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2021.04.30

SNSでくよくよ悩む人に教えたい「3:1の法則」|幸福学者に聞いた「感情バランスの保ち方」


SNSで不幸にならない方法を解説します(写真:Chinnapong/iStock)

SNSで不幸にならない方法を解説します(写真:Chinnapong/iStock)

多くの人の生活の一部となっているSNS。LINE(ライン)、フェイスブック、ツイッター、インスタグラム、TikTok(ティックトック)など特定のプラットフォームを常時利用する「住人」と呼ばれる人たちも少なくありません。中には、寂しさを紛らわすためにSNSを使っているはずが、逆に孤独感や疎外感が増して、ネガティブな感情が強まる人もいるといいます。

使い方次第で天国にも地獄にもなるSNSの活用方法について、『99.9%は幸せの素人』の共著者で幸福学の第一人者の前野隆司氏に話を聞きました。

(取材・文:樺山美夏)

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SNSの使い方によって「幸福度」が変わる

――コロナ禍の自粛生活が長引いた影響か、SNSを一日中利用している“SNS住人”が増えたように感じます。前野先生はSNSをどのように活用していますか。

いちばんよく使っているSNSはフェイスブックですね。5000人以上いる友人知人やフォロワーに向けて、幸福学に関する長めの文章を書くことが多いです。インスタグラムとツイッターもアカウントは持っているんですが、ほとんど使っていません。

SNSの幸福度について数年前にある県でアンケート調査をしたことがあるのですが、その時のその県での結果は、フェイスブックとツイッターでは、フェイスブックを使っている人のほうが幸福度は高いという調査結果でした。ほかのSNSは調べませんでしたし、人数が少なかったので今後の研究課題ではありますが、ツイッターはネガティブな言葉を吐き出す人が多いから幸福度が低めになったのかもしれません。

――SNSも、使い方によって幸福度が変わるということですね。

どのSNSを使っていても、ポジティブな住人だったらいいんです。「リア充」ではなく「SNS充」と言えるほど、SNSで幸福感を得られるのであれば、まったく問題ありません。10時間ずっとSNSだけやって、「たくさん発信して情報収集もできたから大満足!」と思えるような人です。

でも、他人のフォロワー数や「いいね」の数に嫉妬したり、愚痴や不満を吐き出して人を攻撃したり、「今日もSNSばかり見てしまった」と後悔するネガティブな住人は、どんどん不幸になる可能性があります。

――発信するだけで、他人の投稿はほとんど見ない人と、逆に発信はまったくせずに他人の投稿を読むだけの人もいます。

僕は、発信が8割、読むのが2割くらいです。自分が書き込んだときに、たまたまタイムラインにあがってきた情報を見るだけで、人の投稿はほとんど読んでいません。情報は、受け身よりも、主体的に発信するほうが人を幸せにします。しかもその発信内容が利他的で、人を楽しませたり、人の役に立ったりする内容であれば、幸福度はさらに高い傾向があります。

反対に、自己満足で終わっている自慢話の発信は、自分のためにも他人のためにもやめたほうがいいでしょう。SNSで、美味しいものを投稿して「リア充」自慢している人がたくさんいますが、自分の幸せをアピールするだけの人は、印象がよくありません。

逆に「この美味しい料理をみなさんにも食べてほしいから紹介したい!」と、レシピまで教えようとするスタンスの人は利他的で、読む人の気持ちを考えているので好感度が高まります。すると、リプやコメントにも、「教えてくれてありがとう!今度作ってみます」といった好意的なメッセージが集まり、お互いハッピーな気分になれるのです。

「利己的」か「利他的」か、わかってしまう怖さ

――SNSには、美しい景色、めずらしい風景、プラベートの写真を投稿している人も多いです。そういった使い方についてはいかがですか。

例えば、「ハワイの貸別荘に来ています。ここはホテルより安くて快適で、最高の景色が見えるのでハワイにくることがあったらオススメです!」というひと言があると、利他的ですよね。見ているほうも、行ってみたいなと素直に思えて嫌な気持ちはしません。

ところが、「ハワイの貸別荘に来ています。最高の景色で幸せ!」とだけ書いてあると、見ている人は「ふーん」で終わってしまう可能性が高いのではないでしょうか。ほんのちょっとしたひと言で、利己的か利他的かがわかるのがSNSの怖いところなのです。

