2021.04.06
「貯金が増えない人」に決定的に欠けている視点|日常生活での「お金の流れ」が見えていない
お金を貯めるには生活のどの部分を変えたらいいのでしょうか(写真:xiangtao/PIXTA)
20代ももう後半。30歳は目の前なのに、貯金がありません。仕事はしていますが、たいしたキャリアもなく、結婚も……当分なさそうです――。
20代後半の女性から寄せられた切実な相談内容に、ファイナンシャルプランナーが回答した書籍『年収200万円の私でも心おだやかに毎日暮らせるお金の貯め方を教えてください!』から一部抜粋・再構成してお届けします。
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お金の流れを見えやすく
相談者:
ちゃんと家計簿を付けようと決心したんですけど、でも私あんまりそういうの得意じゃなくて……。なるべくもっとラクにお金を管理できる方法があればうれしいなと。こんな発想、ナマケモノでしょうか?
坂本綾子(以下、坂本):
そんなことはありません。お金の管理は、お金を有意義に使うための手段で、目的ではないので、手間をかけずにできるならそのほうがいいに決まっています。ラクをするには、お金の流れを整えておくことです。自動積立定期の設定と同じで、一度、決めて実行すればあとはラクチン!
相談者:
お金の流れ?
坂本:
はい。とくに最近は、複数の支払い手段を使えるので、お金の流れが見えにくくなりがち。これを見えやすくするには、どの支払い方法で何を買うのかを決めるのが簡単で効果大! 電子マネーやクレジットカードはいくつ使っていますか?
相談者:
電子マネーはふたつ、クレジットカードも2枚、使っています。
坂本:
使い分けはしていますか?
相談者:
使い分けと言われても……。電子マネーは通勤定期用がひとつ。ここにチャージして遊びに行くときの交通費、自販機やコンビニでの買い物にも使っています。もうひとつは、コンビニで使うとポイントが貯まるので作りました。残高を見て、テキトーにふたつを使っています。
坂本:
では、通勤定期用の電子マネーは交通費だけに。遊びに行くための交通費をチャージしたときは、その分だけを家計簿の娯楽費につけてください。コンビニでポイントが貯まるほうは、さっき言ったとおりコンビニのおやつだけに。電子マネーはこれでスッキリ、通勤定期代以外は娯楽費です。次にクレジットカードです。2枚のクレジットカードは使い分けていますか?
相談者:
いえ、とくには。
坂本:
では1枚を日常の生活費用に。もう1枚を特別支出用にします。日常の生活費用は、食費や雑貨など毎月の手取り収入から出す支出をクレジットカード払いにしたいときに使います。光熱費や携帯電話料金なども、このクレジットカードで払うようにすると毎月ポイントが貯まります。
特別支出用のカードは、旅行代金や家電製品の買い替え、季節の変わり目に買うコートやバッグなど値の張る買い物に使います。毎月の手取り収入から1回で払うには金額がはるものが多いので、特別支出用にお金を貯めてから使います。だからこっちのカードは1年に数回しか使いません。
相談者:
日常の生活費と、特別な支出でクレジットカードを使い分けるってことですか?
坂本:
そうです。これでクレジットカードもスッキリ。普段は生活費用のクレジットカードの予算が守れているかだけ確認すればOK。電子マネーとクレジットカードの使い分けは、決めたとおりに使うだけなので、簡単です。
銀行口座はどう使い分ける?
坂本:
次は銀行口座の整理です。手間がかかる可能性があるのは銀行の使い分けです。銀行口座はいくつ持っていますか?
相談者:
え~っと、3つです。1つ目は子どもの頃、親が作ってくれて、お年玉を貯めていた郵便貯金。今はゆうちょ銀行ですね。お金が足りないときに引き出して使ってしまったので、残高はほぼゼロ。
2つ目は高校生の時にバイト代を振り込んでもらうために作った銀行口座。さっき教えてもらった分類では都市銀行です。光熱費と携帯電話代とクレジットカードの片方はここから落としています。
3つ目は就職したときに作った銀行口座で地元の地方銀行です。会社で給与振込の銀行が決まっていて、作るしかなかったので。だから給与はこの銀行に入ります。プロバイダ料金と、もうひとつのクレジットカード料金はこっちから引き落としています。
坂本:
ふたつの銀行から毎月ばらばらに引き落としているんですね。いちいちお金を動かすのが面倒ではありませんか?
相談者:
そうなんです。少し多めに入金しておければいいのだけれど、ギリギリなので毎月ATMで出してはATMで入金しています。
坂本:
引き落としはすべて給与振り込み銀行に変更しましょう。収入が入る口座と生活費を落とす口座は同じほうがお金を動かす手間が省けてラクですよね。そのうえ、1カ月の収支も一目瞭然です。
自動積立定期預金もここから引き落とすので(ネット銀行への自動入金もこの口座から)、毎月の手取り収入がいくらで、そこからいくら積み立て、使ったお金(引き落とされた支出)がいくらで、残ったお金がいくらかもわかります。
相談者:
クレジットカードは、生活費用と特別支出用を使い分けることになりましたが、両方とも?
坂本:
そうです。支出はすべて給与振込の銀行から出します。
使わない銀行口座は解約
相談者:
今さら変えるのは面倒……、だけど気合を入れて変更すれば、毎月お金を移す作業はなくなるし、確かにお金の流れがスッキリしてわかりやすくなりますね。じゃあ、残りのふたつの銀行はどうすればいいですか?
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坂本:
どちらかを解約しましょう。使わない銀行口座は、すみやかに解約するのが鉄則です。ずっと出し入れがない預金は、一定の期間が過ぎると休眠預金になるからです。いったん休眠預金になっても、本人確認書類などをそろえて手続きすれば、口座のお金を引き出して解約することはできますが、そんな面倒なことたぶんしませんよね。
それなら使わなくなった段階でさっさと解約するほうが簡単で、すっきりします。口座に残っているお金も失くさずにすみます。それぞれの銀行のサイトを見て、利用できる商品やサービスを比べ、どちらを残すか決めてください。残したほうの銀行は急な支出に備える予備費を入れておいたり、生活費用の銀行口座とは分けてお金を増やしたりするために使います。
上手に活用できそうなら、積立定期預金ができるネット銀行に口座を開いて、もう1つの銀行として使ってもいいですね。銀行口座は使い方別に2つ、多くても3つあれば、普通の収入で普通に生活するには十分です。こうしてお金の流れを整え、お金の流れが見えやくなっていれば、使いすぎたり、お金が足りなくなってせっかく積立てた分を取り崩さずにすみます。
今後はラクになってなまけるためにも、銀行口座の整理を、一回、頑張ってください。
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提供元:「貯金が増えない人」に決定的に欠けている視点|東洋経済オンライン