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2021.08.25

困る前に知ってほしい「在宅介護の負担」抑える術|「通所系」を組み合わせて仕事と介護を両立する


在宅介護にはどの程度の費用がかかるのでしょうか(写真:つむぎ/PIXTA)

在宅介護にはどの程度の費用がかかるのでしょうか(写真:つむぎ/PIXTA)

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親の介護はある日突然、始まります。なかなか帰省できず、親の体調の変化にも気づきにくい今だからこそ、いざというときに困らないよう、介護にまつわるお金や体制づくりについて、知っておきたいもの。『図解とイラストでよくわかる 離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』を監修した特定社会保険労務士の池田直子氏が、今回は在宅介護にかかる費用について解説します。

前回:85歳で借金1000万も「介護離職の悲惨」避ける技

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85歳で借金1000万も「介護離職の悲惨」避ける技 ※外部サイトに遷移します

公的な介護制度を使えば、費用の負担を抑えられる

自分の親に介護が必要になった場合、家族だけで対応しようとせず介護サービスを利用するようにしたい。その理由の1つは、公的な介護制度を使うことで、かかる費用の負担を抑えることができるからだ。

介護サービスを利用するために、まず着手することは、要介護認定の申請だ。申請には親の住所地にある地域包括支援センターへ連絡する必要があるが、本人が入院中の場合には、家族が代理で行うことも可能。突然介護が必要になったときに、スムーズに手続きを行うためにも、親の住所地の地域包括支援センターがどこにあるのかをあらかじめ確認しておくとよいだろう。

申請が受理されると、認定調査が実施される。認定調査では、認定調査員が本人や家族に聞き取りをする「訪問調査」の内容と「主治医の意見書」を基に、コンピューターによる分析と、介護認定審査会を経て、要介護度が判定されるという流れになる。要介護度が決まったら、ケアマネジャーがケアプランを作成し、介護サービスを利用するという流れだ。介護サービスがどの程度利用できるかは、要介護度によって決まってくる。

要介護度は、要支援1・2~要介護1~5の7段階がある(出所:『離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』)

要介護度は、要支援1・2~要介護1~5の7段階がある(出所:『離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』)

要介護認定を受けると、介護にかかる費用が一定の自己負担額で済むようになる。これは、病院で病気やケガなどの治療をしたときに、窓口での支払いが3割負担(69歳以下)で済む公的医療保険制度の仕組みと同じだ。要介護・要支援度によって設けられた7段階の支給限度額があり、限度額内であれば、実費の1割で済む。年収が280万円以上の人は、自己負担割合が2~3割と上がっていく。

1カ月あたりの在宅介護サービス支給限度額と自己負担額の目安については、例えば、要介護1と認定された場合、支給限度額は16万7650円までのサービス利用なら、自己負担額(1割の場合)は、1万6765円、要介護5の場合は、支給限度額36万2170円で、自己負担額は3万6217円と要介護度が高くなるほど支給限度額は多くなる。支給限度額以上のサービスを利用した場合の費用については、10割負担となるため、介護サービス利用のケアプラン作りでは限度額内に収まるように配慮がされている。

要介護度が高いほど限度額も利用できるサービスも増えていく(出所:『離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』)

要介護度が高いほど限度額も利用できるサービスも増えていく(出所:『離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』)

介護と聞くと、すぐに老人ホームなどの施設への入所と思いがちだが、それだけではない。要介護認定を受けて介護サービスを利用する場合、「施設サービス」と「在宅サービス」の2つの選択肢がある。かかる費用の平均額のデータによると在宅での介護費用は月額4万6000円、施設での介護費用は月額11万8000円という結果となり、施設介護費用は在宅介護の2倍以上となっている。

自宅で付きっきりで介護をする必要はない

在宅介護と聞くと、自宅でずっと介護をするというイメージが強く、介護が必要になった親が1人で暮らしている場合、子どもが離れて暮らしている、仕事と介護の両立を目指したいとすると、在宅での介護は難しいと考えるかもしれない。

しかし、在宅介護の種類は主に3つ。

「訪問系サービス」とは、自宅で「身体介護サービス」や「生活援助サービス」を受ける一般的にイメージする在宅での介護のこと。

「通所系サービス」とは、「デイケア」や「デイサービス」と呼ばれ、自宅まで迎えがきて日中は施設で介護サービスを受けること。

「短期入所系」は、数日から1週間程度の短期間、介護施設に入所する「ショートステイ」と呼ばれるサービスのこと。

そのため、通所系や短期入所系サービスの在宅以外で利用できるサービスを組み合わせることで、在宅介護と言っても、自宅でずっと付きっきりで介護をする必要はないのだ。

在宅での介護は通所系と組み合わせて利用するのがベスト(出所:『離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』)

在宅での介護は通所系と組み合わせて利用するのがベスト(出所:『離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』)

在宅で介護をする場合、介護環境をきちんと整えることから始めたい。例えば、車いすや介護ベッドなどの福祉用具は、介護する側の負担軽減にもつながるので揃えておくと便利だ。また、室内を車いすで移動しやすいよう段差をなくすことや、お風呂やトイレに手すりを付けるなど、居住環境を整えることで、介護される人の自立度も高まる。

自宅をバリアフリー化するのは要介護者の自立を高めることも(出所:『離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』)

