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2019.02.18

高収入夫婦の超合理的なライフスタイル事情| 2人で働くと心理的・経済的な余裕につながる


パワーカップルという言葉が話題になっています(写真:プラナ/PIXTA)

パワーカップルという言葉が話題になっています(写真:プラナ/PIXTA)

ネットで一気に拡散することを「バズる」、ネットで拡散するインパクトのある言葉を「パワーワード」と言いますが、2018年、共働きのお金の世界で話題になったパワーワードがあります。それは「パワーカップル」というものです。これが「次の世代の目指すべき稼ぎ方、暮らし方」の1つのビジョンになりうると思い、今回取り上げてみたいと思います。

パワーカップルの定義は複数ありますが、三菱総合研究所のレポートでは、「共働き夫婦で、夫600万円以上、妻400万円以上で合計1000万円以上の世帯収入がある夫婦」を設定しています。これは共働き世帯の約5%に相当するとしています。また、割合としてはあまり多くないものの、パワーカップルになれると、マネープランやライフスタイルは大きく変化してくるようです。

パワーカップルが夫婦ともに400万円以上の年収を確保しているということは、どちらもフルタイムの正社員で働いているということでしょう。正社員共働きは大変なことばかりのように思われますが、実は稼げるようになると、お金を使ってライフスタイルを省力化できるカードも選択できるようになります。経済的安定は心理的な余裕にもつながります。

ライフスタイルに合理性が生まれる

パワーカップルのユニークなところは、ライフスタイルに合理性が生まれているところです。これは年収が多いという経済的な余裕と、一方で共働き正社員の時間的制約の相乗効果から生まれるものと思われます。

三菱総合研究所のレポートではいくつかの特徴が紹介されています。たとえば次のような傾向が顕著であるそうです。

「自動掃除ロボット(ルンバなど)の保有割合が既婚者平均の2倍」……自動掃除ロボットは一見すると割高のように見えますが、家族が留守のうちに床掃除を完了させることができるので、家事の省力化と部屋の環境維持の両立が可能な家電です。購入を決断できるところがパワーカップルの合理性の高さがうかがえます。

「有料動画配信サービスの契約割合が既婚者平均の約1.6倍」……HuluやNetflix、Amazonプライム・ビデオなどスマホやタブレットでオンデマンド配信を視聴できるサービスは、空き時間の有効活用に便利であり、受け身のテレビ視聴を主体的なものに変えるツールです。そして従来型の有料衛星放送と比べて割安でもあります。

「カット野菜など下ごしらえ済み食材の利用傾向が既婚者平均の約1.6倍」……忙しい中、食事を作ることは共働き夫婦の大きな悩みです。カット野菜を手抜きと考えるような価値観には迎合せず、効率性を重視した選択ができるところに強みがあります。

いずれも経済的なコスパと時間のコスパをしっかり意識した消費行動につながっているといえます。こうした傾向は年収が1000万円にならないとまねてはいけないわけではありません。パワーカップル予備軍、たとえば夫婦の合計年収が600万~800万円台の場合でも、むしろ参考にしつつ取り入れてみてはどうでしょうか。

三菱総合研究所のレポートによれば、資産運用への積極性でも違いがみられます。元本保証のない資産運用を行っている(あてはまる+ややあてはまる)割合が既婚者平均14%のところ、パワーカップルの夫婦では28%だったそうです。まさに2倍です。

投資を行うことは、資産形成のエンジンを強化するということです。もちろんリスクコントロールも必要としますが資産形成がスピードアップする効果が期待できることになります。会社員が投資をするものではない、とされていたのは昔の話です。パワーカップルの興味や関心の高さは、こうした行動にもつながっているというわけです。

パワー投資でいくら貯められるか

レポートでは紹介されていませんが、パワーカップルは貯蓄性向も高いのではないかと思われます。将来の資金ニーズをいち早くキャッチし、また老後不安を具体的に解消する取り組みを実行することができていると思われます。こうした取り組みは、経済的な安定を自力でたぐり寄せることになります。

それではパワーカップルが2つの稼ぎから積極的に資産形成を行う「パワー投資」を行ったとすればどうなるか、概算してみたいと思います。

仮に40歳で、夫婦がそれぞれiDeCoとつみたてNISAを満額積み立てていったとします。iDeCoについては企業年金のある会社員であったとして月1.2万円、つみたてNISAについては年40万円の上限を考慮して月3.3万円を積み立てたものとします。

1人月4.5万円を夫婦が積み立てるとすれば、月9万円の元本が貯まりますから年100万円ペースでの資産形成がスタートします。元本だけでも60歳時点で約2000万円になりますから、夫婦それぞれが受け取る退職金をこれに加えれば老後の経済的安心は相当確保できることになります(企業規模にもよりますが、ふたりの退職金合計で2000万円以上になる可能性が高い)。

iDeCoもつみたてNISAも運用収益を加味すれば、実際の受け取り額は高まります。どちらの制度も運用益は非課税ですが、年3~4%程度の利回りを求めて国内外に分散投資する投資信託を買ったものとします(運用コストを引いた実質利回りは3.5%とする)。

すると、20年後にはiDeCoが416万円、つみたてNISAが1145万円となります。夫と妻がそれぞれ同額を保有したとすれば、なんと合計3122万円、退職金を加えれば5000万円以上の資産をもってセカンドライフをスタートできることになります。

私は昨年、『共働き夫婦 お金の教科書』という本を出しましたが、パワーカップルはそのひとつの理想型であると感じています。現役時代もエンジョイし、かつ子育ても取り組みつつ、老後の豊かさも引き寄せることができるのは共働きならではでしょう。

パワーカップルに近づくために

パワーカップルに近づく第一歩は正社員になることです。人手不足が当たり前になりつつあるわが国において、正社員の有効求人倍率は1倍を超え、徐々に正社員として働く立場を確保しやすくなってきました。今まで非正規雇用で働いていた人は転職のチャレンジをしてみるのもいいかもしれません。

また、仕事がハードで両立ができないなど個別の問題もあると思いますが、正社員の立場から離れないことも重要なカギとなります。多様な働き方を社会が少しずつ認めるようになってきているので、時短勤務や週3日勤務のような変則勤務、在宅勤務なども許されるようになっていくでしょう。できるだけ辞めずに働き続けてみてください。

正社員を続けていれば、安定した収入はもちろん、将来の退職金や厚生年金の権利も手に入れることになります。専業主婦になってパートとなる場合と生涯収入を比べると確実に1億円以上の差になるでしょう。

「世帯収入1000万円」にどうしても目がいってしまうため、ひとごとのように感じてしまう人もいると思います。ですが、合計1000万円に達しない場合もパワーカップルのスタイルを参考にしてみると、キャリアへの意識やお金のやり繰りに対する意識の変化が生まれ、パワーカップルに近づくことができるかもしれません。パワーカップルの、パワフルなライフスタイルが次の時代のスタンダードになっていけばと思います。

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提供元:高収入夫婦の超合理的なライフスタイル事情|東洋経済オンライン

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