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2021.11.18

片頭痛の人は「白い壁紙と照明」避けた方が良い訳|部屋を広く見せるには「明るい色」が定石だが…


Shadowman / PIXTA

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「テレワークになって、なんか身体の調子が悪い」
「うちは狭いからテレワークに不向き」
「テレワークではONとOFFのメリハリがうまくいかない」

こうした悩みを、少しインテリアを工夫すれば解決できるかもしれません。

新著『光とインテリアで整う 最高のテレワーク空間』では、インテリアデコレーターで医療系の大学院で公衆衛生を学ぶ著者が、最高のテレワーク空間をつくるためのルールを紹介しています。

本稿では、同書から一部抜粋・編集しお届けします。

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「片頭痛ケアデザイン」の部屋で調査

私はインテリアデザインを健康に役立てる手法「アクティブ・ケア」を実践していますが、その活動の一環として、医科大学の看護師寮で片頭痛のある人を対象に調査をしたことがあります。

この調査では、新しくつくった看護師寮2棟全500室のうち、250室を照明や壁の色などに刺激を和らげる配慮を施した「片頭痛ケアデザイン」としました。そこにこれまで片頭痛に悩んでいた看護師さんに入居してもらい、入居前後それぞれ45日間の片頭痛症状について調べました。

「片頭痛ケアデザイン」の部屋には、照明に温かみのあるオレンジ系の電球色LED、主に時間を過ごす寝室兼リビングダイニングには、調光機能のあるLEDダウンライトを選びました。そして、天井や壁はマットな質感のベージュ系の壁紙、扉や収納扉はブラウン系の色で揃えるなど、全体的にコントラストと反射を抑えたやさしい色のグラデーションにしています。

また、照明や内装が関係する光過敏への配慮だけでなく、片頭痛には臭い過敏や音過敏もあるため、臭いへの配慮として、消臭機能のある壁紙も採用しました。

旧寮では白い壁に白色系の蛍光灯がついていたため、インテリアの印象は大きく異なります。

「片頭痛ケアデザイン」では、光刺激への配慮から、白い壁紙や白色系の光を選んでいません。一般的に看護師寮のようなワンルームの間取りは、少しでも広く見せるために、照明はもちろん、内装や収納に至るまで白く明るい色のほうがいい、と考える方は多いでしょう。これはワンルームに限らず、不動産業界でも共通する考えだと感じます。

しかし、これはあくまで見た目を目的とした視点です。広く見えること=快適かどうかは、住んでみないとわかりません。「アクティブ・ケア」によるインテリアの視点は、自分自身のカラダとココロが快適かどうかを重要視しています。私は住んでみて快適かどうかを考えたときに、白くて明るいことが良いとは言い切れないと思うのです。

気になる調査結果は?

そこで、先程の調査結果はどうだったかというと、旧寮では45日間のうち、13日片頭痛が発症していたのに対し、新寮に移ってからではその発症が6日に減り、頭痛薬の服用日数も旧寮では7日だったのが新寮では2日に減少しました。加えて、軽いうつ状態も改善するなど、「アクティブ・ケア」による良い影響がみられました。

つまり、空間の光と色を変えることで頭痛の発生頻度が半減し、薬の服用日数が3分の1になったのです。この結果から、片頭痛症状を緩和するために、照明を含む住まい全体が大きな役割を果たす可能性が明らかになりました。

これは、私にとってまさにインテリアが健康に役立つ可能性を確信した瞬間でした。当時調査に参加してくださった看護師さんに「住む部屋を変えただけで、これまで悩みの種だった頭痛が信じられないくらい楽になった」と喜んでいただけたのが何より嬉しく、その言葉を噛みしめたことを今でも鮮明に覚えています。

研究としては、まだまだ課題はありますが、体験者の声の重みにインテリアのプロとしてやるべきことが見えました。

看護師寮の事例は、ワンルームという間取りですが、扉や収納にブラウン色を採用しています。これはどちらかというと、あまり採用されないコーディネート。なぜなら、濃い色=狭く見えるというイメージが強いため、白または明るい色が選ばれることが多いのです。

