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2020.12.08

私たちが信じる「節約ワザ」2020年で消えるもの|コロナは節約の知恵にも影響を及ぼしている


新型コロナウイルスは私たちの日々の「節約」にも、影響を及ぼしています(写真:IYO/PIXTA)

新型コロナウイルスは私たちの日々の「節約」にも、影響を及ぼしています(写真:IYO/PIXTA)

新型コロナウイルスは私たちの暮らしを変容させたが、その影響は「節約」にも及んでいる。これまで定番だった節約ワザが、ことごとく消滅の危機に瀕しているからだ。

これは笑い事ではない。1円でも安くしたいという庶民の知恵が通用しなくなるとは、じわじわ家計費がアップすることを意味するからだ。実際に、その影響は家計を苦しめている。

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まず、食費問題。

これまでは、スーパーの特売セールをチラシでチェックしたり、値引きシール品を狙って閉店間際に出かけたり、「5%引きデー」にまとめ買いするというのが定番ワザだった。また、スーパーごとに異なる特売日をはしごするなど、複数の店を回っていた人もいただろう。

しかし、コロナ下ではどうか。電子チラシサービス「Shufoo!」が発表した買い物に関する意識調査によると、毎日スーパーに行っていた人の割合は、コロナ前の21.7%から現在では12.3%とほぼ半減したという。一方、 「週に1回程度」は24.5%から33.9%と9.4ポイント増、「月に2回程度」は1.3ポイント増、「月に1回程度」は0.3ポイント増と、全体的に来店頻度が低くなっている。

さらに、店でに滞在する時間も短くなった。「20分未満」が31.9%から45.7%と約1.5倍になったのに対し、「30分以上」(「30分~1時間未満」「1~2時間未満」「2時間以上」を合算)は31.8%から20.6%とダウン。

そのため、買い物の仕方も前とは違っている。「予定していたものだけを購入」が16.1%から30.4%と約2倍に急増し、「8割は予定せず、店頭で判断したものを購入」が20.3%から9.2%と半減したというのだ(「凸版印刷・ONE COMPATH『Shufoo!』調べ)。つまり、スーパーの値段を見る前に買うものを決めて、なるべくよそ見をせず、買い物が済めばさっさと帰る客が増えたことになる。

「その日の特売品で食費を安く」は絶滅か

「食費節約達人」の手法には2パターンがある。

先に1週間分のメニューを決めてそれに沿って買いものするタイプと、こまめに店頭に行ってその日の特売品を買って、そこからメニューをひねり出すタイプだ。家族構成や料理頻度でも異なるものの、「特売で安いものを買って使い切る」のを節約の柱としていた人は、方向転換せざるをえない。

しかも、先の調査によると、買い物にいく店を選ぶ理由は 「お店が近い、行きやすい」からが67.7%となり、「商品が安い」を上回る。移動時間を短くしたい心理があるわけで複数の店舗を買いまわることも減っているだろう。巣ごもり生活で購入量が増えているだけでなく、こうした買い物行動の変化も食費を押し上げていると思われる。では、今後の食費節約はどうあるべきだろうか。

まず考えたいのは、「まとめ買いをベースにした予算立て」だろう。

月の食費予算から米など大物の分を除き、残りを日割りで計算する。買い物に行く頻度に合わせて、何日分を買うのかを掛け算する。日用品を同じ店で買うことが多いなら、その予算を合計してもいい。現金派は、とにかくその金額しか財布に入れないで出かけることだ。週末にまとめ買いをする家庭は、月曜からではなく週末が予算執行のスタートとする。

キャッシュレス派は「あといくら、使えるお金が残っているか」を管理するのがポイントになる。プリペイド式電子マネーを食費専用にするのが手っ取り早い。1週間分の予算額をチャージしておくのが管理しやすいだろう。

ただし、チャージできる最低単位は異なり、nanacoやWAONは1000円単位(上限5万円。WAONは上限2万円から変更手続きする)、鉄道系のSuicaは500円単位で上限2万円、PASMOは1000円単位で上限2万円(ただし、鉄道会社の券売機で10円単位でチャージ可能の場合も)などだ。利用金額に応じてポイントもたまるので、それもまた電子マネーに変えて食費にあてる。

次に予算内に収めるための買い方だが、売り場の配置に任せず、「買い物は肉・魚売り場から」がいい。特売品や単価の安いものからあれこれ買っていると、気づくと予算オーバーになっていることがあるからだ。まず価格が大きくなるメインの肉や魚を確保して、残金の範囲でサブの食材や特売品を買うほうがいい。

