2021.11.16
「職場にいる頑固な人」との関わり方と謝り方|「プライドが高く自己肯定感が低い」という矛盾
職場での人間関係は運ともいえますが、威圧的な人や頑固な人とのかかわり方はどのようにしたらいいのでしょうか(写真:asaya/PIXTA)
こんにちは。生きやすい人間関係を創る「メンタルアップマネージャ®」の大野萌子です。
職場での人間関係は、その時の運ともいえますが、どこに行っても多かれ少なかれ、自分とあわない人や威圧的な人はいます。その中でも、自分の考えをなかなか曲げることのない頑固な人は、一度怒らせると謝ってもなかなか機嫌を直してもらえないことがあり厄介です。特に上司がこのタイプだと、日常の関わり方に神経を使います。今回は、こうした「頑固な人」とのかかわり方についてお伝えしていきます。
「頑固な人」の共通する特徴
まずは、「頑固な人」の共通する特徴を挙げてみたいと思います。
(1)「べき」「普通は」が口癖
頑固な人は、物事に対して自分視点の「こうあるべき」といった「べき」論を持っていて、その基準から外れたものを排除したがる傾向があります。「普通は」「常識」というフレーズを使って、自分の言動や考え方を示し、それ以外の意見を「普通ではない」と、相手を否定し自分を正当化します。
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(2)自分の非を認めない(他罰的)
頑固な人は自分のミスを認めたがりません。何かトラブルが起こった場合にも、自分を振り返って反省するというより、「○○が悪い」「あいつに原因がある」など、責任転嫁する傾向にあります。
(3)感情を表すのが苦手(無表情)
感情表現が乏しく、どちらかというと無表情でいることが多いのが特徴です。まわりからすると、何を考えているのかわかりづらい面があり、たたずまいだけで威圧することも少なくありません。
こうした頑固な人は、総じてプライドが高く、その反面、自己肯定感が低い傾向にあります。人から見下されたくはないけれど、確固たる自信があるわけではない矛盾した思いを抱えていることが多いのです。自分の中でその感情を処理しきれず、防衛本能からも、他人に対してかたくなな態度をとってしまうという悪循環に陥りがちです。自分の心の内や自信のなさを露呈しないよう、よりガードを強くしてしまうのです。
ゆえに、人から何か言われることを極端に嫌います。それは人からの助言や意見を批判と感じてしまうからです。単なる意見であっても、自分が否定されているような感覚に陥りやすく、傷つきやすい面も持っています。よって、まわりからの意見を無視できずに落ち込んでしまうので、それを避けるために「人の声に耳を貸さない」という態度に出てしまいやすいのです。柔軟に対応することが苦手で、極端な態度になりやすく、自分のテリトリーを侵されることを極端に嫌います。自分を守るがゆえの行動ともいえ、自己愛が強いタイプに多く見られます。
では、そんな人とどうかかわればよいのでしょうか。
(1)まずは受け止める
基本的にコミュニケーションはお互いの意向を受け止めて伝え合う、キャッチボールが大切ですが、プライドが高く、こちらの意見に対して聞く耳を持っていない相手ですから、こちらの意見を先に言っても労力の無駄です。まずは、相手の意見を受け止める必要があります。同意できないことや質問したいことがあるかもしれませんが、相手の意見をまずはそのまま受け止める姿勢が必要です。「○○とお考えなのですね」などと受け止めたうえでこちらの意見を述べることで、相手のガードを必要以上に強めずに済みます。
その際に「でも」や「そうおっしゃいましても」など、反論するぞという話出しフレーズを避けることも大切です。
(2)考え方や生き方を認める
自尊心が強いので、こだわりや信念を認める姿勢を見せることも大切です。「○○とは、すごいですね」など承認することで、相手の防衛を緩めることができます。もちろん、なんでもかんでも褒める必要はありませんが、少しでも共感できることや感心したことを伝えればよいと思います。自分の考えや思いを支持してくれる相手には寛容になれるものです。
(3)相談やお願いごとをしてみる
相談やお願いごとをされると、「頼られている」という思いから、信頼関係を築きやすくなります。誰しも、信頼されている相手には攻撃的な対応はしにくいもの。ちょっとした相談事や小さなお願いをしてみるのも効果的です。
頑固な人への「謝罪の方法」
次に謝罪の方法を挙げてみます。「怒り」の感情の元になるのは「悲しみ」や「不安」「焦り」などです。怒りはほかの感情がもとになり派生する感情です。例えば、悲しみは、自分自身を受け入れてもらえなかったことや、プライドを傷つけられたことかもしれません。そのため、謝る際はその部分をフォローすることが必要になります。
たとえば、意見の相違により相手が怒ってしまった場合は、認められる部分について相手に伝えるようにしましょう。「この部分は理解できる」「この考え方には同意する」という具合です。相違点を明らかにして、全否定ではないことを伝えることが必要です。
また、自己肯定感が低いと、ささいなことで感情が刺激されてしまいやすく注意が必要です。あなた自身を否定したわけではないことを伝えるには「この部分に違和感を覚えた」など、事実に基づいた説明ができるとよいですね。
その際、「そんなつもりはなかったのですが」と感情論になると、「本当はそう思っていたくせに」と相手が卑屈になる可能性があり逆効果です。あくまでも事実に基づく意見や説明を心がけるとよいと思います。
相手が怒っていると怖くてこちらも固くなってしまいますが、相手は悲しさや不安、焦りを抱えていると考えて接するのが得策かと思います。こちらにゆとりがないと、なかなか難しいとは思いますが、相手も不安を覚えていると思えば、冷静になれることもあると思います。
頑固な人は自分の行動や考え方を基準とし、他者の意見を受け入れず、感情を表すのが苦手で不器用な面があるので、極端な態度に出てしまいがちです。頑固な人と付き合う際には、特徴や心理を理解したうえで相手を受け止め、可能な範囲で認めてあげることが大事です。ぜひ参考にしてみてください。
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提供元:「職場にいる頑固な人」との関わり方と謝り方|東洋経済オンライン