でも心配は不要です。コーディネート(調整力)を使えば、解消できます。この事例でも床に明るい色を使ったおかげで、片頭痛ケアデザインの部屋を狭く感じる、とはいわれませんでした。逆に高級感を感じる、とのコメントをいただきました。

アクティブ・ケアは、健康ばかりに目を向けているようですが、決してデザインを無視しているわけではありません。むしろ、デザイン性もしっかり考えながら、さらに健康への配慮をプラスしていくという考えです。インテリアのプロである以上、デザイン以上の付加価値を目指しているのが「アクティブ・ケア」なのです。

また、この調査は、さらに共感する人を引き寄せることにつながりました。あるとき、SNSを通して片頭痛に悩む方々にこの情報が広がっていることを知ったのです。その方は、私が雑誌の取材を受けた記事を偶然目にしたそうです。そこで私の学会発表時のタイトル「片頭痛の過敏症を考慮したインテリアデザイン」を挙げながら「インテリアによる片頭痛のお悩み解消」について投稿されていました。

引っ越しを機に部屋のインテリアが白からブラウンへ、光が昼光色から電球色に変わったことで、ご家族の片頭痛症状がずいぶん改善されたとか。私の記事をみて腑に落ちたその話を、同じ悩みをもつ人にぜひ伝えたいと情報発信されていたのです。

その投稿に反応した方々からの「頭痛が増えていた理由に気づけました!」、「確かに私も!」、「薬要らずになって良かったですね」、「母も頭痛もちなので伝えようと思います」等々行き交うコメントをみて、かつて看護師さんにいわれて嬉しかった気持ちが甦りました。

その後その方は、ご家族の片頭痛症状の変化を目の当たりにされたことでインテリアの重要性を感じ、インテリアの勉強をスタートしたことを教えてくださいました。長年インテリアに携わってきた私にとって、これほど嬉しいニュースはありませんでした。

看護師寮の事例では、引っ越しで良い場所に移るということを事前にご本人が知っていたことが影響した可能性もあります。しかし、SNSで発信してくださった方は、事前に情報がなかったのです。それでも、インテリアによる良い影響があったということは、インテリアがもつ力の存在を確信せずにはいられません。

自覚のない人も多い「光過敏」

片頭痛に悩む人は依然として多く、2020年11月にNHKで放映された『ガッテン!』でも、「ズキン! つら~い頭痛! 痛みを引き起こす意外な原因発見スペシャル」と題して、片頭痛を引き起こすメカニズムと対処法が取り上げられました。そのなかで、「睡眠不足・睡眠過多」、「ストレス」、「感情の影響」とともに「まぶしい光」が頭痛を誘発する一因になるとして、先程の看護師寮の調査事例と、環境から症状が軽減できる可能性が紹介されました。

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「アクティブ・ケア」に基づくインテリア計画は、私たち一人ひとりが自分で実践できるものです。

光過敏の自覚がない方や、日常的に頭痛で悩んでいても医療機関に行かずに民間薬でしのぐ方はたくさんおられます。しかし、光の色や内装材の組み合わせを変えるだけで日々のつらさが軽減できるなら、やってみる価値はあるはずです。

気づかないうちに、光の色や明るさが刺激になっている可能性があるということに、一日も早く気づいてほしいのです。

(引用)
尾田恵,他.片頭痛の過敏症を考慮したインテリアデザイン.日本人間工学会 第55回大会発表.2014年

* 本稿では、光の色をわかりやすくお伝えするために、白熱電球の光色に近い電球色を「オレンジ系」、昼光色や昼白色のような白っぽい光を「白色系」と表現しています。

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提供元:片頭痛の人は「白い壁紙と照明」避けた方が良い訳|東洋経済オンライン

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