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2020.04.10

コロナで支払えない人が頼りたい「免除・猶予」│税金、年金、住宅ローン、公共料金など制度あり


貯蓄が少ないなど深刻な影響を被っている世帯も出始めています(写真:【IWJ】Image Works Japan/PIXTA)

貯蓄が少ないなど深刻な影響を被っている世帯も出始めています(写真:【IWJ】Image Works Japan/PIXTA)

日に日に感染拡大の一途をたどる新型コロナウイルス感染症。相次ぐ外出自粛や学校の休校、海外への渡航自粛要請や各国の入国禁止措置により、日本経済へのマイナスの影響もじわじわと拡大しています。働く人たちからは、不本意な休業や仕事のキャンセルによって収入が減り、日常の生活費をやりくりするのも厳しいという声があちこちから上がっています。

この事態を受けて、行政や金融機関などでは新型コロナウイルス感染症による影響を受けた人向けの緊急措置を設けています。税金、年金、住宅ローン、公共料金などの免除や猶予措置についてまとめました。

所得税や住民税は1年間猶予

4月16日まで、申告期限が1カ月延長された確定申告。新型コロナウイルス感染症による社会的な混乱のなかで、所得税の申告や納税の期限を先延ばしにできることになりましたが、納税資金を工面するのも厳しいときには、納税を猶予してもらうことができます。

所得税だけでなく、相続税、贈与税、自動車重量税、法人税、消費税など国に対して納める国税には、災害や病気、事業の休廃業などの事情がある際に納税が猶予される措置があります。今回の新型コロナウイルス感染症に関しても、本来の納期限から6カ月以内に申請書を提出する、猶予を受ける税以外に国税を滞納していないなどの要件を満たすと、税の納付を1年間猶予してもらえます。また、猶予期間中にかかる延滞税が軽減または免除され、財産の差し押さえなども猶予されます。

申請できるのは、自身や家族が新型コロナウイルス感染症にかかった場合に限らず、感染拡大によって事業の業績が著しく下がってしまったとき、休業・廃業したときなども含まれます。申請時には今後の納付計画を明記し、財産目録などの提出が求められるようですが、納付できない事情を説明すれば個別に相談に応じてもらえるようです。事情によっては、1年以上の猶予が認められる可能性もあるようです。

これらは「新型コロナウイルス感染症の影響により納税が困難な方へ」と題した国税庁のホームページに詳細が記されています。

また市町村に納める住民税も、同様に原則1年の猶予制度があります。申請要件も国税とほぼ同じようですが、申請方法など詳細は各自治体に確認してみましょう。

自営業やフリーランスで国民年金に加入している人、この春に退職して無職になった人には、自分で国民年金や健康保険の保険料を払っているケースが少なくありません。しかし全額を自己負担して毎月納めるのは少なからぬ負担です。

国民年金については、失業や廃業、事業の休止で保険料の納付が難しいときには、免除や猶予の制度があります。勤め先を辞めて失業したときは、前の勤務先から受け取る雇用保険の離職票か雇用保険の受給資格者証、自営業で廃業や休業をしたときは登記簿や廃業の届出書などを提出すると、市区町村の窓口で手続きできます。

免除になるか、猶予になるかは個別の状況によって異なります。

これらは「【国民年金被保険者の方へ】新型コロナウイルスの感染症の影響により国民年金保険料の納付が困難となった場合の免除制度の活用について」と題した日本年金機構のページに詳細が記されています。

細かな取り扱いは地域ごとに違う

国民健康保険料や後期高齢者医療制度、介護保険の保険料も、新型コロナウイルス感染症の影響で支払いが難しいときには減免や猶予の措置をとっていることがあります。会社の倒産や解雇などによる失業や病気など、特別な事情があることを要件としているのが一般的ですが、減免の範囲や手続き方法など細かな取り扱いは各地域で定めています。窓口で相談すると、個別に対応してもらえる可能性もありそうです。

退職してから2年以内なら、前の勤務先の健康保険の任意継続制度を利用していることもあるでしょう。在職中には半分で済んでいた保険料の負担が全額自己負担になりますから、この時期にはより重く感じられるかもしれません。

厚生労働省からは各健康保険組合に対して、保険料の猶予など柔軟に対応するように通達が出されています(「新型コロナウイルス感染症への対応に伴う国民健康保険、後期高齢者医療制度及び介護保険関係事務の取扱いについて」「新型コロナウイルス感染症の発生に伴う保険料等の取扱いについて」、2020年3月10日)。猶予制度があるか、どれくらい猶予してもらえるかは勤務先の健康保険組合が整備していますので、元の勤務先の人事労務部門などに確認する手があります。

住宅ローンを抱えている場合には、その返済が家計の重荷になってしまう懸念もあるでしょう。現在、住宅ローンは期日通りに返済するのが原則で、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた人向けに一律の措置を公表している金融機関は少ないようです。

