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2018.11.16

共働き夫婦が知るべき「年末調整」今年のツボ|押さえたい「配偶者控除」と「配偶者特別控除」


会社から「年末調整の準備を」と言われる時期になりました。でも、「ややこしくて面倒……」と放っておいたり、「またいつもの保険の紙を提出するだけ」と考えていませんか?
実は、今年は共働きの方に節税チャンスが到来します。「配偶者特別控除」という制度が変更され、いわゆる「103万円の壁」のハードルが下がり、対象者が増えました。『自分ですらすらできる確定申告の書き方平成31年3月15日締切分』から今年の変更ポイントについてご紹介します。

『自分ですらすらできる確定申告の書き方平成31年3月15日締切分』 ※外部サイトに遷移します

配偶者(夫、妻)のいる人に対して適用されるのが、「配偶者控除」と「配偶者特別控除」です。今年はこの2制度に改正(変更)がありました。

大きく分けて、改正のポイントは2つあります。

1つ目は、本人の「合計所得金額」によって控除額が変わるということです。具体的には、所得の高い人には、税金をより多く負担してもらおうという考え方により、配偶者控除・配偶者特別控除共に、控除額が減ります。具体的には、

(1)本人の合計所得が900万円以下

(2) 900万円超950万円以下

(3) 950万円超1000万円以下

の3段階で控除額が減額され、合計所得が1000万円を超えると控除額は38万円だったのがゼロ円になります。

2つ目は、「配偶者特別控除」を受けられる配偶者の範囲が広がったことです。以前は配偶者の合計所得が76万円未満の人でなければ配偶者特別控除を受けることができませんでしたが、改正により配偶者の合計所得が123万円以下の人まで対象が広げられています。これは共働き世帯に手厚い方向の改正になっているといえます。では次に「配偶者控除」「配偶者特別控除」それぞれの変更点の詳細をみていきましょう。

配偶者控除の改正では高所得者が不利に

配偶者控除に関しては、今回の改正で有利になる方はいません。合計所得が900万円を超えると、下図のように段階的に控除額が下がり、1000万円超になると、控除自体が受けられなくなります。なお合計所得金額が900万円以下の方は、以前と同じで何も変わりません。

(図:『自分ですらすらできる確定申告の書き方平成31年3月15日締切分』)

(図:『自分ですらすらできる確定申告の書き方平成31年3月15日締切分』)

今回の変更により、年末調整後に渡される「源泉徴収票」の表示方法も変更されています。配偶者控除の金額が明記されるようになりましたので、気になる方は、源泉徴収票を見て控除額を確認してみてください。

配偶者特別控除では、対象となる配偶者の範囲が広がったので、共働きで有利になる方が増えます。ただし、有利になる人・不利になる人・変わらない人の3通りが出てきますので、それぞれ見ていきましょう。

(1)有利になる人

有利になるのは、配偶者の合計所得が76万円以上の人です。前述したように、昨年までは配偶者の合計所得が38万円超76円未満の人しか配偶者特別控除を受けることはできませんでした。しかし、今回の改正で、配偶者の合計所得が38万円超123万円以下の人まで対象が広げられています。

ちなみに、年収ベースでいうと、配偶者の収入が給料・パート・アルバイト収入のみであれば、年収103万円超201万5999円以下の配偶者までが対象になります。

(2)変わらない人

以前と変わらないのは、配偶者の合計所得が76万円未満で、本人の合計所得が900万円以下の方です。

(3)不利になる人

不利になるのは、配偶者の合計所得が76万円未満で、本人の合計所得が900万円超の方です。配偶者控除と同様に、3段階で控除額が下がっていくことになります。なお、本人の合計所得が1000万円を超えると、配偶者特別控除が受けられないというのは、従前どおりで変更はありません。

改正後の配偶者控除と配偶者特別控除を確認しておこう

改正点についての話が先になりましたが、ここで改めて、配偶者控除と配偶者特別控除とはどのようなものかについて、確認しておきましょう。

(1)配偶者控除

記事画像

『自分ですらすらできる確定申告の書き方平成31年3月15日締切分』 クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

配偶者控除とは、合計所得38万円以下の配偶者のいる人が受けられる所得控除のことです。配偶者の年齢が69歳以下の方と70歳以上の方では、控除額が変わります。なお、配偶者の年齢は平成30年12月31日現在で見ることになっています(昭和24年1月1日以前の生まれの方が70歳以上となります)。

ちなみに、配偶者の合計所得が38万円以下になるのは、年収ベースいうと、103万円以下の人です(収入が給料・パート・アルバイト収入のみの場合)。配偶者が年金収入のみの場合は、65歳未満の配偶者で年金年収108万円以下、65歳以上の配偶者で年収年金158万円以下のときに対象となります。

なお、この配偶者控除の対象となる配偶者は、基礎控除38万円(誰でも受けられる控除)を引くと所得が「0」となるため、所得税も復興特別所得税もかからなくなります。

(2)配偶者特別控除

配偶者特別控除を受けられるのは、合計所得38万円超123万円以下の配偶者のいる方です。

ただし、配偶者控除と配偶者特別控除のどちらも、次のいずれかに該当すると、受けることはできなくなります。注意しましょう。

●ほかの人の扶養親族になっている

●平成30年12月31日現在で生計を一にしていない

●個人事業主で配偶者を青色申告や白色申告の事業専従者にしている

●内縁関係にある(結婚していない)

配偶者控除と配偶者特別控除の控除額

また、配偶者控除と配偶者特別控除の控除額は、次表のようになるので参考にしてください。

(図:『自分ですらすらできる確定申告の書き方平成31年3月15日締切分』)

(図:『自分ですらすらできる確定申告の書き方平成31年3月15日締切分』)

(構成:前窪 明子)

記事画像

【あわせて読みたい】 ※外部サイトに遷移します

「配偶者控除」改正、注意すべき落とし穴とは?

「配偶者控除」の書類、なぜこうも面倒なのか

試算!「配偶者控除」改正で家計はこう変わる

提供元:共働き夫婦が知るべき「年末調整」今年のツボ|東洋経済オンライン

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