2018.11.05
お金持ちになる「30代実行計画」の作り方|結局、行動しなければお金は絶対に増えない
「お金との付き合いを変える1日」を作る。これが無理なくお金持ちになる第1歩。具体的な実行計画とは?(写真:tomos / PIXTA)
読者の皆さんは、「お金」について、何か心配なことありますか?
「確かにお金のことはいろいろ心配。だけど、どう管理して運用すればいいのかわからない。誰か信用できる人や会社に任せられればいいのに」と思っている人は少なくないでしょう。実際、私は、お金の相談に来てくださる方や毎月1回の少人数制の勉強会で、こうした相談を毎日のようにお聞きしています。私は決まってこう答えています。
「お金のことは、結局は自分でなんとかしなくてはいけない問題です。だから、最低限、必要な正しい知識を身に付け、資産管理は決して人任せにせず、自分でできるようになりましょう」
なにか突き放したような言い方をしているようですが、そんなことはまったくありません。というのも、低コストで運用できるファンドや、iDeCo(個人型確定拠出年金)や、つみたてNISA(少額非課税積み立て制度)などの制度がこの数年間の間にかなり整ってきました。それらを使い、分散して長期で積み立て投資をしていくことで、忙しい人でも特別な知識を持たなくても、誰でも資産形成をすることができるからです。方法はとてもシンプルなのです。
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頭でわかっていても、実行しなければお金は増えない
結論から言うと、多くの「お金の問題」は、自分の「人生の持ち時間」を使って、計画的に貯蓄し、上手に増やしていくことで解決しますし、不安もなくなります。また間違った金融商品を買ってお金を失うという失敗も避けられます。
でも、せっかく勉強して頭で理解しても、実際に行動しなくては何も変わりませんし、お金も増えません。相談や勉強に来てくださる方の様子を拝見していると、すぐに実行に移せる人とそうでない人がいます。たとえば、申込書は手元に届いたものの、日々の仕事が忙しくて、「やろうやろう」と思いながら時が過ぎ、気づいたら数カ月経っていた。そのうち、記憶もやる気も薄れ、結局今もスタートできていないという具合です。実は、読者の皆さんの中にも結構いますよね。
そこで、今回は、私からお金の問題を解決したいと考えている皆さんに一つご提案させていただきます。思い切って、「お金との付き合い方を変えるDAY(1日)」を作りましょう。「お金持ち」になる確かな1歩を踏み出すのです。
とにかく、貴重な土日のお休みを使ってでも、有給をとってでも、お金との付き合い方を変えるために空けるのです。費やす価値のある1日です。
この1日で「お金のたまるしくみ」を全部作ってしまいましょう。
「お金のたまる仕組みづくり」の準備はどうするか?
「お金とのつきあい方を変えるDAY」の過ごし方、「お金のたまるしくみ作り」の手順についてお伝えします。まず、準備編です。
まず、料理でもなんでも仕込みが大切ですが、たとえば「お金のことを考える日」を1カ月後に設定したら、その日までに、「お金の置き場所」であるiDeCo(個人型確定拠出年金)と、つみたてNISAに申し込み、専用口座の開設をしておきましょう。
iDeCoやつみたてNISAを併用するのは、家計を考えるうえで合理的です。iDeCoは原則60歳までお金を引き出すことができませんが、つみたてNISAは途中で引き出すことも可能です。とは言っても基本は長期投資ですから、いくつか注意も必要です。これについては、のちほど手順の中で詳しくお伝えします。
話を専用口座に戻すと、専用口座は銀行でも証券会社でも開設できますが、選ぶときは商品のラインナップを確認して、国内外の株式や債券といった基本的商品が低コストでそろっているところにしましょう。また、iDeCoは、運用管理手数料が安いところを探しましょう。ネット証券であれば、余計な金融商品を勧められることもなく、商品ラインナップが多いのでおススメです。ネット証券大手のサイトを見比べて、使いやすそうなところを選ぶとよいでしょう。さらに、つみたてNISAで運用する資金は、普通預金口座から開設した証券口座に移す必要があります。
