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2019.04.18

読解力は「頭のOS」のバージョンによって決まる│子どもの地頭をよくする7つの「魔法の言葉」


頭脳のOSをアップデートするために家庭でできる方法を教えてもらいました(写真:kohei_hara/iStock)

頭脳のOSをアップデートするために家庭でできる方法を教えてもらいました(写真:kohei_hara/iStock)

※石田勝紀先生へのご相談はこちらから ※外部サイトに遷移します

中2の息子の国語のことでご相談です。 これまで興味の持てる本に出会わなかったせいもあるかもしれませんが、読書をせず、読解力がありません。
定期テスト前には目標、後には反省を書くように指導されますが「がんばる」と書くのみ……具体的なプランを書きません。
国語力がないことで問題の意味がつかめず、全科目でやる気が起きないのか?とも思い、毎日短い新聞記事の音読などさせていますが、先が見えないのでヒントをいただけるとありがたく思います。
(仮名:高橋さん)

勉強を処理する頭脳のOSがフリーズを起こしている

読解力は、勉強の世界においては最も重要な力の1つです。これがあるとないとでは天地ほどの差が生まれ、さらに他教科への影響は計り知れません。しかし、読解力を高めるには文章をたくさん読めばいい、読書をすればいいと単純に考えてしまうと、とんでもない痛手を被ることになりかねません。

また、「読解力=考える力」と考えたとしても、「考えるとはどういうことを意味するのか」「考える力を身につける方法」を教えてもらっていないため、問題集をたくさん解けばいい、読書をすればいいと短絡的な対策を実行してしまうこともあります。このようなことをやっているうちは残念ながら、読解力がつくことはないでしょう。

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高橋さんは国語力という言葉を使われていますが、国語力と一口に言ってもそれは大きく2つに分かれます。読解力とボキャブラリー(語彙)の2つです。それぞれについてしっかりと説明するとなると、1冊の本になってしまうのですが、今回は読解力に焦点を当てて家庭で今すぐできるお話をしていきましょう。実行されれば何かしらの変化が出てくると思います。

高橋さんの息子さんの読解力がない状態をもう少し詳しく言えば、次のような状態であるといって間違いないでしょう。

「勉強を処理する頭脳のOS(オペレーションシステム)がフリーズを起こしている」

ドキッとするかもしれませんが、これが原因ではないかと推察します。もう少し説明するとこういうことです。

パソコンにはOSとソフトの2つが入っていますね。OSとは、WindowsやMacOSのようなものです。スマートフォンにも入っています。またソフトとは、ワード、エクセルなどを指します。スマホの場合はアプリといいます。そこで、次のようなことを考えてみてください。

例えば、Windowsの初期版であるWindows95に、ワード2018という新しいソフトはインストールできるでしょうか。入りませんよね。入ったとしてもすぐにフリーズするはずです。しかし新しいOS、Windows10であれば、どのようなソフトもインストールが可能で、サクサクと動くことでしょう。

実は人間の頭脳もこれに例えてお話ができます。パソコンのようにOSにあたるものがあると考えてみてください。一般的には「地頭(じあたま)」と言われるものです。一方で、ソフトのインストールを日々やっています。子どもの場合、このソフトとは英数国理社などの科目にあたります。

しかし、ここで次のような問題が起こります。

「OSのバージョンが新しい子はどのようなソフト(科目)もインストールできるが、OSのバージョンが古い子はインストールできないかフリーズを起こしている」

小学校の内容が対応できるOS搭載であれば、小学校時代は問題ありませんが、中学の内容ではフリーズ起こします。中学の内容まで対応できるOS搭載であれば、中学校時代は問題ありませんが、高校の内容ではフリーズ起こします。

勉強でつまずいていく子は、こうした問題に直面していることがあるのです。

OSは後天的にアップデートができる

ところが、家庭では科目の出来、不出来といったソフトにばかり目がいきます。そしてそれを何とかインストールさせようと、強制的に勉強をやらせたり、塾に入れたりと様さまざまな手段をとります。しかし、ソフトばかり詰め込んでも何も変化は起こらないのです。

