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2019.12.26

確定申告のために2019年内にすべき7つのこと |今やっておけば2020年に還付金などが増える


確定申告は2020年に入ってする手続き。だが、しっかりお金が戻ってくるようにするためにも、2019年内にやっておくと得なことが7つある(写真:studio-sonic/PIXTA)

確定申告は2020年に入ってする手続き。だが、しっかりお金が戻ってくるようにするためにも、2019年内にやっておくと得なことが7つある(写真:studio-sonic/PIXTA)

令和に入って最初の確定申告は、令和2(2020)年2月17日から3月16日です。会社員は「会社が年末調整をしてくれるから、自分は確定申告とは無縁」と思っているかもしれません。しかし、会社員であっても「確定申告の必要がある」ケースと、「確定申告をすれば税金が安くなる」ケースがあります。

今回は、後者の「確定申告をすれば税金が安くなる」というケースについてお話しします。令和2年の確定申告で税金を安くしようと思うなら、令和元(2019)年のうちにすることが7つあります。それぞれ詳しく説明しましょう。

医療費の合算が10万円以上なら所得税が安くなる

まず1つ目が「1年間にかかった医療費」の確認です。

医療費が多くかかった場合、一定額を超えた分を所得控除する「医療費控除」を受けることができます。具体的には、支払った医療費から10万円を差し引いた金額が所得から控除されます。例えば、医療費が年間で30万円かかった場合には20万円を所得から差し引くことができるのです。この場合、所得税の税率が20%の人なら20万円×20%で、所得税が4万円安くなる計算です。

1年間の医療費が10万円以下なら医療費控除はできません。ただ、ここでの「医療費」には、会社員である自分の医療費だけでなく、家族の医療費も合算することができます。離れて暮らす親に仕送りしながら医療費も負担した、といった場合、その分も合算できます。

医療機関に支払った医療費、処方を受けて購入した医薬品の代金、通院のための公共機関での交通費、ドラッグストアで買った市販薬の代金も対象になります。それらを合計して10万円以上になれば、所得税が安くなるわけです。

ただし、例えばあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術の対価は対象になるものの、疲れを癒やしたり体調を整えたりするなど治療に直接関係のないものは対象外となります。

交通費も公共交通機関の費用は可、自家用車で通院した場合のガソリン代や駐車料金などは原則不可など「対象になるもの」「ならないもの」が細かく規定されています。どのような医療費や交通費が対象になるか、詳しくは国税庁のホームページに記載されています。

国税庁のホームページ ※外部サイトに遷移します

まずは医療費の領収書を集め、国税庁の情報を参考にして、10万円を超えるかどうかを確認してみましょう。あと数百円で10万円を超える、といった場合には、要検討。血圧の薬など、常用する薬があり、年明け早々に受診が必要になる場合などは、年内に受診したほうが得かもしれません。

医療費が10万円に届かない場合も、諦めてはいけません。医療費控除は受けられないものの、「セルフメディケーション税制」で税金を安くできるかもしれないからです。その確認が、年内にすべきことの2つ目です。

セルフメディケーション税制とは、健康診断や予防接種を受けた人が、「スイッチOTC医薬品」に指定された医薬品を1万2000円以上購入した場合、1万2000円を超えた分が所得から控除される制度です。胃腸薬、湿布薬など、身近な薬も対象になっています。ドラッグストアのレシートを改めてチェックし、必要があれば、年明け分の薬の購入を検討してもいいでしょう。

医療費控除、セルフメディケーション税制の適用を受けるためには、医療費の領収書や市販薬を買った際のレシートなどを保管しておく必要があります。医療費用のファイルなどを作り、1年分を保管することを習慣にしたいですね。

「ふるさと納税」は寄付金から2000円を引いた額を控除

3つ目は「ふるさと納税」です。

ふるさと納税は、応援したい自治体に寄付をするもので、寄付をした合計の金額から原則2000円を差し引いた額が控除されます。例えば、1万円を寄付した場合、自己負担額は2000円で、8000円の控除を受けられることになります。寄付先の自治体からは特産品などの返礼品がもらえるのも魅力です。

ただし、控除の限度額があり、これは給与や家族構成で異なります。また、控除限度額は年単位で計算されますから、2019年にふるさと納税をしていない人、また限度額に届いていない人は、2019年内にふるさと納税を行うことで控除枠を活用することができます。

寄付の納付は、ふるさと納税を扱うウェブサイトなどを通じて行うのが一般的です。あるサイトでは「寄付の納付日は入金が確定した日付」で、「2019年12月31日の24時までに確定した分までは年内の寄付として扱う」としています(24時以降に寄付が確定する分は2020年の寄付)。

クレジットカード決済の場合は、インターネット上で寄付申し込み手続きが完了した日、コンビニおよびペイジー支払いを選択した場合は、それぞれ入金手続きが完了した日を納付日とするようです。アクセスが集中して決済の処理が遅れた場合など、詳細は寄付サイトで確認してください。いずれにしても、早めの手続きが無難です。