しかし、返済が厳しいときには個別に相談することで、期日の猶予や返済額の軽減に応じてもらえることがあります。返済日の変更、借入期間の延長、ボーナス払いの取りやめなど返済条件の変更を伴うと、変更内容によっては手数料がかかることがあります。ただ、一部の銀行では新型コロナウイルス感染症の影響を受けて変更する場合にかかる1万~3万円程度の手数料を免除しています。

また、感染拡大の影響でこの春に引き渡し予定だった新築のマイホームの完成が遅れているなど、住宅ローンの融資開始を延期する場合、本来は融資日の変更としてかかる手数料を免除する銀行もあります。

金融庁や全国銀行協会などでは、新型コロナウイルス感染症の影響でローン返済が難しくなった人に向けて、電話での相談窓口を設けています(金融庁0120-156811、全国銀行協会
050-3540-7553)。返済計画や返済条件の変更などについて、無料で相談できます。借入先の金融機関への相談とともに、活用できそうです。

賃貸向けには住居確保給付金がある

賃貸住まいの場合には、家賃を下げてもらう、支払いを延ばしてもらうのは基本的に大家さんに直接交渉するしかありません。滞納が続くと、家を出ていかなければならないおそれもあるかもしれません。

しかしやむをえず仕事を退職したことで生活が立ちゆかなくなった場合には、各地域の自立相談支援制度を利用できることがあります。

この制度には「住居確保給付金」といって、離職したことで自宅を退去せざるをえなくなった、退去のおそれがある人に、家賃相当の給付金を支給するしくみがあります。各市区町村の自立相談支援機関が運営しており、東京都の場合には離職から2年以内の65歳未満の人で、収入や資産が所定額以下、ハローワークで求職活動をしているなどの要件を満たすと受給できます。

これに関する厚生労働省がまとめた「生活困窮者自立支援制度について」はネットで検索できます。

受給額は自宅のある地域や世帯人数によって所定の計算式で決まります。実際の家賃の全額が支給されないこともありますが、住居費の負担を軽減する助けになるかもしれません。

電気、ガス、水道、電話など、日常生活で必ずかかる料金。各地の外出自粛要請により自宅で過ごす時間が長くなり、請求額が跳ね上がってしまう心配もあるかもしれません。

現在、各供給会社では支払いの猶予措置を取っています。電気、ガスは支払期日が2020年3月25日以降の料金(電気は3~5月分、ガスは2~4月分とされている会社が多い)について、支払期限を1カ月延長してもらうことができます。供給会社に電話で申し出ると対応してもらえます。

対象になるのは新型コロナウイルス感染症の影響で休業や失業をして支払いが困難、または緊急小口資金・総合支援資金など、今般の影響で各都道府県の臨時の貸付制度を利用している人に限られます。個別に細かな状況を相談し、該当するか確認するとよいのではないでしょうか。

水道料金は各市町村が猶予措置をとっています。電気やガスと同様の要件を設けている地域が多いですが、個別の相談に応じるとしているのが一般的です。東京都の場合は、電話で申し出ると最長4カ月間、支払いが猶予され、その後も状況により延長してもらえます。

携帯電話は、大手3社については2020年2月末(KDDIは25日)以降が支払期限の料金について、5月末まで支払いを延長してもらえます。法人契約、個人契約ともに、支払いが困難なときには契約先に電話で申し出ると延長されます。また、新型コロナウイルス感染の状況によっては、今後さらに支払期限の延長に対応する可能性もあるとしています。

生命保険・損害保険は最長6カ月猶予

生命保険や自動車保険、火災保険などに契約している人は、その保険料の支払いを猶予してもらうこともできます。

通常、各保険には口座引き落としで保険料を支払えなかったときなどに1カ月程度の支払い猶予期間が設けられています。この猶予期間を過ぎて支払いをしないと保障(補償)が切れてしまいますが、今般の臨時措置として、生命保険(医療保険、がん保険などを含む)は2020年9月末まで、損害保険(自動車保険、火災保険など)は5月末まで、猶予期間が延長されます。

猶予期間を延長するには、契約先の保険会社に電話で申し出をします。支払いが厳しいことを伝えれば、基本的には細かな要件は問われないところが多いようです。

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「コロナショック」が波及する経済・社会・政治の動きを多面的にリポートした記事 ※外部サイトに遷移します

これらの猶予や免除の措置は、今後の新型コロナウイルス感染症の状況に応じて随時変更される可能性があります。また、個別の状況に応じて相談に乗ってもらえることもあります。支払いに困ったら、早めに地域の窓口や業界団体、契約先の会社に相談してみるとよいのではないでしょうか。

新型コロナウイルス感染症が1日も早く終息すること、そして生活への経済的な負担が少しでも減り、日常生活を取り戻せることを願っています。

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提供元:コロナで支払えない人が頼りたい「免除・猶予」│東洋経済オンライン

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