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2021.10.21

周りの雑音に潰れる人と負けない人の決定的な差|成果を出すのに必要なのは「特別な才能」ではない


余計な「ノイズ」を真に受けてはいけません(写真:aijiro/PIXTA)

余計な「ノイズ」を真に受けてはいけません(写真:aijiro/PIXTA)

今年のアメリカン・リーグMVPの最有力候補とされているのが、メジャー・リーガー大谷翔平選手。今や誰もが認める「二刀流(ピッチャー&外野手)」の超一流選手です。かつては「二刀流なんて無理だ」という声も多くありました。それにもかかわらず、大谷選手はそのような「周囲からの雑音」も見事にはねのけ、数々の偉業を成し遂げています。

韓国で20万部を超えるベストセラー『SIGNAL 10億分の1の自分の才能を見つけ出す方法』を生み出した作家のチョン・ジュヨン氏は、大谷選手のような目覚ましい成果を出せるかどうかは、「特別な才能」があるかどうかではなく、周囲から発せられる「シグナル」をどう受け止めるかにあると分析します。

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なぜか成績がよくなった生徒たち

私たちは、周囲から発せられる「シグナル」に大きな影響を受けています。そのことがよくわかるこんな報告があります。ハーバード大学の心理学教授ロバート・ローゼンタールは、かつてサンフランシスコの小学校で、ある実験を行いました。2割の生徒を無作為に選び、「この子たちはIQが高い」と言ってそのリストを担任に渡したのです。するとなぜか、8カ月後にその生徒たちはほかの子たちに比べてテストの平均点が高くなっていたのでした。

一体なぜ、ローゼンタールが無作為に選んだ生徒の成績がよくなったのでしょうか? 答えはシンプルです。それは、担任の教師がローゼンタールの「ハーバード大の教授の私(ローゼンタール)が選んだこの子たちを特別だと思いなさい」というシグナルを受け取ったからです。「優秀に違いない」「優秀にしなければいけない」。教師たちのそんな思いが、児童たちの学力の向上につながったというわけです。

このようにシグナルは、ほんのささいなことで人の人生に大きな影響を与えてしまいます。何より気をつけなければならないのは悪いシグナルです。悪いシグナルは「ノイズ」となって、人の判断や行動、あるいは目標設定すら変えてしまいます。ノイズにどう向き合うか、これが極めて重要な問題なのです。

ダスティン・ペドロイアというメジャーリーガーをご存じでしょうか。選手としては小柄で、その見た目のせいで、警備員に選手証を見せても信じてもらえず、応援の警備員を呼ばれてスタジアムに入れてもらえないことまであったといいます。ペドロイアを初めて見た監督は真剣な面持ちで「うちのチームが選んだのは本当にこの選手なのか?」と聞くほどだったとか。

「ペドロイアにはメジャーリーグの投手を相手にするほどの力もバット・スピードもない。パワーも足りない。2割6分台の打率をキープできれば使い道もあるが、3塁手やショートになれたとしても控え選手にしかなれないだろう」

選手の活躍を予測して順位をつけるベースボール・アメリカ誌では、ペドロイアの評価は新人選手100人のうち77位。球界で無視同然の扱いを受け、監督やコーチからもさんざんな言われようでした。ところがあるとき、ペドロイアは1割5分8厘に落ち込んでいたシーズン打率を一気に3割3分6厘にまで引き上げます。その後も調子はますます上がり、2007年にアメリカン・リーグの新人王を獲得、翌年にはアメリカのエリート選手を退けてMVPに選ばれました。2013年の契約延長時の契約金は1億ドルにもなったといわれています。

そんなにも実力を秘めた選手であったにもかかわらず、人々はなぜその才能を見つけられなかったのでしょうか? それ以上に、ペドロイアはなぜ、「最悪」といってもいいほどの状況から結果を出すことができたのでしょうか?

「悪いシグナル=ノイズ」を断ち切る才能の重要性

ペドロイアには、1つ大きな才能がありました。コーチに「バットの振り方がなっていない」と言われようとも、

「何とでも言ってくれ。おれはバットとボールがあればいい」

そう言って、まわりの声をいっさい聞きませんでした。そして自分のスタイルを貫き、成績を上げていったのです。この「悪いシグナルを無視する」という見えない才能こそが、ペドロイアを大きく飛躍させた要因にほかなりません。そもそも、打者が結果を出すために必要なことは「集中すること」だといいます。元メジャーリーガーのテッド・ウィリアムズは、こう語っています。

「打撃は『自ら悟るもの』だ。慎重に考えて、状況を把握し、相手について分析しなきゃならない。それに何よりも自分のことをよく知る必要がある。それにはかなりの努力がいる」

つまり結果を出すには、内面の世界に入り、深く集中することが必要なのです。しかし、この集中するということが何より難しいのは、皆さんも容易に想像できるでしょう。なぜなら、スポーツの世界では選手自身の一挙手一投足で年俸や契約の有無が決まり、批評家・記者から事あるごとに評価されます。また、このご時世、少しSNSを見れば、自分への非難などすぐ見つかります。こうした周囲の声が「悪いシグナル=ノイズ」となり、集中を乱してしまうのです。

ところがペドロイアは、そのようなノイズにはいっさい振り回されませんでした。誰の言うことも聞かず、その代わりにひたすら1つのことに取り組み、バットを大きく、力いっぱい振り続けました。それこそが、ペドロイアが大成できた理由なのです。

優先順位がはっきりしていればノイズに惑わされない

その証拠に、ペドロイアは自身の契約金にすら関心を持ちませんでした。MVP受賞直後、提示された4050万ドルの契約書に黙ってサインすると、残りの練習メニューをこなしにさっさとスタジアムに戻ってしまったのです。あまりにも淡々とした様子に、業界の人間は皆面食らいました。一般に年俸交渉は長期にわたり駆け引きを行うものですが、ペドロイアからすれば交渉とは集中をそぐものでしかなかったのです。

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MVPになり、記者から「スーパースター誕生の秘訣は何か」と聞かれたときには、

「あんたに何がわかる? 数字だとか統計だとか、そんなものは気にかけたこともない。おれが気にするのは勝利(Win)の〝W〞と敗北(Lose)の〝L〞だけだ。それ以外はどうでもいいんだ」

と落ち着き払った様子ではっきりと答えました。自分の中の優先順位がはっきりしていれば、ノイズに惑わされることはありません。ペドロイアの目に映っていたのはいつでも野球のボールとバットだけでした。誰もがうらやむような大金を手にした翌日もペドロイアはいつもと同じように、皆が眠りにつく中で1人、朝5時には練習用のバットを振っていたのでした。

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提供元:周りの雑音に潰れる人と負けない人の決定的な差|東洋経済オンライン

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