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2018.12.21

共働きでもあえて「幼稚園」選ぶ人が得る利点|夕方までの預かり保育可能な園が増えている


保育園だけでなく、保育に対応している幼稚園も選択肢に含めていいかもしれない(写真:maroke/PIXTA)

保育園だけでなく、保育に対応している幼稚園も選択肢に含めていいかもしれない(写真:maroke/PIXTA)

12月を迎えると、来年4月の保育園入園に向け、保活に奔走している保護者が一気に増える。最近では、幼稚園でも夕方までの預かり保育サービスを提供するところが増えてきているので、幼稚園と保育園を併願するという世帯もあり、幼活が始まる時期でもある。

保活はさまざまなメディアを通じて、すでにある程度ナレッジ化されている部分も多いが、幼活は案外知られていない。筆者自身は、認可保育園に入れなかったからという、どちらかというと消去法で選択した「幼稚園」であったが、実際に入ってみると保育園とはまた少し違うカラーのママたちと知り合え、とても有意義な園生活を送っている。

そこで、幼稚園と保育園をどちらも経験した筆者の視点から、自分の子どもに最適な環境を考える選択肢の1つとして「幼稚園」を検討する材料を提供したい。

共働き世帯で高まる「保育可」幼稚園のニーズ

筆者の娘(年中・5歳)は、預かり保育のある幼稚園に通っている。2歳児クラスまでしかない小規模保育園を今年度で卒園する息子(現在2歳)については、今まさに来年4月からの入園先を探している真っ最中。

幼稚園は一般的に、「午後2時で終わる」「水曜日は午前中のみ(9時半くらいに登園して11時半くらいで終わる)」「春夏冬に2週間〜2か月弱の長期休みがガッツリある」という、専業主婦世帯を前提にした運営形態であった。

ところが、ここ数年、出産後も働く女性が増加したことに伴い、夕方までの預かり保育を実施する幼稚園への申し込みが殺到しているという。幼稚園を選択する共働き世帯が増えてきているのだ。

「幼稚園」を選択する共働き世帯のニーズは、主に以下のようなものである。

(1)「認可保育園に入れないから幼稚園」(筆者はこのパターン)

(2)「幼児教育をしっかり受けさせたいから幼稚園」

(3)「ゆるやかな働き方で子どもと過ごす時間も確保したいから幼稚園」(現状では、認可保育園を目指す場合、週5日間のフルタイム勤務でなければ入れないという地域がまだまだ多い)

(1)のニーズについては、認可保育園の拡充に伴い、徐々に減っていくであろう。一方で、(3)のニーズは確実に増えてきていると思われる。本当は子どもと過ごす時間をしっかり取りたいのでフルタイムで働くことは不本意だが、保育園に入れないと仕事自体が継続できない。だから仕方なくフルタイムで復職……というケースを筆者の周りでよく耳にする。

今後、子育て中のパパ・ママの働き方がより一層多様化していくにあたり、幼稚園という選択をする共働き世帯は増えていくかもしれない。

幼稚園と保育園の違い

筆者は仕事の傍らで、今年度、目黒区私立幼稚園父母会(東京)という組織の役員を務めている。この活動を通じて、筆者の子どもが通う園だけではなく、同会に加盟している目黒区の私立幼稚園18園の様子をうかがい知れる。その実体験を生かして、以下のとおり、幼保の違いの実感値をまとめてみた。

教育的関わり:幼保での差異がなくなりつつある

厚生労働省が10年ぶりに改定した保育所保育指針(2018年4月施行)では、保育園でも「教育的な関わりをする事」が義務づけられている。改定が告示された2017年3月から先行して取り組んでいる保育園も多数あり、それらの保育園と幼稚園を比較した場合、幼保での教育的な関わりの差異は縮まったと感じる(もちろん園にもよるが)。

親の出番:とはいえ圧倒的に幼稚園のほうが多い

ここで言う「親の出番」とは、保護者が担う役職ポストの多さや、平日の保護者参加を伴う行事、週末の行事の振り替えで平日が休みになる事態などを指す。筆者の子どもが通っている若水幼稚園(東京都目黒区)は、区内の幼稚園の中でも突出して親の出番が少ない園ではある。それでも、平均して月に1〜2日は幼稚園関連で平日に半休または全休を取っている。

月に数日の親の出番であれば、フリーランスで活動する筆者のような働き手でも、在宅ワークなど柔軟な働き方が進んでいる企業に務めている人でも、問題なく対応できるだろう。

しかし、春夏冬の長期休みがある園では、フリーランスワーカーのママであっても、かなりヒーヒー言っている。長期休みのたびに、企業が提供する預かりサービスを利用したり、親自身の有給と在宅ワークを駆使したりしてしのがなければならない。

幼稚園の中には、長期休みの間の特別な預かり保育サービスを提供している園もあるので、年間の「親の出番の頻度」については、事前にしっかりとリサーチされることをお勧めしたい。筆者の子どもが通う園にはこのサービスがあり、かなり助かっている。

経営者(園長)の理念の方向性:幼稚園は「子どもファースト」、保育園は「保護者ファースト」

幼稚園の園長は、実は今でも昭和時代からタイムスリップしてきたような価値観を持っている場合が少なくない。「子どもは親を映す鏡」という発想が根底にあり、子どもの様子に異変があれば、まずは親の行動に変化がなかったかということを遠回しに聞かれることもしばしばである。実際に筆者も、「親の人生は子どものためにある」というような印象を受けたこともあった。

一方で保育園は、仕事に子育てにと忙しいママをサポートするという姿勢である園が多いように感じる。子ども同士のけんかがあった場合、幼稚園は比較的すぐに親が助言(≒注意)を受けるが、保育園は親を追い詰めないように状況を観察しながらマイルドに対応していく。

保護者層:幼稚園は同質的、保育園は雑多

これが実質的にいちばん大きな相違点になるかもしれないが、園の教育方針に共感して入園している家庭の集団であるかどうか、という大きな差がある。

保育園は自治体が各家庭の状況に応じて入園可否を決めるため、子どもも保護者のカラーも実に雑多。待機児童問題を考えると園に入れれば御の字、というくらいであり、教育方針を吟味している余裕はない。

一方で、幼稚園では願書提出の後、場合によっては保護者と子どもの面接を経て、幼稚園が入園可否の裁定を下す。結果的に、幼稚園が保護者のカラーを同質化させる力が働いているのだ。

たとえば、母親が就業することを好ましく思わない園長である場合、共働き世帯の保護者にとって、入園後の保護者同士の人間関係で苦労される可能性は高いと感じる。

「保育園<幼稚園」という選択肢

保育園との違いでもう1つ言及しておくと、幼稚園は「転園」が比較的簡単にできる。一方、認可保育園の場合、転園時も自治体のほうで家庭状況によるポイントの序列による選考があり、認可から認可への転園はマイナスポイントとされるため、実際にはなかなか難しい。

もし、思い切って「幼稚園」という選択をして、「園や保護者同士のカラーになじめなかった……」みたいなケースがあっても、幼稚園からの転園は実現の可能性が高い。転園先の園児の空き状況次第ではあるが、幼から幼、または、幼から保への転園もできる。

お子さんを持つ方々には、保育園だけでなく、子どもの預け先として幼稚園も選択肢に含めることをお勧めしたい。

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提供元:共働きでもあえて「幼稚園」選ぶ人が得る利点|東洋経済オンライン

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