだろうが、今や驚くほど多くの人が「断捨離」に励んでいるご時世。お気に入りのものですら必死に手放そうとしている時に、好みでもなく必要でもないものをもらってしまったら? それはもう単なるありがた迷惑であろう。

そんな迷惑な行動を積み重ねていたら、これから夢の「もらう生活」へとシフトしていくどころか、周囲の人に要注意人物として警戒されてしまい、今ある人間関係ですら崩れかねない。

なので先日、まずはモノでなく挨拶のプレゼントをするということをオススメしたのだが、それだけだとやはり広がりに欠けるのもまた事実である。

言葉をプレゼントすれば、お返しもまた言葉であるのが普通だ。もちろん、言葉を交わし合う知り合いがいるというのはそれだけでホッコリすることではあるが、私が熱くオススメする目標はあくまでも「もらう生活」である。

そう、もらって生きていく。暮らしに必要なモノの半分くらいはもらって調達する。それができて初めて、お金の呪縛から逃れることができる。

なので最初は挨拶から初めて、距離が縮まってきたところで次のステップ、すなわちモノを「あげる」ところまで無事に移行するのが今回の目標だ。それさえできれば、その先に、あなたもモノを「もらう」という世界が確実に待っているはずである。

いやナニ、いろいろ書いたがこれも別に難しいことでもなんでもない。コツは1つ。そう、一にも二にも「相手をよく見る」ということであります。

文字どおり、よく、見る。それだけ? はい、それだけ。でも、この「ミル」という2文字を実際に行動に移すことがもたらす威力は、まったく侮れないものなのだ。

見るべきことは案外いくらでもある。服装、髪型、年齢、歩き方、話し方、家族構成、ライフスタイル……などなど。やってみればわかるが、ある程度の時間をかけてちゃんと「見て」いれば、別に探偵を雇って身辺調査などせずとも、その人がどんな性格で、どんな暮らしをしているか、何が好きなのか、相当なレベルのことが自然にわかってくるものなのだ。

気を使ったり使われたりする相手のいるシアワセ

もちろん「見る」というのは目だけの仕事ではない。五感をフルに働かせ、相手が誰かと雑談しているのをフムフムと横で聞いたり、あるいは自分で直接何気ない雑談をしたり……といった小さな行動を日頃から積み重ねていくことである。

これがしっかりできていれば、いつの間にやら「何を差し上げたら喜ばれるか」がちゃんとわかってくるのだ。

例えば――。

私が日々通っている豆腐屋のおっちゃんは、いつも頭に手ぬぐいをしていて、話が好きで、お酒が好きで、食事はあっさりとした昔ながらのものを好み、外食はほとんどせず、店は早朝から奥さんと二人で切り盛りしていて、喧嘩しながらも夫婦仲が良くて、膝が悪いので立ち上がったり座ったりするのに苦労していて……となれば、まずはお酒やカンタンな肴を持っていけば喜ばれるだろうなと想像できる。手ぬぐいもOK。

しかし食材は要注意。おばちゃんは凝った料理などしている時間がないのである。また湿布薬など手に入った時は差し上げてもいいかもしれないが、ご高齢なので慣れないものは使いたがらない感じである。その際は確認した方が無難であろう。

また近所の米屋の姿勢のいいおっちゃんは元野球選手で、今も少年野球の監督をしていて、しょっちゅう孫とキャッチボールなどしておられる元気者。ならばきっと食べることはお好きであろう。

奥様との雑談で「甘いもの好き」ということも判明したので、果物やパンは喜ばれるかも……と思って念のため確かめたところ「大好き」とのことだったので、大量に入手してしまった時は、ありがたくせっせと運ばせていただいている。

……と、ここまで書けば、察しのいい方は薄々わかるかもしれませんね。

そうなのよ。この時点で、別にモノなど差し上げずとも、その相手とはかなり「親しい」関係になっていると言っていいのである。そうなのだ。私のことを言えば、収納ゼロの小さな家に引っ越して「あふれるモノを差し上げる相手を探しまくる」生活に追い込まれてから突然、周囲に「親しい」人がわらわらと増え始めた。

で、それがめちゃくちゃ「いい感じ」なんである。一言で言って……そう、シアワセなんである。

っていうか、シアワセってこういうことなんじゃないかと改めてびっくりしているのだ。

シアワセとはお金や地位によって手に入れるものだと思っていたけれど、実は、ただ気を使ったり使われたりする相手が身近に沢山いることがシアワセってものだったりして……?

だって考えてみたら、お金も地位も永遠じゃない。人生絶好調の時はそれなりに手に入ったものも、いつかは必ず失われる。年をとればそのようなことが身にしみない日はない。

つまりは、そのような金だの地位だのに幸せを頼っていては、人生は結局のところ不安に満ちたものになる。しかし、このようにして手に入れた「気を使ったり使われたりする相手」は、私がこの先どうなろうが、つまりは本が売れなくなろうが、今の仕事先から一切お声がかからなくなろうが、まったく関係なくお付き合いをしてくれるに違いないのである。

そんな相手が沢山いたならば、人生は永遠に安泰である。不安とは無縁である。「幸せとは不安がないこと」と言ったのはニーチェだったか誰だったか……いずれにせよ今の私は「まったくその通りだ!」と思うのである。

愛を送れば愛が返ってくる

で、そんな相手を作るのは全然難しくないことなのだ。そう「相手をよく見る」。ただそれだけ。これは別に不思議なことでもなんでもなくて、相手をよく見るってことは、相手に関心を持つってことで、関心を持つってことは、すなわち愛なんだよね。

愛の反対は「無関心」っていうのはよく言われることだけど、それって言い換えれば、関心=愛ってことなのだ。愛は必ず伝わるのである。

だからね、何が言いたいかというと、人に何かをあげようとして、相手をよく見ることができたなら、それだけで知り合いがいっぱいできるわけで、その時点ですでにあなたの幸せ度はかなりアップしてしまうのだ。

つまりは誰かに何かを「あげよう」と思うだけで人生は好転し、実際に「あげる」ってトコまでこぎつけることができたらさらに「知り合い」度はアップし、人生はますます好転するのであります。

ちなみにですね、私は今や、この「相手をよく見る」ってことがすっかり習慣化し、どこへ行ってもそこはかとない知り合いができるようになった。

先日北九州へ出張した時も、1週間の滞在中、ホテルの近くの工事現場で交通整理をしていた陽気なおっちゃんと、客室掃除の親切なおばちゃんが、見かけたら大きく手を振ってくれるようになった。相手に関心を持てば、相手も自分に関心を持ってくれるのだ。すなわち愛を送れば愛が返ってくるのであります。

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提供元:誰でも「プレゼント名人」になれる最大のコツ|東洋経済オンライン

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