2020.08.08
「グダグダの夏休み」が見違える1週間計画法|例年以上に変則的な日々に親たち悲鳴
せっかくできた生活リズムが夏休みで崩れ、学習意欲がなくなってしまわないか心配です(写真:Ushico/PIXTA)
小学校5年生の子どもがいます。新型コロナによる休校とその後の分散登校、さらに学校再開と新しい生活リズムができたと思ったら崩れ、これから3週間の夏休みでまた崩れることが心配です。生活リズムもそうですが、それによって勉強がままならず、出された課題も私が声かけしないとできない状態です。このままだと、やる気もなくなり、潰れてしまうのではないかと不安です。どうにもできない現状にアドバイスをいただけますでしょうか。
(仮名:大峯さん)
例年以上に大変な夏休みがやってきた
例年とは異なるイレギュラーな夏が始まりました。例年であれば、夏休みの日数と宿題の量はだいたい同じで、子どもたちは比較的スムーズに夏休みの生活パターンを作っていきます。しかし、今年は日数も宿題の量も例年とは違います。休校やオンライン授業といった変化が続いたこれまででしたが、まだまだ変化、変化の連続です。子どもたちは新しい習慣を身につけることが非常に難しい状況におかれています。
この連載の記事一覧はこちら ※外部サイトに遷移します
こうした中、いま重要なことは、「やるべきことの見える化」です。もっというと、スケジュール化です。
学校から渡された夏休みのスケジュール表では不十分です。なぜなら、提出義務があるので子どもは渋々書きはしますが、それどおりに生活している子がどれだけいるでしょうか。書いたことを実行するための仕掛けもそこにはありません。
そもそも小学生くらいの子どもはまだ時間の観念が薄いので、数週間以上の長期の計画にはうんざりしがちです。
そこで、おすすめしたいのが「1週間スケジュール法」です。詳しくは後述しますが、1週間という短期で更新していくため、やる気が続き、環境変化にも柔軟に対応できます。
まずはわが子について、次の5つを調べてください。
1) どの時間帯、どの場所が最も効率よく勉強できるか
2) どの科目から勉強すると行動しやすいか
3) 休憩時間は何分がよいか
4) 集中力は何分くらいもつか
5) 自分のテンションをあげるための時間をどの程度設定するか(ゲームやスマホ、読書など)
次に「1週間だけ」の計画を立てます。なぜ1週間かといえば、長い計画を立てるとやる気がなくなるからです。その後、更新したければ次の1週間の計画を立てます。一般的な夏休みの長期計画は、こなせる子とこなせない子がおり、筆者が見る限り、後者が圧倒的に多いのです。しかし、後者のタイプでも、段階を作っていけば進めることができます。
手順1:「1週間後どのような状態になっていたいか?」を決める
「何をやらなければならないのか」ではなく、「どうなっていたいか?」が基準です。勉強に関しては通常やる気が起こらないため、この点は特に重要です。
「やることリスト」をあげることがよくありますが、それは「やらなければならないリスト」の場合もあれば、「やりたいことリスト」の場合もあります。
宿題を「やらなければ」ではなく「やりたい」に
例えば、「国語のプリントを5枚終わらせなければならない」と考えるのか、「国語のプリントを5枚終わっている状態にしたい」のか、たったこれだけの違いで、勉強のパフォーマンスは天地ほど差がつきます。
筆者が塾で指導してきた子どもたちにも、この問いかけはよく使っていました。私は宿題を出さない方針で行っていましたが、「このプリントをやると今日の授業でマスターしたレベルから1段階上がれるけど、どうする?」と問いかけます。すると「プリントやらせてください」という反応がかなりの確率で返ってきます。これは形を変えれば「宿題」です。しかし、「やらなければならない宿題」なのか「やりたい宿題」なのか、これが学力の伸びを決定づける分岐点なのです。
手順2:1週間単位で「見える化」する
1) どの時間と場所がいいか記入します。例えば、リビングルームで9時から10時、自分の学習机で18時から19時と場所と時間帯を決めます。
2) 決定した時間帯をさらに集中できる時間数に分解します。例えば、20分の国語勉強→10分休憩→20分の算数勉強→10分休憩などと、詳細に書きます。
3) 1日のうちで勉強をする科目は、得意科目またはやってもいい科目から始めます。行動への動機付けは「やってもいいことから始める」ことがコツです。
4) 息抜きのゲームやスマホの時間も入れる。親にとってみたら、なくてもいい時間かもしれませんが、子どもにとっては極めて重要な時間です。
5) これらを組み込んだ表または手帳をいつも見える状態にする。壁に貼るか、手帳であれば開きっぱなしにする。決して、閉じて見えない状態にはしません。なぜなら、開くのが面倒になり、継続しなくなるからです。
手順3:終わったことは「赤」で消し込み作業する
何が終わっていて、何が終わっていないのかがぱっとわかるようにします。そうすることで、終わっていない部分に対して、「やらなければ」という意識が子どもの中で働く仕組みを作ります。
手順4:終わらない作業は、土日で調整する
どうしても終わらない部分が出ることを見越しておくのもコツで。最後の追い込みを、比較的時間が取れる土日で仕上げるチャンスをあらかじめ作っておきます。
手順5:1週間でどれだけ、はじめの「こうなっていたい」状態に近づけたかを検証する
理想に近ければ近いほど、その“ゲーム”をクリアできたということです。この1週間スケジュール法はある種のゲームなのです。ゲームなので、できない部分があっても親は何も言いません。子どもは自分でそれを感じているため、あえて言う必要はないのです。
強制せず選択肢を出すだけに
最後に:1週間終了したら、次の1週間も更新するかどうか、子どもに判断させる
親は「更新するか、しないか」という選択肢を出すだけにし、子どもに判断させます。親が「次の1週間もやりなさい」と強制すると、子どもはもう二度とスケジュールを作ることはないでしょう。しかし、上記の手順で進めていけば、「次の1週間もやってみたい」という言葉が返ってくる可能性は高くなることも。これは、筆者が開発した「子ども手帳」の実践例などからわかっています。
お子さんの夏休みの勉強に心配があるかたは、ぜひ以上のような方法を試してみてください。子どもが楽しめるようになってきたら、その後も継続してみるといいでしょう。
【あわせて読みたい】※外部サイトに遷移します
提供元:「グダグダの夏休み」が見違える1週間計画法|東洋経済オンライン