2020.07.21
お金が「貯まる人」「貯まらない人」の決定的な差│ 「貯蓄ゼロ」の新入社員が夢の「大金持ち」に!?
全世代に通じる「お金が貯まる人の思考」とは? (写真:naka/PIXTA)
同じ仕事、同じ給料でも、いつのまにか「お金持ちになる人」と「そうでない人」がいる。その違いは普段の節約とは違う視点、「人生を長期でとらえる大局観」にあった──。「投資会社の新入社員姫野が大先輩ケイさんに聞く」シリーズ第2回。
世界株式アナリスト、ファンドマネージャーを歴任し、世界30カ国を渡り歩いてきた加藤航介氏。このたび『世界を見てきた投資のプロが新入社員にこっそり教えている 驚くほどシンプルで一生使える投資の極意』を6月に上梓した加藤氏が「大先輩ケイさん」として、投資会社の新入社員(姫野)に「お金が貯まる人の思考」についてレクチャーする。
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全世代に通じる「お金との付き合い方」とは?
姫野:ケイさん、こんにちは。姫野、今日もオンラインで登場です。
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ケイ:やあ、姫野さん。画面越しでも元気そうなのは十分伝わるよ。
姫野:引き続きおうち時間、元気に楽しんでます! 今日は人生の大先輩であるケイさんに、「お金の貯め方」について聞いておきたくて……。私も社会人になって、自分のお給料で生活していかなきゃならないわけです。そのうえで、少しずつ貯金や投資をしていきたいし。
ケイ:おお。すばらしい心がけだね。
姫野:でも、洋服が大好きなだけに誘惑に駆られる毎日で……。お金をどう使っていけばいいのか、よくわからなくなっちゃったんですよ。長年社会人をやっているケイさんは、いままでお金とどう付き合ってきたんですか?
ケイ:確かに、自分がいま使いたいお金と、将来へ向けて貯めるお金のバランスを考えるのは、とても難しいよね。それは姫野さんのような若い世代だけじゃなくて、僕のようなアラフォー世代も、リタイア世代になっても、考えなくてはいけない問題だと思う。
姫野:全世代に通じる「お金との付き合い方」! いますぐ教えてください!
ケイ:簡単に言おう。人生のお金との付き合い方でいちばん大切なのは「明るい未来や豊かさをどれだけ意識できているかどうか」ということだと僕は思っている。「本当にワクワクすることにお金を使っているか」とも言えるね。
「人的資産」と「金融資産」をしっかりイメージする
姫野:え? ワクワクすることにお金を使う? いったいどういうことですか?
ケイ:「お金が貯まる人」は、いつも長い目で見た明るい未来に向かっているんだ。そして、自分だけでなく社会全体を成長させ、豊かにする姿勢でお金と付き合っている。「貯まらない人」はその反対で、人を蹴落としてでも、いますぐお金持ちになりたいと考えている。投資でいえば、ギャンブルまがいの短期投資で儲けたいというような腹黒い考え方かな。こういう違いこそが、将来お金が貯まる人になるか、貯まらない人になるかの決定的な違いだと思っている。
姫野:ふむふむ。私の周りでも、前向きな考えでみんなに気を配れる人には、友人が集まっていきますね。反対に目先の損得を考えてばかりの腹黒い人からは、人が離れていきます……。
ケイ:貯まる人のキーワードである「自分と社会の成長と豊かさ」を、「投資」という切り口で考えてみよう。長い人生で「自分とお金」を考える軸となるのは、2つの資産をしっかりイメージすることなんだ。
姫野:2つの資産ですか?