ネット銀行などを使ってお金の移動をスムーズにするのもお勧めです。
たとえば、住信SBIネット銀行のハイブリット口座とSBI証券というように、最初から連携しているものを使うなどです。合わせて手続きをしておくとよいでしょう。
iDeCoの掛け金は、普通預金口座から自動引き落としができます。
さて、こうした準備ができたら、いよいよ「お金とのつきあい方を変えるDAY」を迎えるわけですが、その日が来たらどうすればいいでしょうか。
以下の4つの手順で「お金の貯まるしくみ」を作りましょう。なお、iDeCoでなく、会社のDC(企業型確定拠出年金)制度を利用している人も、同じように考えて大丈夫です。
手取り年収に対して、どの程度貯蓄すべきかを知る
(1) 毎月いくら貯蓄すべきかを知る。
これは「人生設計の基本公式」で必要貯蓄率を求めて、毎月いくら貯蓄をしていくかを決める。実はこの連載でも度々ご紹介していますが、これは3分もあればできます。「人生設計の基本公式」を使って、必要貯蓄率を求めます。私のHPでもすぐに求められるツールがありますので、ご利用ください。
HP:「すぐに求められるツール」 ※外部サイトに遷移します
求めた必要貯蓄率から必要貯蓄額を求めます。
(現在の手取り年収 × 必要貯蓄率)÷12カ月=毎月の必要貯蓄額です。仮に年間の必要貯蓄額が69万9000円なら、毎月5万8000円ずつ貯蓄をしていくことになります。毎月は難しいというなら、たとえば、毎月3万円ずつ、年2回のボーナス時に約17万円を上乗せすることにしても構いません。
では、具体的に玉田紀香さん(まもなく35歳・会社員)のケースで具体的に見ていきましょう。
玉田紀香さん(35歳時点・会社員)の家計
家計の今後の平均手取り年収(Y)500万円
(現在の手取り年収ではなく、これからもらえそうな手取り年収の平均額を記入します)
老後生活比率(x)0.6倍(老後、現役時代の何割程度の生活水準で暮らしたいかを設定します)
年金額(P)169万円 (60歳まで現在の勤務状況が継続するとして計算・わからなければ厳しめに手取り年収の3割として計算しても良い)
現在資産額(A)500万円
老後年数(b)30年(65歳から95歳まで生きると想定した年数)
現役年数(a)30年(65歳まで働くことを予定しているので30年)
玉田さん(35歳時点)の人生設計の基本公式
人生設計の基本公式を使って計算すると、玉田さんは、今後、手取り年収の14.29%を貯蓄していけば、老後、毎月21万4000円で95歳まで安心して暮らすことができます。
現在の手取り年収は約470万円ですので、これで計算すると、年間の必要貯蓄額は約67万2000円です。毎月約5万6000円を貯蓄していくことにしました。
さて毎月の貯蓄額がわかったら、次はどうすればいいでしょうか。
(2)次は、リスク資産をいくら持つかを決めます。私のお勧めはシンプルです。
これは、3)にもつながりますが、ひとつの基準に従って、iDeCoやつみたてNISAでいくら運用していくかを決めるということです。
運用対象のリスク資産のイメージはもちろん人によって違いますが、ここでは以下のような商品とします。「1年後に最大で3分の1損するかもしれないが、同じくらいの確率で4割くらい儲かることがある。平均的には国債など、リスクを取らない資産よりも年率5%くらいは利回りがいい金融商品」です。
皆さんならどのくらいの金額を持ちたいと思いますか? 「360」という数字を使って考えてみます。65歳でリタイアするとして、95歳まで生きるとすれば、30年間あります。月にすると360カ月です。その間は、公的年金とそれまでに貯めたお金を取り崩して使います。もし、マーケットが悪くて運用がうまくいかず、360万円お金が減っていれば、老後毎月使えるお金が1万円減るということです。
玉田さんのケースで考えると、老後生活費が21万4000円から20万4000円になります。このリスクが受け入れられるなら、安全資産とは別に、360万円×3=1080万円のリスク資産を持つことができます。
iDeCoとつみたてNISAにいくら預けるか?
