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2019.01.24

地獄のような「読書感想文」をクリアする方法|細かに段階を踏めば、苦手意識は変えられる


いきなり読書感想文を書けと言われても、書けるはずがありません(写真:yanmo / PIXTA)

いきなり読書感想文を書けと言われても、書けるはずがありません(写真:yanmo / PIXTA)

※石田勝紀先生へのご相談はこちらから ※外部サイトに遷移します

小学校4年生の男の子がいます。ご相談したいのは、読書感想文についてです。2020年以降の教育では、考える力や表現する力が大切になると聞きました。読書感想文はそのためにも重要なことだと思うのですが、うちの子は読書が好きではありませんし、文章を書くとなるとさらにやりたくないと言います。読書感想文を書けるようになるにはどうしたらいいでしょうか?

(仮名:山田さん)

苦手な筆者はかつて「あとがき」だけで書いていた

「読書感想文」。なんとなく嫌な響き……と思った方も多いのではないでしょうか。夏休みの宿題は地獄のようだったと思い出す人もいるかもしれません。

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少なくとも筆者は、読書感想文や作文という言葉が大嫌いでした。読書感想文の宿題は、本を最後まで読むことはせずに、「あとがき」だけを読んで、適当に書いたこともたびたびあったほどです。

文章を書くこと自体が大嫌いだったため、感想文とか作文という言葉を聞くと、憂鬱になったものです。そのような筆者が今、このように記事を書いているのですから、人生どうなるかわからないものです。

さて、山田さんのお子さんの読書感想文が書けないというご相談ですが、これは単純に子どもの問題ということでは片付けられないでしょう。なぜなら、「読書感想文の書き方を教わっていない」可能性があるからです。
山田さんご自身も、子どもの頃に読書感想文や作文の書き方を教えてもらった記憶はあるでしょうか。

これまで筆者は、講演会やママ対象の勉強会「Mama Cafe」で、毎年数千人の保護者の方々にお聞きした経験から申し上げると、非常に多くの方が「書き方を聞いたことがない」「作文は嫌いだった」「あらすじを書いてしまっていた」と言われていました。

もちろん学校の先生によっては書き方を教えてくれた先生がいたということもあるかもしれません。しかし、せいぜい「段落の先頭は1字落としで書きなさい」とか、「気持ちを書くように」という程度だったかもしれません。

しかし、これらは書き方とはいいません。「気持ちを書くように」と言われても、気持ちを表現する言葉をあまり知らないため「楽しかった」「面白かった」「うれしかった」「悲しかった」程度の言葉しか出てこないのがオチでしょう。言葉もあまり知らず、どのように構成してよいかもわからず、ただ作文用紙を渡されて書きなさいと言われても、書けるわけがないのです。

ではどうすれば読書感想文が書けるようになるのかという方法についてお話しましょう。この方法は、読書感想文だけでなく一般的な作文、さらには国語の要約問題全般にわたって有効的な方法ですから、ぜひ試してみてください。

読書感想文、作文、要約問題は、いずれも「書く」という作業です。この「書く」という作業は、実は多くの人にとって非常にハードルが高い作業といえるのです。そのハードルが高い作業を“いきなり、やらせようとしている”ことに、そもそも無理があります。

英語でもよく言われる4技能というものがあります。「読む」「聞く」「話す」「書く」の4ですが、国語でも同様に、この4技能があります。普段、母国語の日本語を話したり、聞いたりしていると意識をしませんが、人間は、生まれてからどのようなプロセスでこの4技能を習得してきたのかを考えると、読書感想文の対策と方法が見えてくるのです。

人間は、生まれてまず「聞く」ということから始まります。次に、「話す」ようになります。そして、文字を知り「読む」ことができるようになります。そして最後に「書く」ことができるようになるのです。

つまり、成長段階に照らし合わせると「聞く」→「話す」→「読む」→「書く」という順番で技能を習得してきました。では、読書感想文はどの部分をさせているでしょうか。後半2つの「読む→書く」です。つまり、子どもにとって実行ハードルが高い「読む、書く」という作業を、いきなりやらせるのですから大変になるのです。大人でも「リポートを提出せよ」と言われたらハードルの高さを感じませんか。

そこで、です。読書感想文を書けるようになるためには、この4つの中でも実行ハードルが低いことから始めていきます。つまり、「話す」から始めるのです。

全部一気に読まず、章の単位で読んでみよう

読書感想文ですから、初めは本を読まなくてはいけません。この「読む」も本来は実行ハードルが高いので、本当は本の読み聞かせから入るといいのですが、文章が短いならまだしも、さすがに文学作品の読み聞かせは難しいことでしょう。

そこで初めから本のすべてを読まず、いくつかに分割して読ませていきます。第1章とか第2章という感じです。例えば、第1章を読み終わったら、次のような会話をしていきます。

親:「この話の中で印象に残っていることって何?」

子:「ん〜、主人公が大変な状況になったことかな」

親:「そうなんだ〜。どう大変だったの?」

子:「友達に〇〇〇〇という嫌なことをされたんだよ」

親:「そんな嫌なことをされたんだ〜。つらいよね、それは」

子:「普通、あんな言い方しないよね」

親:「あなたも、それに似たようなことない?」

子:「あるかも。親友の○○くんから嫌なこと言われたことある」

親:「その時、どんな気持ちだった〜?」

子:「○○くんのこと嫌いになりそうだったよ」

まずは子どもが「話す」という段階から始めます。最も実行ハードルが低い作業です。これらのことを、簡単に箇条書きにするか、キーワードをメモ書きさせます。

このようなことを第2章、第3章と段階的にやっていきます。するとたまったメモ書きを見ながら、次のような手順で読書感想文を書くとよいでしょう。

1. 本の中で印象に残った部分を取り上げる

2. その理由を書く

3. それと同じような自分の経験・体験を書く

読書感想文の構成方法はいくつもありますが、上記のような形は比較的書きやすいです。

以上の3つを入れておくと読書感想文の形になっていきます。

作文や要約問題にも、同じ手法が使える

作文や要約問題が苦手であれば、同様に「話をさせる」→「書く」という順番で誘導してあげるといいでしょう。この「話をさせる」ことをせずに、いきなり「書く」段階から入ることに抵抗がない子であれば別ですが、そうでない子は、書くことに慣れる必要があるでしょう。

そして、慣れてきたら「話をさせる」ことを、徐々に少なくして、最後は、「読む→書く」ということが自分でできるように移行していきます。これでようやく「読書感想文」が自分でそれなりに書けるという段階になることでしょう。

ぜひ、上記のことを参考にされてみてください。

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【あわせて読みたい】 ※外部サイトに遷移します

「作文下手な日本人」が生まれる歴史的な必然

文章のヘタすぎる人が知らない「悪文」の正体

「イラっとさせられる文章」に共通する3大NG

提供元:地獄のような「読書感想文」をクリアする方法|東洋経済オンライン

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