ケイ:そう。「人生とお金」の幹になるのは次の2つ。
(1)その人自身が資産であるという「人的資産」
(2)お金の資産である「金融資産」(持ち家なども含めて考える)
ケイ:この2つをしっかり理解すると、人生でお金に悩んだり振り回されたりするようなことは減るだろう。大事なのは、人生の主役はあくまで(1)の自分自身(人的資産)であり、(2)のお金(金融資産)は脇役という視点だ。
姫野:これは、(2)にあたる銀行口座にある預金や持ち家という資産だけを考えてお金の投資(金融商品選び)をスタートすると、人生のポートフォリオ(真のバランス)という視点で大きな間違いをしてしまう……というやつですね。
ケイ:そうなんだ。「(1)人的資産」は、将来の自分が稼ぎうる給料や、国や企業から受け取る年金、失業保険や生活保護なども織り込んだ金額になる。だから若い世代の人的資産は何億円というものすごい額になるし、65歳で引退した人であっても、年金額を考えれば何千万円にもなる。
姫野:この先の平均年収500万円として、民法の計算式なんかを参考にすると……。
姫野:私の「(1)人的資産」は、将来の給料だけを考えても、ざっくり1億5000万円でしたっけ? ふふふ。私は1億円以上の価値がある女……。やったー! 「(2)金融資産」はほとんどないですが。
ケイ:ちなみに、もらえる見込みの年金額は、日本年金機構からくる「ねんきん定期便」(ハガキまたは封書)や「ねんきんネット」(ウェブサイト)でわかるので、時間のあるときにのぞいてみてください。新入社員の姫野さんでも、仮に今の収入が続くとして、いくら受け取れるか試算してくれているし、年齢を重ねるほど正確な数字に近づいていくよ。
「人的資産」は「金融資産」より増やしやすい!自分次第!
姫野:おお、そんな便利なサイトもあるんですね。私は、まずは自分の「(1)人的資産」を高めるために、自己投資をしっかりやります。20代は英語を頑張る!
ケイ:仕事で英語を使いこなせるようになって、給料がこの先10%上がれば、姫野さんの人的資産は1500万円も増えることになる。これが「(1)人的資産」だ。「(2)金融資産」をゼロから1500万円貯めるのはとても大変だろうけどね。
姫野:そう考えると、「(1)人的資産」を意識して、自分を成長させていくほうが、お金の投資で儲けようと思うことよりも断然大事なことなんですね。
ケイ:うん。それに、「(1)人的資産」への投資は別に勉強だけじゃない。友人と食事に行くのも人間関係への投資、エステやジムに行くのも美や健康への投資だ。コンビニやスーパーでの買い物だって、僕らが見ているのは値段だけじゃないよね。健康にいい食材を選んだり、新しい商品を買ってみたり、「将来のワクワク」に向けて財布を開くことが多いだろう。
姫野:つまり日常の消費も含めて、お金を使うこと自体が「人的資産への投資」になっているわけか……。
ケイ:そうだね。「(1)人的資産」を意識しながら、長期でそれを大きくしていこうという行動を積み重ねることが、姫野さんの将来を豊かにするための大切な思考なんだ。結果的にそれが、「お金が貯まる」っていうことにつながっていく。
姫野:そうか。無駄遣いかと罪悪感があったお洋服も、ワクワクして、明るい気持ちになれるなら悪くないのかも……。だけどお洋服だけで私の未来が切り開けるわけじゃないですし(笑)、勉強とかの自分への投資も頑張ります! 人的資産アップのために!
ケイ:そして社会の豊かさとは、1人ひとりの「(1)人的資産」の総合計とも言える。だから姫野さんの「(1)人的資産」を大きくしていこうという視点は、社会にとってもすばらしいことなんだよ。英語の勉強、頑張って!
(図:『世界を見てきた投資のプロが新入社員にこっそり教えている 驚くほどシンプルで一生使える投資の極意』より)
ケイ:次はもうひとつの「(2)金融資産」だ。これは、社会をより豊かにするために「お金の社会参加」を行うという考えが重要になってくる。
「株式投資」なくして豊かな自分も社会もない
ケイ:これは、自分だけが儲かるためのギャンブルまがいの投資の思考とは真逆なんだ。ギャンブルの儲けは他人の損を受けとる仕組みだから、お金が右から左に動いているだけで、世の中全体を豊かにすることはない。また、自分のお金をタンスに鍵をかけてしまい込み、正しい社会参加をさせないのも問題だ。そして、すでに先進国になった社会では、預貯金というお金の社会参加が社会を豊かにする効果も少ない。日本の超低金利がそれをよく反映しているようにね。
姫野:金融資産の利回りって、その投資を通じて社会が豊かになった一部を、後から返してもらうことですもんね。「お金がお金を生み出す」なんてよく言われるけど、それは間違いで、本来は「社会の豊かさが増えた分を受け取る」。そうですよね?
