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2021.09.06

どんな絶望的状況でも「森本稀哲」が前を向ける訳|元プロ野球選手が語る「全力疾走」の重要性


現役引退後も野球解説やタレント活動などで活躍する森本稀哲氏(写真:本人提供)

現役引退後も野球解説やタレント活動などで活躍する森本稀哲氏(写真:本人提供)

北海道日本ハムファイターズ、横浜DeNAベイスターズ、埼玉西武ライオンズで活躍した元プロ野球選手の森本稀哲氏は、球界屈指のムードメーカーとしても知られています。つねに前向きでいるために、何をしていたのか。『メンタル体操 1日5分で心も体も強くなる「すごい運動」』を上梓した森本氏が心を鍛える方法を解説します。

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行動を変えることで心の状態を変えられる

心と体は連動していて、心が変われば、行動が変わります。逆に、行動を変えることによって、心の状態を変えることもできます。

バッターでいうと、インコースのボールでバットをグシャっと折られてピッチャーゴロになったときに、1塁まで走れる人と走れない人では大きな違いがあります。バットを折られてピッチャーゴロというのは、バッターにしてみれば屈辱的なことです。

結果を受け入れるほかないときに、チームのためにできることといえば、全力疾走して仲間を鼓舞することくらいです。相手にねじ伏せられたとしても、そこで走ることの貴重さがわかっている人は、走れると思います。

全力で走るという誰にでも共通してできることを当たり前のようにできると、周りの選手からも認められるし、自分のプレーにも隙が生まれにくくなります。全力で走るということは、それ自体がすごく前向きなことなのです。

一般の方は「全力疾走」ということばから、キツさをイメージするかもしれません。いつも全力疾走が求められるわけではなく、ときには立ち止まることも必要でしょう。ただ、人生のサイクルで前向きな気持ちが高まってきたとき、例えば仕事において全力疾走するというのは、いい結果につながると思います。

手を抜こうと思えば抜ける局面で、手を抜かないこと。それが人としての強さであり、大事なことと気づいたのは、日本ハムファイターズから横浜ベイスターズへ移籍し、何もかもがうまくいかなかったときです。

思うように力を発揮できない野球選手が、野球でできることは限られています。準備することと、全力でプレーすることだけです。その2つは当然のこととして全員がやらなければいけないことであり、野球選手であれば根底に持つべき考え方であると、ベイスターズ時代に初めて気づくことができました。

今は野球をやめて、いろいろな仕事をやっています。うまくこなしたいとか、新しいこと始めたいという思いもあります。けれど「自分がやれることってなんだろう?」と考えたら、「まずはしっかり準備をして、テレビ番組やステージで自分のできることを全力でやる」ほかないのです。与えられた仕事に対して、しっかり準備をして、全力を傾ければ、うまくいかなかったとしても、後悔にはつながりません。

後悔しないように生きることの大事さを知ったのもベイスターズ時代です。プロ生活の17年間で、日本一になったり、年俸が跳ね上がったりと、いい思いはファイターズ時代にたくさんしました。けれど、成長できたのがいつだったのかといえば、ベイスターズの3年間です。

結果が出せずに苦しくて、試合が終わればいちばん早くシャワーを浴びて、球場から逃げるように帰宅していました。そんなときに立ち止まり、自分を見つめ直すことができたからこそ、次のステージのために、越えるべき壁が来ていることに気づけたのです。

周りの目はどうでもよくなった

チームのために、今できることを全力でやろうと思えたとき、実績や給料や周りの目はどうでもよくなりました。野球選手としては絶望的な状況で、チームのためにすべての力を注ぐことができたのは、カラダに刺さった野球人としての芯があったからだと思います。どん底にいても前を向いたあの3年間がなければ、今の僕はスカスカの人間でした。

悩んだり、立ち止まったりしている人に言いたいのは、「自分が、自分のいちばんの応援団になってあげよう」ということです。

自分に厳しい人は多いのではないでしょうか。ほかの人と自分を比較したり、周りの目を気にしたりして、自分が劣っているように思える。でも、ひとつ確かにいえるのは、自分というのはこの世界にひとりしかいない、すごく貴重な存在ということです。自分では気づかなくても、自分のよさは必ずあるし、自分が思っている以上に輝くものがあります。生きているだけでオリジナルな存在なのです。

まず、自分を見つめ直し、そう意識することだと思います。楽しいと感じることのできる瞬間を、周りの目を気にせずに探し出しましょう。地球に生を与えられた時間は限られていますから、楽しいことをして歩んだほうがいいのです。

絶望的な中で自分を見つめ直した自分が、今思うのは、調子がいいときほど見つめ直したほうがいいのではないかということです。

調子がいいときや、成功が続いているときに、自分を見つめ直している人はほぼいないと思います。普通の状態で自分を把握できている人も多くはないでしょう。しかし、日ごろから自分を見つめ直すことができているのなら、メンタルをよい状態に保ちやすくなるはずです。

自分のことを知りたければ、周りの人に聞いてみるのもいいかもしれません。親しい人に、「自分のいいところはどんなところ?」と聞いてみましょう。意外と自分では気づかないことが、相手にいい影響を与えていることもあるものです。

複雑な思いで内野手から外野手に転向した

僕はファイターズに入団した当時、「プロになった以上は内野手になり、田中幸雄さんのショートのレギュラーを獲る!」という強い思いがありました。幸雄さんはゴールデングラブ賞を5回受賞した守備の名手でしたが(打撃も通算2012安打で名球会入り)、内野も練習すればうまくなるだろうと思っていました。

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ところが、2年目に外野を提案されたのです。プロのレベルでは、外野手のほうが勝負できると判断していたのかもしれません。僕は複雑な思いで外野手に転向しましたが、その後、外野手としてリーグ優勝や日本一に貢献することができました。

周りに人がいることで、人生は変わっていきます。野球を始めたのも、小学4年生のときに仲のよかったクラスメイトが、「ひちょちゃん、野球やろうよ」と声をかけてくれたことがきっかけです。それまではサッカー少年で、東京ドームに初めて行ったのも、ACミランの試合でした。

僕は小学1年生のとき、突然、汎発性円形脱毛症を発症し、髪の毛、まつ毛、まゆ毛が抜け落ちてしまいました。人の視線も気になりましたが、サッカーをやっていたとき、ヘディング練習での痛みもつらいものでした。野球ではヘディング練習から解放されたうえに、試合中にずっと帽子をかぶっていられることも、当時の僕にとってはうれしいことだったのです。

人生ではいろいろなことを試してみることが大事に思えます。自分にとって、何が楽しいのか、何が向いているのかは、試してみなければわかりません。置かれた環境を、人の縁を、タイミングを大事にすることで、人生はよい方向に変わっていくことができるのです。

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提供元:どんな絶望的状況でも「森本稀哲」が前を向ける訳|東洋経済オンライン

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