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2018.07.30

貯金できない人とできる人は一体何が違うか|多い人が意外と使っているという事実もある


多い人のマネをしても貯まるワケではありませんが……(写真:andresr/iStock)

多い人のマネをしても貯まるワケではありませんが……(写真:andresr/iStock)

夏のボーナス支給から数週間が経ちました。消費者庁の調査によると、この夏のボーナスの使い道で最も多いのは「貯蓄」で、回答者の約48%を占めています。「旅行」「ローンの支払い」「教育関連費」は2割前後にとどまっており、多くの人が貯蓄に回しているようです。

近年、私たちの貯蓄への意識は強まっています。総務省の家計調査によると、2人以上の勤労者世帯は年収の約1.8倍の貯蓄を保有しており、この10年で上昇基調にあります。

にもかかわらず、実際には思うように貯まらず悩む人は筆者を含め少なくありません。同調査によると、勤労者世帯の貯蓄高平均は1327万円ですが、この数字は3000万円、4000万円など多額を持つ少数派による引き上げ効果があります。貯蓄高を低い順に並べたちょうど真ん中にあたる中央値は743万円です。つまり半数の人はそれ以下なのです。また、貯蓄が100万円未満の世帯も1割以上いるのが実情です。

当然ながら年収が高いほど貯蓄は多いが…

貯めたいのに貯まらない理由には、言うまでもなく収入不足が挙げられます。皆さんの中にも、「もっと収入が上がれば貯まるのに」と嘆いている人は少なくないはずです。上述の家計調査でも、確かに年収が高い人ほど持っている貯蓄高が多いという結果が出ています。たとえば、年収ゼロから約450万円の人の貯蓄高は平均795万円なのに対して、年収約950万円以上の人の貯蓄高は同2184万円です。

ところが、どうやらそれだけではないようです。年収が低くても貯蓄が多い人もいれば、年収が高くても貯蓄が少ない人もいます。上記調査の同じ集団で、貯蓄がゼロから約200万円の人の平均年収は544万円です。ここから税や社会保険を差し引くと、家族が十分なゆとりをもって暮らせる水準では必ずしもないかもしれませんが、極端に年収が少ないともいえません。

一方で、貯蓄高が約2000万円以上の人の平均年収は889万円です。よく、年収1000万円を超えると家計にもゆとりが出るとイメージされますが、そこまででなくても貯蓄が多い人もいるのです。

また、貯蓄が少ない人(約200万円以下)とトップレベルに多い人(約2000万円以上)では、貯蓄高では10倍以上の開きがあるものの、年収差は350万円ほどです。ここには定年退職をして退職金による貯蓄がある人はほとんど含みませんが、現役の会社員のなかで、年収以上に貯蓄の格差が大きいことがわかります。

貯蓄が多い人の特徴とは?

では、貯蓄が多いのはどのような人なのでしょうか?

まず、当然ながら年齢の高さがあります。貯蓄約200万円以下の人の平均年齢は約44歳ですが、トップレベル(約2000万円以上)の人では同56歳です。毎年少しずつでも貯蓄を続けていれば(かつ貯蓄した以上に使わなければ)、時間の経過とともにおカネが貯まっていくのでしょう。

年齢にかかわらず貯蓄に大きな影響を与えると思われるのが、住宅ローンなどの負債です。貯蓄の多い人ほど負債残高が少ない傾向があります。貯蓄高トップレベルの人が抱える負債は平均426万円で、貯蓄高の10%前後の規模にすぎません。これに対して貯蓄が少ない人の負債は平均810万円で、貯蓄高の10倍以上です。

負債の大半は住宅ローンと考えられ、貯蓄が多いほど持ち家率が高く、かつ住宅ローンを完済している人も多いようです。貯蓄高トップレベルの人のうち住宅ローンを返済中の人は2割ほどですが、貯蓄がトップレベル未満の人では約4割がローンを抱えています。月々の支出で見ても、貯蓄が少ない人は家計に占める住宅ローンの返済負担が重い傾向にあります。住宅ローンを返済していると、なかなかおカネが貯蓄に回らないと嘆く方が多いですが、やはり貯まった後の結果にも表れるようです。