ケイ:そのとおり! それが日本人の多くが投資について勘違いしているところなんだ。ギャンブルと投資の混同、そして今の社会をより豊かにするお金の社会参加の理解だね。例えば「株式投資」は、新しく事業を始めたい人を応援する、政治家のような社会権力をもっている上場企業の社長さんをみんなでモニタリングする、という役目を果たしている。
姫野:株式投資って、大企業の社長をみんなで監視する場でもあるわけですね。その感覚、いままでなかったなあー。
ケイ:株式投資は経済における選挙の仕組みで、社会が豊かになるには不可欠なものだ。「株式の売買」と「年に1回の経営者の選任や給料の決定(株主総会)」という2つの投票で、実際に経済の選挙が行われている。国民が政治の選挙に行かない社会が豊かになるのは難しいように、国民が株式投資に疎い社会が豊かになるのも難しいんだ。仕組み的にね。
姫野:つまり、社会を豊かにするために株式投資をしたほうがいい、ってことですか?
ケイ:そうだね。とくに先進国において社会をさらに豊かにするには、個人が幅広く株式投資(投資信託を含む)を行うことがめちゃくちゃ大事なんだよ。
姫野:えーと。わが国日本を豊かにしたい場合、やっぱり日本企業に投資したほうがいいんですか?
ケイ:よい質問。実は、それは正しいようで違うんだ。今の日本人の金融投資において大事なことは、日本だけでなく、世界全体に目を向けることなんだ。
姫野:え? それはどうしてでしたっけ?
ケイ:簡単にいえば、次のようなことが理由になる。
なぜいま、「世界の株式」に投資するべきなのか?
・世界には日本以上にとても優良な企業がたくさんあり、広い視野を持つべきであること
・世界の大きな富を日本に還流させることが、日本自体を豊かにすること
・日本の経営者は株式で受け取る給料がものすごく少ないこと(株主と同じ船に乗っていない)
ケイ:それで上記の3番目が背景となり、特に日本の大企業への株式投資では経済の権力者の「モニタリング」という本来あるべき株式投資の機能が十分に働いていない。「株主と企業を動かす経営者が同じ船に乗って共に社会を豊かにしていく」という点では、致命的な欠点があるんだ。もちろん素晴らしい日本企業はたくさんあるけど、平成時代に引き続きこれからしばらくは、個人と日本を豊かにする投資先として日本企業全体の魅力度は高くないだろう。
姫野:なるほど。それに私たちは日本人で「(1)人的資産」は日本資産だから、本当の自分の資産のバランスをとるためにも、海外に目を向けたほうがいいですしね。
ケイ:そうなんだ。いまは優良な投資信託を通じて、世界中に簡単に投資ができる時代だからね。
姫野:なるほど。人生における正しいお金との付き合い方、あらためて理解しました!
・ワクワクや自分の未来にお金を使って、人的資産をしっかり運用していくこと(人的資産)
・お金を運用するなら、社会を豊かにする仕組みが備わっている世界の株式投資に参加していくこと(金融資産)
姫野:これで、自分と社会の両方を豊かにしていくことできそうですね。しかも世界を豊かにして、日本自体も豊かになる!
ケイ:うん。自然とお金が貯まっていく人の思考とは、長期で見た「投資→成長→豊かさ」を、「自分」と「お金」の両面で意識して、日本だけの視点にとどまらず広い視野で行動できているかどうかなんだよ。
姫野:わかりました! 早速、自分と社会の明るい未来を目指して、明日の休日はバーゲンに行ってきます! ちゃんとマスクをつけて、獲物をゲットしたらすぐに帰ります! いまからワクワク!
ケイ:姫野さんにとっては、それも大事なことだよね……(笑)。明後日からは仕事や勉強も頑張ってください!
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提供元:お金が「貯まる人」「貯まらない人」の決定的な差|東洋経済オンライン