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2021.08.30

銀行に「あなたは損しています」と言われたら?|なぜか気になって仕方がない魔法の勧誘ワード


銀行など金融機関に相談に行ったときに「あなたは損していますよ」と言われたら、どうする?(写真:takeuchi masato/PIXTA)

銀行など金融機関に相談に行ったときに「あなたは損していますよ」と言われたら、どうする?(写真:takeuchi masato/PIXTA)

「あなたは損をしている!」なんて言われたら、誰しも心穏やかではいられないでしょう。「なんとか損をしない方法はないものか」と気になるのは当然です。

銀行で「年金をはやくもらわないと損」と思うように

今回はファイナンシャルプランナーとしてお客様のライフプラン相談にたずさわる筆者の元に来られた2人の事例をご紹介します。いずれも「損をする」と金融機関に言われ、驚いて駆け込んできた方たちです。いったい彼らは何を言われたのでしょうか?

Aさんは、銀行で「年金相談」に申し込みました。来年定年を迎える独身のAさん、さすがに老後の暮らしが気になっているのです。

実際、担当の方はとても丁寧に年金制度についてお話をしてくれたそうです。Aさんの生年月日を聞いて、老齢年金は65歳から支給開始であること、希望により受給を早めることもできるし、反対に遅らせることもできることを教えてくれました。また、定年後はできれば働かず、趣味の釣りを楽しみたいAさん、すぐにでも年金は受け取りたい意向です。

年金を5年早く受け取り始めると年金額が3割少なくなることも説明を受けました。でもAさんが「年金なんて死んだら受け取れなくなるんだから、早くもらわないと損ですよね」と言ったところ、銀行の担当者からはにこやかに感謝を告げられ「年金の受け取りは当行へ」と書かれたチラシを手渡されました。

担当者はさらにこう続けました。「年金暮らしになっても税金や社会保険料が取られます。年金額が多いとそれだけたくさんのお金が取られます。反対に年金が少ないと医療費の負担が減ったり、給付金がもらえたりしますよ」と。Aさんは「それならなおさら65歳まで年金を待つのはむしろ損だ」とそのとき思ったそうです。

さて、筆者の元ではAさんのねんきん定期便を見ながら、実際の年金額を確認するところから始めました。なぜなら、銀行での話はすべて一般論、給付金うんぬんの話も条件がありますからAさんに当てはまるのかどうかを検証する必要があると考えたからです。

Aさんの年金見込み額は、国民年金部分が約72万円、厚生年金部分約90万円、合計約162万円。これを65歳ではなく60歳からの受け取りにすると7掛けになるため年金額は約113万円になります。

本当に早めにもらうとお得?

年金収入からは公的年金等控除を差し引きます。このケースでの控除額は60万円ですから住民税の基礎控除43万円を引いても若干課税されてしまいます。その他控除がどれだけあるかにもよりますが、確実に住民税が非課税となるとは言えません。

ただし65歳以降は公的年金等控除が引き上げられますので、Aさんは住民税非課税となりそうです。そうなると前述の「年金生活者支援給付金」月5000円程度の対象となるでしょう。

また住民税非課税世帯となると、高額療養費における自己負担上限額がさらに引き下げられたり、健康保険料の減免が受けられたりします。しかし「年金生活者支援給付金」は消費税が引き上げられた際に始まった制度ですから、6年後も同様の制度があるかはわからないということも付け加えました。

Aさんは怪訝な顔をしながら、「銀行で聞いた話とはずいぶん違いますね。というより、そもそも僕の年金は月10万円もないんですか?」とおっしゃいます。給付金制度や助成制度の一般的な情報は正しくとも、Aさんが本当にそれに該当するかどうかという視点が欠けていたのです。

しかもAさんは就職する前の3年間、年金を払っていなかった期間があるため、このままでは国民年金は、満額は受け取れません。これを満額にするには60歳以降、任意加入をする必要があります。一方会社でこのまま働き続けると、負担する厚生年金保険料の中で、国民年金の過去の未納分が埋められることになり満額に相当する金額が受け取れます。もちろん老齢厚生年金額も増やすことができます。