ふるさと納税では返礼品のお得度に注目しがちですが、自然災害による被害を受けた自治体に返礼品を受け取らない形式で寄付することもできます。ふるさと納税のサイトで紹介されていますので、チェックしてみてください。

また、ふるさと納税には「ワンストップ特例」という制度があり、寄付先の自治体が5つ以下なら、それぞれの自治体に翌年1月中旬までに申請書を送ることで寄付金控除が適用されます。

ただし、寄付先が6つ以上の場合や、2019年にマイホームを取得して住宅ローン控除を受けたり、医療費控除を受けたりするなど、ほかの控除を受けるために確定申告をする場合は、ふるさと納税についても確定申告で手続きする必要がありますので、気をつけてください。

言い方を変えれば、ワンストップ特例が使えない人(確定申告が必要な人)は、寄付先の自治体を5カ所に抑える必要はない、ということになりますね。

公益社団法人や、認定NPO法人、学校法人、政党などの特定団体に寄付した場合も「寄付金控除」を受けることができます。具体的には、1万円を超える分が所得から控除されます(対象となる団体と、そうでない団体があります)。寄付したい団体がある場合は、年内に実行するのもいいかもしれません。その検討が4つ目です。

ここで注意したいのは、確定申告にかける手間と、その効果のバランスです。例えば、2万円を寄付して確定申告で寄付金控除を受けても、所得控除されるのは1万円。所得税率が20%なら、軽減される所得税は2000円です。住民税も軽減はされますが、申告するのは寄付金控除の1万円だけ。これでは、得られる税メリットより手間のほうが重いといわざるをえません。

医療費は「かかる時期」を自分で選ぶことができませんが、寄付についてはある程度、タイミングを計ることができます。「今年は医療費控除でまとまった控除を受ける」「住宅ローン控除を初めて受ける」などと、ほかにも受けられる控除がある年に、「寄付金控除も受ける」というのもいいでしょう。

塩漬け銘柄があるときは「損益通算」で税負担を抑える

資産運用関連も大切です。「値下がりしたまま塩漬けしている株がある」場合は、年内に売却すべきかどうか、検討が必要です。これが5つ目です。

株式の売却で生じた譲渡損は、株式の配当や譲渡益から差し引く、「損益通算」が可能です。例えば、A銘柄を売って譲渡益が100万円生じると、約20%(約20万円)の税金がかかります。一方で、B銘柄を売って譲渡損が150万円生じると、譲渡益100万円から譲渡損の150万円を損益通算でき、譲渡益はマイナス50万円となります。かかるはずだった約20万円の税金がかからなくなるのです。

さらに、引ききれなかった50万円は3年の間に控除することができます(「譲渡損失の繰り越し控除」)。翌年以降、新たに譲渡益が生じれば、そこから譲渡損を引くことができ、税負担が軽減される仕組みです。つまり、塩漬けしていて損切りを検討している銘柄があるなら、譲渡益が得られた年に売却して損益通算することも選択肢の1つであり、そうすることで税負担を抑えることができる、というわけです。

両銘柄を1つの口座で売買した場合は、その口座の中で自動的に損益通算が行われますが、別の証券会社で売買した場合は、確定申告で手続きする必要があります。いつ売却するのがいいか、年内の売却も含めて検討してみましょう。

6つ目は自分の親に関することです。

親の年金収入が一定額以下で、親を経済的にサポートしていれば、親も扶養に入れることができます。控除額は、親が65~70歳の場合は38万円(住民税の計算では33万円)、70歳以上では、同居なら58万円(同45万円)、別居では48万円(同38万円)です。

同居している親だけでなく、別居している親に定期的に仕送りしている場合も対象になりますが、親の収入に制限があり、65歳以上で収入が年金のみなら、年金が158万円以下であることが条件です。別居している場合は、帰省の際に親の収入を確認しておきましょう。

必要書類を準備し、早めに申告して還付金をもらおう

最後の7つ目は、最も基本的なことです。

確定申告の準備として「必要書類を集めておく」ことが大事です。年末調整の際に生命保険や損害保険の申告をしなかった人などは、「保険料控除証明書」が必要ですから、見当たらなければ保険会社に問い合わせましょう。

また、iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入し、最初の掛け金の拠出が10月以降だった場合は、初年度分は年末調整では手続きできませんから、確定申告で所得控除を受けます。国民年金基金連合会から送られる「小規模企業共済等掛金払込証明書」が必要です。住宅ローン控除を受ける人(初年度のみ)は、金融機関から送られる「住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書」のほか、売買契約書や登記事項証明書などを用意しておきます。

所得税の軽減を受けるための申告は5年以内に行えばいいのですが、控除が受けられる年に確実に申告し、いち早く還付を受けるのが得策でしょう。年内にすべき7つのことを、確実にこなしてください。

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提供元:確定申告のために2019年内にすべき7つのこと|東洋経済オンライン

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