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2020.08.21

「ポイントで株投資」が初心者に広がり始めた訳|投資未経験者の資産形成のハードルを下げる


買い物などで貯まる「ポイント」を投資に回すサービスで、投資を疑似体験する人が増えているようです(写真:USSIE/PIXTA)

買い物などで貯まる「ポイント」を投資に回すサービスで、投資を疑似体験する人が増えているようです(写真:USSIE/PIXTA)

フィンテック企業や証券会社などが、買い物などで貯まる「ポイント」を投資に回すサービスを次々に打ち出している。スマートフォンで売買できるものも多く、1株数百円から買える手軽さが人気だ。

昨年話題になった「老後2000万円問題」など人生100年時代を見据えた資産形成、このコロナ禍で第2の収入源を模索する人も多い。各社は心理的ハードルの低いポイント投資から始めてもらい、お金を使った本格運用を促す狙いだ。

「nanaco」や「ANAマイル」にも対応

愛知県在住のメーカー勤務の男性(36歳)は昨年秋からフィンテックベンチャー、TORANOTEC(トラノテック)の少額投資を始めた。男性は妻と就学前の子供の3人暮らし。自分の給与と退職金を計算したときに「定年退職後に余裕をもって生活できないのではないか」と、不安を感じたことがきっかけで、5年ほど前から投資を始めた。

これまで日本株やFX(外国為替証拠金取引)など複数の投資に参戦してきた。だが「FXで50万円ほど損をした。レートをチェックするために仕事中もスマホを手放せなかった」と振り返る。「無理なく、少しずつ運用益を出したい」と始めたのが少額投資だ。

トラノテックのサービス「トラノコ」は、ポイントとおつりでの投資を組み合わせている。特徴は対応するポイントの種類の多さで、電子マネーの「nanaco(ナナコ)」やANAホールディングスのマイル、ポイントサイト「ポイントタウン」など8種類が使える。

おつり投資の仕組みもユニークだ。事前に登録したクレジットカードや電子マネーに自分が金額を設定したうえで買い物をすれば、5円から1円刻みでおつり分を投資に回せる。

例えば100円単位で設定した場合、120円の商品を買えばおつりの80円分が自動的に投資に回る。投資先はリスクに応じ3段階のファンドから選ぶ「お任せ運用型」で、ポイントとおつりでの投資に加え、7月からは歩いた距離に応じて投資に回せるポイントがたまる「歩数計アプリ」のサービスも始めた。

男性は、毎月1万~3万円ほどをおつり投資に、約2000円分をポイント投資に回す。今は日本株の個別銘柄投資とトラノテックの投資サービスで資産運用しているといい「FXで負けた分を取り戻し、定年までに投資で200万円貯めることが目標」と話す。

同社のジャスティン・バロック社長は「日常生活の中で、多くの人が投資への接点を持てる仕組みを考えた」とサービスを立ち上げたきっかけを説明する。ユーザーは投資初心者が多く、年齢は40代までが約8割を占める。「ポイントが失効する前に投資で有効活用したい」という人も多い。藤井亮助取締役は「アメリカはクーポン文化だが、日本人はポイントが好き。心理的なハードルも低い」と話す。

ポイントを株式投資に活用する動きは、証券会社の間でも広がっている。NTTドコモとSMBC日興証券の投資アプリ「日興フロッギー」は今年3月、ドコモのdポイントで株が買える新サービスを立ち上げた。東証上場の約3700銘柄などが対象で、100ポイント(100円)から買うことができる。どの銘柄を選べばよいかわからない初心者は、日興フロッギー内に掲載されている企業情報の記事を読み、直接株を買える。

ポイント投資は若年層のユーザーが多いイメージがあるが、2020年5月時点、40、50代のユーザーが過半数を占める。実数は非公表だが、dポイントのサービス開始前と開始後それぞれ3カ月間の1日当たりの新規口座開設数を比較すると、開始後は6.5倍に伸びている。

NTTドコモFinTech推進室の倉島猛主査は、「利用者を伸ばせた背景には、dポイントで投資を疑似体験できるサービスで『投資の入り口』をつくってきたことが大きい」とみる。同社は2018年から、dポイントで株を疑似運用できるサービスをスタート。投資を始める際に必要な口座開設などが不要で、投資未経験者やまとまった資産を持たない若年層などが利用し、現在サービス利用者は65万人を突破している。

疑似運用サービスでは、お任せ運用に加えて、金やヘルスケアなど好きなテーマを選べるコースも設けた。コロナ禍で株価が乱高下したこともあり、値崩れしない「金」や「クリーンエネルギー」が人気だという。

投資未経験者向け資産形成サービス続々

このほか、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)とSBI証券が立ち上げた「SBIネオモバイル証券」は、Tポイントを使ったポイント投資を展開している。現金とポイントを組み合わせることもでき、2019年4月の開業から、11カ月で30万口座を突破した。

銘柄指定からお任せ運用までさまざまなタイプがある(出所)筆者作成

銘柄指定からお任せ運用までさまざまなタイプがある(出所)筆者作成

SBIネオモバイル証券によると、初回の取引は約7割の人がTポイントのみを使うが、2回目以降はお金を使った投資の割合が増えている。ポイント投資をきっかけに、投資未経験者が資産形成を始めていることがうかがえる。

野村ホールディングスもLINE証券で、対話アプリ「LINE」のポイントを使って直接投資できるサービスを展開する。東証上場の3700銘柄を扱い、1株数百円から取引できる銘柄も用意している。

昨年6月、金融庁が発表した報告書「高齢社会における資産形成・管理」が大きな議論を呼んだ。金融審議会の「市場ワーキング・グループ」がまとめたこの報告書は「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では、毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ20~30年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で1,300万~2,000万円になる」としている。そのうえで老後の生活において、公的年金以外で賄わなければいけない金額がどの程度になるか考える重要性を指摘している。

しかし、当時の報道によると、報告書を巡っては野党などから「公的年金制度に不安を抱かせる内容」「投資への誘導を急ぐためのもの」などの反発の声が上がった。結果、麻生太郎財務相がこの報告書を受け取らないという異例の事態になった。

この「老後2000万円問題」が投資に注目が集まるきっかけになったとみる金融関係者は少なくない。実際、個人投資家は増加傾向で、東京証券取引所が今年7月3日に発表した2019年度の個人株主数は前年度比199万人増加して5672万人と過去最高になった。

コロナ禍が将来の資産形成を考える機会に

投資初心者が増えたもう1つの背景は、新型コロナウイルスの感染拡大を懸念した相場の変動だ。株価は一時的に急落。このときの安値をチャンスと捉えた個人投資家が増えているとみられ、トラノテックでも2~5月の新規口座開設数は毎月前月を更新した。「相場が荒れたので解約者が出ることを懸念したが、2、3月の解約率は過去最低だった。将来の資産形成を考えたいという意識が働いているのでは」(藤井取締役)。

投資教育の重要性も指摘されている。日銀に事務局を置く金融広報中央委員会の「金融リテラシー調査2019年」によると、生活設計や家計管理などの「金融教育」を受けたと認識している人は、投資を行う人が多い結果が出ている。また、金融知識の階層別に投資行動を見ると、正答率が高いほど株式、投資信託、外貨預金などに投資している人が多い。

今後も資産形成の入り口としてポイント活用の動きは広がりそうだ。ただ、少額投資であっても元本割れのリスクはある。自分に合ったサービスを選びたい。

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提供元:「ポイントで株投資」が初心者に広がり始めた訳|東洋経済オンライン

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