今、高橋さんはお子さんに、新聞記事の音読などをさせているようですが、これはまったく意味のない”作業”になります。OSが対応できていないからです。 意味がないどころか、「文章は嫌い、新聞は嫌い」にさせるための活動になってしまっている可能性もあるため、即刻やめたほうがいいでしょう。

では、どうしたらいいでしょうか。ここからは対策です。

このOSは先天的なものと思われるかもしれませんが、あることをすることで後天的にアップデートができると考えています。

こんなお話をしている筆者もかつてOSのバージョンがかなり低かったので、よくわかります。またこれまで指導してきた数千人の子どもたちのOSのバージョンを上げていくと全教科の点数が上がり出すというケースを頻繁に経験したことから、このOSのアップデートは可能であると筆者は考えているのです。

では頭脳のOSのアップデート方法についてお話ししましょう。方法はいくつかあるのですが、その中でも家庭でできる1つの方法をお伝えします。

マジックワード(魔法の言葉)で声かけする

それは、日常生活の中での「子どもとの対話」で行っていきます。そこで使用する言葉のことを筆者は「マジックワード(魔法の言葉)」と呼んでいます。詳しい言葉の意味はこれまで、複数の著書に書きましたが、代表的な7つのワードを挙げると次のような言葉になります。

「なぜだろう?」(原因分析)

「どうしたらいい?」(問題解決)

「要するにどういうこと?」(抽象化思考)

「例えばどういうこと?」(具体化思考)

「何のためだろうね?」(目的意識)

「そもそもそれってどういうこと?」(原点回帰)

「もし〜だったらどうなるだろうね?」(仮説構築)

このような言葉をかけられると人は「考え出す」のです。今回は、2つの事例について説明しておきます。

【例1】なぜだろう?

この言葉は理由を聞く言葉です。通常、学校教育では「これは何?」「どこ?」「いつ?」「誰?」「(選択肢問題で)どっち?」が基本となっています。これらのワードも大切でしょうが、残念ながら考える力は身に付きません。これらは知識のインプットであり、考えるとは言わないのです。

ところが、「なぜだろうね?」と言われると意識がそこに向かい、考えるようになります。しかし、この問いは、答えがなくていいのです。子どもが「ん〜、わからない」と言ってもいいのです。「ん〜」の部分で考えているからです。何を答えるかという結果ではなく、プロセスが重要なのです。

【例2】要するにどういうこと?

この言葉で問うと、人は考えをまとめていきます。これを抽象化するといいます。抽象化できると、例えば算数の問題集をやっていても、「この問題とこの問題は形は違っているけど同じタイプ」ということがわかったり、国語でも、「この文とこの文は字面は違うけど同じこと言っている」ということがわかるようになります。具体的な部分しか見えないと、すべてがバラバラに異なって見えます。このまとめあげること、すなわち抽象化させることも考える力の1つです。

以上のようなマジックワードで声かけすることで、その質問の方向に意識が向かいます。すると頭の中で「考える」ことが始まります。

シンプルだけどとても効果的な、こうした言葉を使っている家庭は実はそう多くはありません。日常、親からの指示・命令によって動いている子が少なくなく、それではいつまでたっても考えるようにはなりませんし、OSのバージョンが上がることは難しいのではないでしょうか。

ちなみに、OSのスペックの高い子は、これらのワードを自分で使って自分を高めています。国語の問題でも数学の問題でも。勉強以外でも、何かに取り組んでいるときに自問自答している子が多いのです。

「何を問うか?」

これによって子どものOSが変わっていきます。すると「考えることの面白さ」がわかってきます。そうなれば、もはや親はただ見守っているだけでいいでしょう。

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子どもを叱り続ける人が知らない「3大原則」

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同じ勉強をしていて差がつく「本質的な理由」

提供元:読解力は「頭のOS」のバージョンによって決まる│東洋経済オンライン

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