ところでローンは、審査で有利なこともあり、年収が高いほど多額のローンを組む傾向があります。返済能力の面では当然のことですが、収入の多くを返済に回せば貯蓄はできません。実際に住宅ローンを借りている人が月々の収入から貯蓄に充てる割合(貯蓄率)は、借りていない人よりも低いです。しかもその差は年収が高いほど大きいのです。年収約1200万円以上の人の平均貯蓄率は約30%ですが、住宅ローン返済をしている人に絞ると約24%と、約6%ダウンします。しかし、年収約500万円レベルの人ではその差は3%弱です。年収が高いと借りやすいものの、無理をしてかなり高額な借り入れをしてしまうケースも少なくありません。その分、貯まりにくくなるリスクも大きくなることは十分に留意したいものです。

では貯蓄が多い人はローンが少なく、その分すべてを貯めているのかというと、必ずしもそうではないようです。貯蓄高の多い人は月々の収入も高いのですが、使ってもいます。貯蓄がトップレベルの人は月間の手取り収入のうち4分の3以上を使っており、黒字として残る金額も、貯蓄が少ない人より圧倒的に高いわけでもありません。

ただ、おカネの使い道には少々違いがあります。貯蓄の多い人ほど食費や交際費、自動車関連費などの支出が高い反面、通信費が少ないのです。貯蓄200万円以下の人は月に平均約1.8万円ですが、貯蓄が2000万円以上の人は1.7万円以下です。それほど大きな差ではありませんが、ほかのほとんどの費目と逆の傾向がみられるのは興味深いところです。

この調査では、現役の会社員・公務員という点では同じものの、さまざまな家族構成の人が含まれています。データをみると貯蓄が多い人の平均年齢は高く、高校生以下の子どもが少ない、貯蓄が少ない人の平均年齢は低く、子どもが1人以上いる傾向もあるようですので、月々の支出にはそうしたライフステージの違いが影響しているでしょう。とはいえ、おカネを貯めるために節約しようと考えるなら、貯まっている人が何に使って、何を絞っているかは参考になるかもしれません。

おカネの持ち方にも違いがある

もうひとつ、貯蓄の多い人は、持っている金融商品も違います。

貯蓄が少ない人ほど、預貯金が多く、株式や投資信託の割合が少ない傾向があります。貯蓄高がトップレベルの人は、貯蓄高に占める預貯金の割合は約60%ですが、貯蓄高が少ない人では75%以上です。また預貯金のなかでも、貯蓄の多い人ほど定期預金、少ない人ほど普通預金を持っています。貯蓄トップレベルの人が持つ普通預金は貯蓄高全体のうち4分の1ほどですが、貯蓄の少ない人ではその半分以上を占めているのです。

おカネを貯めるときにどんな金融商品で貯めるかは、年齢や家族構成、ライフプラン、そしてすでに持っている貯蓄高によって変わってきます。まだ貯蓄が少なければ、たとえば冠婚葬祭や思わぬケガ、病気といった急な出費に備えて、すぐに引き出せる普通預金に優先的に貯めていくのが安心です。これに対して、貯蓄高がある程度積みあがっていれば、一部はすぐに引き出せなくてもよい定期預金にしたり、元本割れのリスクをとっても株式や投資信託などの投資に充てたりするゆとりもでてきます。ですから上記は当然の結果ともいえます。

しかし別の見方をすると、貯まっている人はより貯まりやすい金融商品を選んでいるともいえます。近年の低金利局面では、預貯金の利子は微々たるものですから、預貯金が多いほど貯蓄高全体も増えにくいままです。逆に株式や投資信託が多ければ、値動きのリスクはあるものの、より増やすチャンスもあります。

またおカネを普通預金ばかりに置いておくことは、それだけいつでも使える、つまり貯蓄が増えない状態にさらしておくことでもあります。定期預金やほかの金融商品も解約して現金化するのはそれほど難しくありませんが、普通預金に比べれば少々ハードルが上がります。引き出しにくい金融商品の割合を多くしておくほど、貯まりやすい効果もあるかもしれません。

このように、貯まっている人と、貯まっていない人には、確かに違いがあります。もちろん、この調査は対象者の貯蓄高を経時的に分析しているわけではなく、各家庭の個別の事情を考慮しているわけでもありませんから、貯蓄の多い人の真似をすれば必ず貯められるわけでもありません。ただ、貯まっている人がおカネをどう使い、どう持っているかは、多少のヒントになりそうです。特に、年収が多い、ライフプラン上大きな出費もない、負債もそれほどないのに貯まらない人は、おカネの使い方や持ち方を見直してもよいかもしれません。

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提供元:貯金できない人とできる人は一体何が違うか|東洋経済オンライン

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