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2021.06.10

日本人は「糖尿病の真実」をあまりに知らなすぎる|堀江貴文氏が最新情報を追い続ける理由


今や「国民病」といわれている糖尿病、なぜ日本人は糖尿病になりやすい?(写真:towfiqu/PIXTA)

今や「国民病」といわれている糖尿病、なぜ日本人は糖尿病になりやすい?(写真:towfiqu/PIXTA)

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宇宙ロケット開発など実業家として知られる堀江貴文さんは、2015年から予防医療に取り組んでいます。堀江さんの最新刊『糖尿病が怖いので、最新情報を取材してみた』をもとに、予防医療に携わるようになった経緯と、今回の糖尿病予防プロジェクトについて伺いました。堀江さんの言葉そのままに、一気に掲載します。

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糖尿病の映画まで作ったワケ

2015年5月、国立国際医療研究センター国府台病院の上村直実院長(現・名誉院長)に取材したときのこと、「日本人の胃がんの99%はピロリ菌が原因で、ピロリ菌を除菌すれば胃がんを減らせるにもかかわらず、ピロリ菌検査・除菌を行う人がとても少ない」ことを知った。 

日本人の胃がんの発症率は欧米の5倍以上だ。つまり、「防げる死」が放置されている。助かる病気で死ぬなんて馬鹿らしい。情報を広く知らせるべきだと痛感した僕は同年10月、予防医療普及委員会を仲間とともに立ち上げた。その目的は、予防医療に関する最新知見や情報を収集し、発信すること。これは2016年3月に一般社団法人 予防医療普及協会となり、現在に至っている。

そして、今回僕が取り組んだのが、今や「国民病」とまで言われている糖尿病だ。現在、日本人の6人に1人は糖尿病、または糖尿病予備群で、それぞれ約1000万人もいる(厚生労働省 平成28年「国民健康・栄養調査」)。しかも、コロナ禍の自粛生活のなか、過食・運動不足・ストレスが重なり、糖尿病の病態が悪化している人が増えているようだ。

ところが、多くの人は糖尿病のことを知っているようで、その実態を知らない。なぜなら、糖尿病は深刻な合併症(これが怖い!)が現われるまで、ほぼ自覚症状なしで進んでいくからだ(「サイレントキラー」という)。

糖尿病の怖さを多くの人に知ってもらいたい、後悔してほしくない。そんな思いから取材を始め、ようやく本としてまとめることができた。それが、『糖尿病が怖いので、最新情報を取材してみた』だ。また、同書と並行して、映画『糖尿病の不都合な真実』も製作した。こちらは5月1日より、無料で視聴できる。

まずは、西アズナブルさんのマンガを読んでほしい。取材先の下北沢病院は、日本で唯一の「足」の総合病院だ。

『糖尿病の不都合な真実』 ※外部サイトに遷移します

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いかがだっただろうか。権利の問題から一部しか公開できないが、本書では20ページにわたって展開されている。マンガに登場した岡本陽子さん(仮名)が語る「糖尿病の真実」は、予備知識を持って取材に臨んだ僕ですら、衝撃的だった。気づかないうちに人生が壊れてしまいかねない病気。しかも、治療しても完治しない病気。それが、糖尿病なのだ。

そもそも糖尿病とはどのような病気なのだろうか。基本から解説してもらうために、東京都済生会中央病院に渥美義大医師(現在はクリニックフォアグループ所属・糖尿病専門医)を訪ねた。東京都済生会中央病院は、糖尿病の「教育入院」を日本で最初に始めた医療施設で、糖尿病治療では定評がある。

教育入院とは、糖尿病について正しい知識を得ることを目的としたもので、治療開始時や病態管理がうまくいかない時に数日から数週間入院するものだ。それだけ、糖尿病の仕組みがわかりにくいということでもある。渥美先生、糖尿病について簡単に説明してください。

「糖尿病を一言で言えば──膵臓から分泌されるホルモンのインスリンが十分に働かないために血液中のブドウ糖(血糖)が増える病気──ということになります。糖尿病は特異な病気です。たとえば、病院などでは心臓の病気を診る医師、胃腸の病気を診る医師のように、臓器別に分けられることが多いですが、糖尿病の専門医は1つの病気を専門としています。これは治療や合併症を含め、臓器別に分けられないということで、この病気に対する患者さんの理解を難しくしている一因です」

なるほど。血糖が増える=血糖値が高いことは体に悪いんですか?

「血糖値は飲食のたびに上がり、およそ1時間後に上昇のピークを迎えます。元の状態に下がり切るのは、食後2~3時間ほど経ってから。食後に血糖値が上昇し始めると、膵臓からインスリンが分泌されます。インスリンの作用によってブドウ糖は細胞に取り込まれ、私たちが生きていくエネルギー源となるのです。私は患者さんに、体温を例にして『高血糖の害』を説明しています。人間の平熱は多くの場合36度台ですが、血糖値が高いということは体温39~40度で過ごしているようなものです」

日本人は糖尿病になりやすい

「インスリンの分泌は、人種によって差があります。欧米人は日本人の1.5~2倍の分泌能力(分泌能)があると言われています。だから、欧米人は過剰な食事を取っても、それに見合うインスリンが分泌され、余分な栄養が脂肪として蓄えられるため、太っている人が多いのです。いっぽう、日本人を含むアジア人はインスリンの分泌能が欧米人に比べて低いために、太れない。と言うより、太るよりも先に糖尿病になってしまうのです。つまり、アジア人は欧米人に比べて糖尿病になりやすいと言えるのです」

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『糖尿病が怖いので、最新情報を取材してみた』(祥伝社新書) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

戦後、日本人の糖尿病の有病率は激増し、その傾向は現在も続いている。大きな原因は、食生活の欧米化だ。僕ら日本人は欧米人よりも糖尿病になりやすいのだから、この問題は深刻だ。また、糖尿病の合併症で1年間に約1万人が足を切断している(交通事故死の3.5倍)。同じく合併症で人工透析を受けている人は現在34万人を超え、死亡数は1年間で3万4000人……まだまだあるけど、ここで止めておく。僕が警鐘を鳴らす理由がわかってもらえただろうか。

とはいえ、怖がっているだけでは僕が取材した意味がない。次回は、21世紀に登場した画期的な治療法を紹介したい。10年前の常識がまったく通用しないほど進化していることに驚くかもしれない。

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提供元:日本人は「糖尿病の真実」をあまりに知らなすぎる|東洋経済オンライン

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