(3)「リスク資産」の商品選択と運用場所(お金の置き場所)への割り当てを考える。
さて、玉田さんは「失敗しても毎月最大1万円の生活費が減るだけなら」と、1080万円くらいまでリスク資産を持つことにしました。2)でも触れましたが、リスク資産の置き場所は、iDeCoとつみたてNISAです。それぞれの口座の中で分散する必要はありません。iDeCoで「TOPIXに連動する日本株インデックスファンド」、つみたてNISAで「外国株式インデックスファンド」を使って積み立て投資していくことにしました。
iDeCoは、月々2万3000円ずつ、25年間で690万円を拠出ができます。つみたてNISAは、毎月3万3000円ずつ拠出していくと、制度の残り19年間をいっぱい使うと、752万円になりますので、両方で1442万円になります。
1442万円という額は、リスク資産の保有の目安の1080万円を上回りますが、途中の下落や上昇、引き出しなどもあるでしょうし、毎月の拠出額を減らしたいときもあるかもしれませんので、その都度考えるということにして、とりあえず使える枠をいっぱい使ってスタートしていくことにしました。ファンドの選び方ですが、商品ラインナップの中で最も信託報酬の安いファンドを中心に選びます。
リスク資産の運用が決まったら、最後に、
(4)無リスク資産(リスクを取らない資産)を考えます。
玉田さんのように、ある程度の預貯金がある人は、毎月の必要貯蓄額を投資に回して大丈夫です。でも、「もしものときに使える預貯金がまだ作れていない」という人は、たとえば、必要貯蓄額5万6000円のうち、2万円を普通預金、iDeCoで2万3000円、1万3000円をつみたてNISAとしていくとよいでしょう。また、「あまりリスクを取りたくないという人」は、運用に回すお金を減らせばいいのです。
お金を分けて「3つ目のお金の置き場所」を作る
ここで大切なのは、自分の資産全体で考えることです。1.いつでもすぐに使えるように普通預金に生活費の半年分~1年分をおいて置く。2.当分使う予定がなく、でも減らしたくないお金は、元本の減らない「個人向け国債変動金利型10年満期」において置く。数年後に使う予定のあるお金は、普通預金でも定期預金でも構いません。銀行1行当たり、1000万円以下になるようにしましょう。確かにつみたてNISAでは途中で投信を解約することもできます。しかし、なるべく長期で運用できるように、お金を分けて「3つ目のお金の置き場所」を作るのです。
しくみ作りはこれで完成です。iDeCoは、毎月、お給料の振り込まれる口座にから引き落とされて、自分が指定した商品を買い付けてくれます。玉田さんは、TOPIX連動の日本株インデックスファンドを100%としましたので、毎月決まった日に2万3000円が引き落とされて、買い付けられます。
つみたてNISAは、先進国株式インデックスファンドを選びましたので、毎月3万3000円ずつ買い付けられます。つみたてNISAで運用できるお金は、年間40万円までですので、まとめて証券口座に移して置くことにしました。まとまったお金のない人は、毎月、入金することを忘れずに。ネットバンキングなら、パソコンで簡単にできます。なおつみたてNISAの対象商品については、金融庁のHPをご覧ください。
金融庁のHP ※外部サイトに遷移します
これだけのことをしておけば、おおよそ1年間は何もしなくてかまいません。
さて、積み立て投資とは「購入する金額に対して、買えるだけの口数を買っていく」というものです。投資信託の価格は、基準価額と言い、多くは1万口当たりで示されています。基準価額が1万円だとすると、1口当たりは、1万円÷1万口=1.0円ですから、1万円分購入する場合は、1万口を買い付けることになります。価格が5000円に下がれば、1口当たり0.5円ですので2万口、2万円に上がれば5000口となります。このように、基準価格が高いときには少しだけ、安くなればたくさん口数が買えるのです。もちろん、積み立て投資をしたからといって投資対象のリスクが小さくなるわけではありません。また、将来値上がりすることがわかっていれば、早く一括で買ったほうが儲かるでしょう。
でも、マーケットが将来どうなるかはわかりませんし、下落したとしても、積み立て投資をしていれば、口数がたくさん買えることになります。なので、慌てる必要はありません。
いかがでしょうか。1日も早く、「お金との付き合い方を変えるDAY」でしくみを作り運用をスタートし、そして、とにかく続けることが大切です。1年後の同じ日に、資産がどうなっているか、モニタリングをし、つみたてNISAについては1年分の資金を移動させておくとよいでしょう。ライフプランの変更や、大きな支出や収入があったときには、「人生設計の基本公式」で必要貯蓄率も計算し直してみてください。
さあ、あなたも資産運用をスタートしましょう!
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提供元:お金持ちになる「30代実行計画」の作り方|東洋経済オンライン