なお、“3品まとめ買いで割引に”というセット商法は、平時なら余計な買いものが増える元なのでお勧めしないが、コロナ下のまとめ買い用と考えれば悪くはない。コツは、同じものを2品あるいは3品選ぶことだ。豚肉とひき肉と切り身魚をバラバラ選んで買うのではなく、豚肉×3、ひき肉×2+切り身魚×1というように。異なる3品を中途半端な量で買うよりも、単品の分量を2~3倍にしたほうが料理には使いやすい。

買い物するにも不自由になったとはいえ、悪いことばかりではない。買い物回数が減ることで、「買わなくてよかったもの」も減る作用がある。デジタルに金額を計算し、適正な予算内で適量を買う。シンプルだが、食費節約はそれに尽きる。

光熱費の節約は「自然とともに生活」へ

次に節約が難しくなったのは光熱費だ。とくにこれからの季節は暖房が欠かせない。エアコンを使っている家庭であれば、夏より冬のほうが電気代が跳ね上がる。ガス暖房も同様だ。

これまで最も有効だった節約法は、「家にいないこと」だった。それも、出先でお金を使わずに済む図書館や公共施設に出かけるのがベターだったのだが、コロナ感染対策で施設自体が閉館したり、利用を控える呼びかけがされた。家にいるしかない。

さらに使用料が増えているので、よく言われた「アンペア数を下げて基本料金をダウンさせる」というワザも使えない。家にいながら暖房費を節約するにはどうするか。もはや家での活動時間帯をずらし、暖房や照明の利用時間を減らすしかない。つまり、「自然のリズムに合わせて暮らす」わけだ。

早起きして暖かい日中に活動し、夜間はなるべく早めに就寝して照明や暖房を使う時間を短縮する。すると、テレビをつけっぱなしにしたり、スマホを眺めているうちに、ついECサイトで買い物をしてしまうことも減らせる。自然のサイクルに合わせた暮らしは財布にも優しい。

なお、節約のため暖房の温度を下げるなら厚着は欠かせなくなる。ちなみに、「首のつく場所」つまり、首、手首、足首を冷やさず、温めるのは大事だ。室内で暖房の温度を低くするなら、とくに足首をしっかりカバーすると体が冷えにくい。冷暖房などなかった昔の人は、こういう暮らしの知恵を重ねてきたのだろう。

金券ショップ活用法も撃沈中

コロナのせいで存亡の危機にあったと思われたのは、金券ショップだ。まず、出張が減り、旅行が制限されたために、売れ筋の新幹線回数券や航空会社の株主優待券の需要が落ち込んだ。さらには美術展やテーマパークの前売りチケットも、コロナ感染対策のため日にち指定が必要に。公式オンラインサイトで予約・購入しなくてはならず、金券ショップで買ってもそのままでは使えないパターンが増えていった。

ダメ押しのように、JR東日本は、来年には紙の回数券をなくすと発表した(定期券用新幹線自由席回数券は2021年3月31日、指定席タイプの新幹線回数券は2021年6月30日で販売終了)。今後は、Suicaなど交通系ICカードがあれば特急券を買うことなしに新幹線(自由席)に乗れるサービスを開始、デジタルシフトに伴い紙の切符を廃止していく。今はJR東日本の話だが、近い将来、東海道新幹線などの回数券も廃止の道をたどるのではないか。金券ショップがバタバタ廃業しないか心配になる。

ただし、JR運賃についてはまだ活用できる金券がある。JTBの旅行券だ。旅行需要が落ち込んだため、金券ショップでの人気は落ち気味らしく、1万円券が9200~9300円程度で買える。JTBの旅行券はJRの切符が購入できるので、安くなっているうちに買っておくのもいいのでは。この券には有効期限がなく、お釣りが出るので使い勝手がいい。JTB店舗でのGoToトラベル対象旅行商品にも使える。

とはいえ、今後はさまざまなチケットがデジタル化し、そこにポイントや割引をつける動きにシフトするだろう。すべてがデジタル化するにつれ、これまで親しんできたアナログ節約術がことごとく消えていく。アフターコロナの世界はやはりなんとも味気ない。

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提供元:私たちが信じる「節約ワザ」2020年で消えるもの|東洋経済オンライン

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