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2018.11.06

積立預金で「結局は損してしまった人」の盲点|社内預金や財形貯蓄を検討するのが先だ


複数口座に分け、利率の良い銀行を探したとしても?(写真:Graphs/PIXTA)

複数口座に分け、利率の良い銀行を探したとしても?(写真:Graphs/PIXTA)

普通預金の金利はわずか0.001%。預けても全然貯まらないからと、たくさん預金口座を持つ人、利率のいい銀行を探して積み立てる人――でもどれも大間違い。工夫したつもりが大損につながる、危ない「預金」の仕組みとは。『払ってはいけない 資産を減らす50の悪習慣』の著者、荻原博子氏が解説する。

『払ってはいけない 資産を減らす50の悪習慣』 ※外部サイトに遷移します

複数口座に、お金を分ける「預金」はいけない

銀行口座を、やたらとたくさん持っている人がいます。教育資金の口座、旅行用の口座、帰省用の口座……。でも、これからは口座をたくさん持っていると、そのぶん手数料をたくさん払わなければならなくなるかもしれません。

日銀に黒田東彦総裁が誕生した2013年以来、日本は金融緩和路線をまっしぐらに走ってきました。日銀は、銀行から年間80兆円という国債を買い上げ、その代金を現金で銀行に渡すことで、それを銀行がみんなに貸し出し、金回りをよくしてデフレ脱却を目指しました。

「2年でデフレ脱却」目標を掲げたにもかかわらず、5年たっても兆しも見えない。

なぜなら、安倍政権になってから企業の内部留保は100兆円も増え、今や400兆円にもなっています。これだけ貯金があれば、わざわざ銀行になどお金を借りに行かなくてもいい。個人も給料が上がらないので、住宅ローンなど大きなローンは組みたがらない。

ということで、どんなに日銀からお金が流れてきても、銀行は貸し出す先がない。そこで仕方なく、0.1%というわずかながらの利息がついた日銀の中にある当座預金という口座にお金を預けていました。

ところが、それでは銀行から外にお金が出ていかないということで、これ以上当座預金にお金を預けたら、預けたお金の金利をマイナス0.1%にするという「マイナス金利政策」を、2016年2月から始めたのです。

日銀がマイナス金利政策を始めた当時、当座預金の預金残高は約270兆円。ところが、この当座預金残高が減るどころか、2018年5月時点で390兆円と、120兆円も増えているのです。手数料を取られるので預けたくはないが、融資も投資もできないので預けざるをえない。それくらい、銀行は運用に困っているということです。

マイナス金利政策の結果、それまで銀行を支えていた、「お金を貸して利息を稼ぐ」というビジネススキームは完全に崩壊してしまいました。

銀行の3つの生き残り戦略

2018年3月末の決算を見ても、銀行は軒並み収益が悪化しています。それも、今回だけのことではなくマイナス金利政策導入以来、真綿で首を絞められるようにじわじわと悪化しています。こうした状況のなかで、銀行が生き残る方法は3つしかない。

(1)「少しでも利率の高い、カードローンやマンション投資に力を入れる」

(2)「イチかバチかで利益が高そうなところで勝負する」

(3)「手数料をさまざまなところで稼ぐ」

(1)の「少しでも利率の高い、カードローンやマンション投資に力を入れる」では、多くの銀行がカードローンで多額の貸し込みをすれば、自己破産が急増して社会的に問題化しています。また2018年、シェアハウス投資で多くの破綻者が出て、スルガ銀行など融資した銀行が糾弾されています。ですから、この分野に進出するのは難しい。

(2)の「イチかバチかで利益が高そうなところで勝負する」という方法ですが、これは銀行が最もやりたくないこと。もし、勝負に出て負けたら、デフレの中では取り返しがつかないことになって、屋台骨が傾ぐ可能性があるからです。

残る生き残り策として最も大きいのが、(3)「手数料をさまざまなところで稼ぐ」ということ。稼ぐのに最も有効なのは、銀行利用者に投資をさせること。投資でお金を出す人は、儲かることもあれば損することもあるのでリスクを負います。けれど、金融機関は投資する人が儲かっても損しても、必ず手数料を稼ぐことができるので、ノーリスクで儲けられるのです。

もう1つ手数料を稼ぐ方法が、振込手数料をはじめとした各種手数料を取ること。その一環として、大手銀行では、今まで無料だった銀行の口座の維持管理手数料を取ることを検討し始めています。

だとしたら、銀行口座はバラバラと持っているよりも、なるべくまとめたほうがいいということになります。今のうちに、なるべくまとめて数を減らしておきましょう。

銀行の標準金利が0.001%なら、少しでも金利の高いところに預けたいと思うのが自然かもしれません。でもこれが、お金を貯めようと思ったときに陥りがちな「やってはいけない預金」です。

どうせ預けるなら、少しでも金利でトクをしようと思うものですが、給与が振り込まれる口座と違う銀行で積立預金を始めると、結局損をするケースが多いのです。

利率のよい銀行で、積立「預金」をしてはいけない

積み立てるお金を振り込むために、まず手数料が毎月掛かります。手数料を避けて毎月持っていくとしても、その手間が面倒になってやめてしまう人もいるでしょう。積立を中断すれば、そこからお金が増えることはありません。

お金を貯めるには、コツコツと積立をしていくことが大切ですが、積立にも検討する順番があります。有利に積立をしたいと思うなら、検討する順番を間違わないことです。

検討する順番は、次のようになります。

(1)社内預金

(2)財形貯蓄

(3)給与振込銀行での自動積立

会社に(1)の社内預金がある人は、社内預金の枠いっぱいに積立をしましょう。なぜ、社内預金がいちばんかと言えば、あらかじめ給料から引かれてしまうので、税金だと思えばあきらめもつきやすいから。

また、社内預金の金利は、最低でも0.5%以上と決まっています(労働基準法第18条第4項の規定に基づく省令)。現在の銀行金利は0.001%ですから、銀行の500倍もの金利がつくということです。

会社に、社内預金はないが(2)の財形貯蓄はあるという人は、社内預金よりも金利は低いですが、財形貯蓄も社内預金と同じように給与天引きなので、一度申し込めば、忘れていてもお金が毎月貯まります。

財形貯蓄には、一般財形、住宅財形、年金財形の3種類がありますが、まずは住宅財形からスタート。一般財形は通常の預金同様に利子に税金がかかりますが、住宅財形と年金財形は元金550万円までは条件に合った使用をすると利息から税金を引かれません。もし条件に合っていない使用の場合は、5年間さかのぼって課税されます。

会社に、社内預金も財形貯蓄もないという人は、(3)給料が振り込まれる銀行の自動引き落としで積立をしましょう。給料が振り込まれた次の日くらいに積立が引き落とされるようにセットしておくといいでしょう。

貯まらない、とマイナスの烙印を押されがちの預金ですが、わずかであっても利息がつき、元本割れがないという点では、ほかの金融商品にはない利点を持っています。「投資礼賛時代」だからこそ、身近な預金を味方につけて、まず足元を固めましょう。

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提供元:積立預金で「結局は損してしまった人」の盲点|東洋経済オンライン

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