ですから、自分が経験した感動や幸せを分かち合いたい、あるいはほかの人にも体験してほしいと思ったら、必ずその気持ちを一言伝えてください。そうすると、発信するほうも見ているほうも幸福感が増しますから。

――インスタグラムの世界では、美容、健康、料理、ファッションなど、競い合うようにこだわりの写真や動画を投稿している人も多いです。インスタグラムのために手間と時間とお金を使うことは幸せなのでしょうか。

「美しいものを作る人は幸福度が高い」という研究結果があります。インスタグラム映えする写真がバッチリ撮れたときの喜びは、美しいものを作る喜びの一種ですから幸せでしょう。

ヨガや筋トレもそうですよね。理想の体型を目指してダイエットしたり、筋トレして肉体を鍛えたり、ヨガですごいポーズを決めるのは、アートに近いのではないでしょうか。自分が目指す肉体美を手に入れたら、達成感や満足度も高まるので幸福度も上がります。

僕は、インスタグラムは「アートの民主化」を進めた活動だと思っています。昔は芸術家って、一部の選ばれた人だけがなるものと思われていました。けれども今は、誰でも自分の作品をSNSで発表できますし、人気があれば仕事にもつながっていく時代です。

「インスタ映え」にこだわるのも、ポジティブな気持ちでやるなら問題ありません。自分よりスタイルがいい人の写真を見て、「よし、私もがんばるぞ!」と前向きにライバル心を燃やすなら問題ないのです。

反対に、周りと比較して「やっぱり自分はダメだ」「自分はいくらがんばっても無理だ」とマイナス思考が強まってしまうタイプの人は、SNSは使わないか、制限したほうがいいと思います。

――先生が提唱する幸せの4因子(自己実現と成長、つながりと感謝、前向きと楽観、独立とマイペース)の1つに、「独立とマイペース(自分らしさ)」があります。SNSの幸せな使い方も、これがポイントでしょうか。

まさにその通りです。独立性があってマイペースな人は、他者と自分を比較しません。人の目を気にせず、自己概念も明確な傾向があります。「自分の軸」がはっきりしているんですね。不幸な人はその逆で、軸がはっきりしていないから、フォロワー数や「いいね!」の数に一喜一憂する。人の幸せそうな投稿を見て、嫉妬したり妬んだり、ネガティブな感情を抱いてしまう。それが不幸の始まりなのです。

マイナス感情のはけ口にする人たちの不幸

――ツイッターの場合、対立が起きやすいので、自分と意見や考えが異なる人をバッシングする人も多いです。

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わざと炎上するようなことをつぶやいて、注目を集める人もいますから。偽名で他人を誹謗中傷するような人は、いじめと同じで「いい気味だ!」と、マイナス感情のはけ口にしてストレスを発散しているのでしょう。それは「他人の不幸は蜜の味」と思っている人たちですが、結局、そういうことでしかストレス発散できない人たちがいちばん不幸なのです。

もちろん社会には一定の批判精神も必要です。ポジティブ心理学のフレデリクソンは、ポジティブな感情がネガティブな感情の3倍以上で「3:1」の比率を上回っていれば、人も組織もうまくいくと言っています。その後、3:1かどうかは議論の余地があるとも言っていますが……。

SNSも同じで、自分の感情のバランスが「3:1」を維持できずにネガティブな感情が強まるようであれば、他人の投稿は見ないようにするなどして、使い方を見直したほうがいいでしょう。

――ほかにも注意点はありますか。

車と同じで、使い方を間違えると交通事故に遭いますよ、ということです。車は規制やルールが細かくあって、アルコールを飲んだら運転できません。インターネットの社会もリスクが多いので、本当は規制やルールを作るべきなのです。でも今のところそれがないので、SNSも「飲んだらやらない」と、自分でルールを決めてもいいと思いますよ。酔っ払っているときにSNSで暴言、失言を投稿して、後悔している人もいますから。

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【あわせて読みたい】※外部サイトに遷移します

「迷惑系YouTuber」逮捕されても反省しない理由

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提供元:SNSでくよくよ悩む人に教えたい「3:1の法則」|東洋経済オンライン

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