自宅をバリアフリー化するのは要介護者の自立を高めることも(出所:『離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』)

このような費用はどのくらいかかるのだろうか。SOMPOホールディグスの「介護費用に関する調査」(2020年)によれば、在宅介護の初期費用は平均64万円というデータがあり、ある程度、まとまった費用が必要になることがわかる。

こういった、介護環境を整えるための費用は、公的な給付制度を利用することで抑えることが可能だ。

車いすや歩行器、介護ベッドなどはレンタルすることができ、その費用は介護保険が適用となり、自己負担額は実費の1~3割。また、簡易浴槽などの購入が一般的な福祉用具も介護保険適用となり、支給限度基準額10万円までなら1~3割の自己負担で済む。レンタルでも購入でも市区町村指定の業者での利用に限り、ケアマネジャーへの相談が必要となる。

小規模な住宅改修も給付制度の対象

段差をなくす、手すりを付けるなどの小規模な住宅改修についても、給付制度の対象だ。厚生労働大臣が定めた種類の住宅改修であれば、自己負担割合に合わせて、上限18万~14万円まで給付を受けることができる。

この制度の利用もケアマネジャーへ相談する必要があり、事前に市区町村への申請手続きが必要で、認定期間内に改修工事を完了させるなどの条件がある。また、福祉用具の購入と住宅改修については、原則料金を支払った後、支給限度額分が戻ってくる仕組みのため、ある程度まとまった費用が必要となることを覚えておきたい。

給付制度利用にはケアマネジャーへ相談すること(出所:『離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』)

給付制度利用にはケアマネジャーへ相談すること(出所:『離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』)

在宅介護にかかる費用は、前述のとおり要介護度によって支給限度額が変わり、自己負担はその限度額の1~3割と決まっており、ケアマネジャーが作成するケアプランによって限度額を超えないよう配慮がなされている。しかし、サービスの内容によっては、介護保険適用外のサービスがありその費用は全額自己負担となる。

例えば、訪問介護の際の食事や入浴などの身体介助や掃除・洗濯などの生活援助は対象となるが、おむつやガーゼ代などの消耗品は自己負担など。そういった費用がかかることも覚えておきたい。要介護度が高ければその分費用が増えることや、遠距離介護なら通うための交通費などがかかることもあるのだ。

実際にどのくらい費用がかかるのか、デイサービスを週5回利用して働きながら介護をしているAさんの例を見てみよう。

仕事と介護を両立しているケース

Aさんは、同居している認知症の母を7年間介護している。同居ではあるが、玄関だけの完全分離の二世帯住宅で暮らしている。Aさんは、仕事と介護の両立をしているため、月曜日から金曜日の朝食と夕食の支度はAさんが担当し、日中はデイサービスでの介護サービスを利用。隔週での通院はAさんが付き添い、デイサービスまでの送りも担当している。

週末の土曜日、日曜日は食事の支度や午前中、午後と2回の散歩などを含めAさんがメインで介護役を担っている。デイサービスをうまく活用することで、介護と仕事の両立が実現できているAさんのケースを見てみると、近くに暮らしていれば、仕事と介護の両立は難しい選択ではないのかもしれない。

週5日はデイサービスを利用(出所:『離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』)

週5日はデイサービスを利用(出所:『離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』)

費用面については、どうだろう。介護保険利用はデイサービスの利用が中心となり、自己負担額は月額2万1000円程度。介護保険以外の費用が全体の半分以上を占め、約2万8000円。合計で5万円弱となり、母の年金で賄うことができているそうだ。Aさんのように、介護費用は可能であれば、親の年金や資産で賄うことが理想的と言える。

介護保険適用外費用が全体の5割以上を占める(出所:『離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』)

介護保険適用外費用が全体の5割以上を占める(出所:『離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』)

介護する側の事情も考慮する

ただし、介護にかかる費用は介護の状態や要介護度によってケースバイケース。子どもが介護にどのくらい関われるのかも、その人の事情によってまちまちだ。介護される人の要望になるべく沿い快適な介護生活を送ってもらうのが前提ではあるが、介護する側の事情も考慮しながら介護の進め方を考えていくといいだろう。

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また、Aさんの母親のように、認知症の場合、症状が進んでいくと見守りが必ず必要になってくることも。Aさんも排泄ケアについては自信が持てないと話しており、家族だからこそお互いに気を使ってスムーズに事が運ばないといったシーンも出てくるだろう。そういった悩みごとはケアマネジャーに相談したり、身近に介護経験者がいるなら相談したりするという方法もあるかもしれない。

在宅介護にかかる月額費用は、施設介護と比べて比較的負担が少ないということが一般的だ。ただし、要介護度が進むにつれその分サービス利用が増え負担が増すということもある。在宅介護をより快適に進めるため、福祉用具の準備や場合によっては、バリアフリー化などの住宅改修も視野にいれたい。そういった費用は、介護保険制度の利用や公的な給付制度の利用で抑えることができる。

また、介護費用は親の年金や資産で賄うように意識していくことが大切。しかし、要介護度が高くなることや、介護期間が長期間にわたるなどのさまざまな事情から、親の費用負担が増え、年金や貯蓄で賄うことが厳しくなることはゼロではない。そのことはあらかじめ心得ておき、親の資金繰りが難しくなったら、子どもが費用面のサポートをすることも家族で話し合っておくといいだろう。

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