仕事を辞めて、国民年金の任意加入をする場合、負担する保険料は約60万円です。65歳からの年金額は約6万円アップで約168万円。一方仕事を65歳まで継続し、厚生年金に加入する場合給与が25万円ほどになるので負担する保険料が約142万円、65歳からの年金額が約176.2万円と約8.2万円アップします。

また65歳まで働き、70歳まで年金を繰り下げると年金額は約250万円になりますから、税金等を支払ったとしても月20万円終身続く収入を確保できるのはかなり安心なのではないでしょうか?また持ち家のAさんなら、再雇用で収入が減ったとしてもこれから気を引き締めれば月々5万円の積み立てはできそうとのお話ですから、退職金も含めると、貯蓄額も増やせます。

無理をして非課税世帯になるのは「本末転倒」

確かに住民税非課税世帯には、さまざまな補助があります。しかしそれは、生活が大変だから受けられる支援であるわけですから、お元気なAさんが非課税世帯になるためにあれこれ工面するのは本質ではなく、自分のお金で楽しみながら暮らすために今できることを前向きに考えるほうが先決なのではないでしょうか?

そんな筆者の言葉にAさんは、「確かに、まずは自分自身の生活をしっかり成り立たせることを考えるべきですね。すぐにでも会社を辞めたいと思っていましたが、毎日釣りってわけにもいきませんし、もう少し頑張ってみる気持ちになりました」とおっしゃいました。

さて、もうひとりのBさんのケースをお話ししましょう。Bさんは、Bさんのお母さまが「どうも銀行から保険を勧められているらしい」と心配されていました。なんでも「お年寄りが銀行にお金を持っていると介護になったときに損をするから」と言われたそうです。「でも保険なら大丈夫だって言うのですが、そんなことってあるのでしょうか?」というご質問でした。お母さまは80歳、まだまだお元気ですが、確かに介護は気になります。

Bさんのお話から察すると、銀行の担当者は、介護保険の補足給付のことを言われたのだと思います。これは介護保険施設やショートステイを利用する際の食費・居住費の低所得の方への助成で、受けるためには年金収入だけではなく資産条件もクリアする必要があります。また今年8月からその資産条件が単身者1000万円、夫婦で2000万円だったところ、単身者500万円、夫婦1500万円と引き下げられるのです。

この資産とは、預貯金・有価証券・投資信託等が含まれ、銀行担当者がいう通り、生命保険は含まれません。この資産に関する条件は今後さらに引き下げられることも懸念されており、高齢者泣かせだと指摘する専門家もいらっしゃいます。

保険に入ることでかえって人生のプランが窮屈に

しかしこれは、補足給付のような助成がない在宅で暮らす高齢者と介護施設で暮らす高齢者間に不公平が生じないように、助成が偏らないように、資産をお持ちの方にはそれ相応に負担してもらいましょうという考えで設けられているものですし、そもそもお元気で施設にも入らず一人暮らしされているBさんのお母様には関係のない話です。

それに、勧められた保険は「満期には少し増えて戻ってくる」そうですが、そのときに介護施設に入っているようであれば、増えて戻ってきたお金が原因で助成が受けられなくなってしまいます。そうなったら、また「保険にしておかないと助成が受けられず損をしますよ」と耳打ちするのでしょうか?

あるいは自宅をさらに住みよい状態にリフォームしようというときに、「保険」にしてしまったがために現預金が足りないということになってしまうかもしれません。でも、保険の場合、満期日前に保険を解約すると、大幅に元本が割れてしまいます。

Bさんは、「やっぱり今回の保険の話は断ったほうがいいですね。そういうお話であれば母も納得すると思います」とおっしゃいました。

実際のところ、金融機関がお客様に「損をする」というワードを用いて誘導したのかどうかはわかりません。しかし、損得を誇張し本質とは異なる提案をしたのであれば問題だと感じます。

とはいえ、筆者もお金に関する情報提供の際には「損得」で表現する場面もあり、自身を振りかえり、反省もありました。改めて、お客様がこれからの人生どうありたいとお考えなのかをしっかりと把握したうえで、正しい情報をお伝えしようと思いました。

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提供元:銀行に「あなたは損しています」と言われたら?|東洋経済オンライン

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