メニュー閉じる

リンククロス シル

リンククロス シルロゴ

2018.06.05

20代の会社員がゼロから1億円を貯める方法|たった一つのことを守れば達成が見えてくる


「10年で1億円を貯めよう」なんて思わなくていい。20代の人なら一つの約束を守れば「投資で1億円」はゼロからでも十分手が届く数字だ(写真:ZAK/PIXTA)

「10年で1億円を貯めよう」なんて思わなくていい。20代の人なら一つの約束を守れば「投資で1億円」はゼロからでも十分手が届く数字だ(写真:ZAK/PIXTA)

誰でも欲しいですよね、1億円。総務省が先日発表した2017年の「家計調査報告」によると、2人以上世帯の平均貯蓄残高は1812万円です。「1億円なんて遠いわ~」と、思わずため息を漏らしてしまいそうですが、実際はどうなのでしょうか。誰でも1億円をつくれる方法はないのでしょうか。草食投資隊3人が考えます。

記事画像

この連載の一覧はこちら

預貯金するよりも、投資信託の「積み立て」で1億円を

中野:5月18日に総務省が「家計調査報告」を公表したのですが、そのなかで気になる貯蓄額が掲載されています。2人以上世帯の平均貯蓄額が1812万円で、この平均貯蓄額を下回る世帯数が約3分の2を占めるそうです。

ちなみに、金融商品別に比率を見ると、定期性預貯金が39.3%、通貨性預貯金が24.4%なので、いわゆる預貯金の比率が全体の63.7%に達しています。その他だと、生命保険などが20.8%、われわれ草食投資隊にとっていちばん関心の高い有価証券がたったの13.6%、金融機関外が2.0%となっています。

渋澤:ちなみに有価証券の比率ってどんな感じで推移しているのですか。

中野:データによりますと、アベノミクスがスタートする直前の2012年が11.6%。そこから徐々に上昇して、2015年と2016年が14.6%。なので、2017年は有価証券の比率が少し下がったのですね。

渋澤:う~ん……。

藤野:う~ん……。

中野:まあ、預貯金に依存しているだけでは、この低金利ですから資産形成が非常に困難になるわけで、だからこそ投資信託のすばらしさを、ここではっきりさせたいところですよね。なので、今回は投資信託を用いることによって、誰でも1億円を貯めることはできることを、渋澤さんや藤野さんと考えたいのです。

渋澤:そんなのは、単に積み立てを続けるだけでしょ。

中野:それだと話が終わってしまうじゃないですか(笑)。

渋澤:でも、1億円を作るとしたら、どのくらいのペースで積み立てていけばいいのでしょうか。

藤野:ネットを探すといろいろなシミュレーションがあるので、実際にそれを使えば簡単に計算できますが、たとえば毎月4万円を積み立てながら年7%の平均リターンで運用し続けたとして、1億円を作るには、39年と4カ月。

毎月3.3万円、年平均7%運用なら41年11カ月

渋澤:つみたてNISAだと月々の積み立て金額が3万3000円だから、同じように年平均7%で運用したとすると?

藤野:41年と11カ月。

渋澤:ということは、22歳で社会人になったとして、つみたてNISAの20年という積み立て期間の制約がなくなれば、64歳くらいの頃には1億円になっているというわけですね。

中野:その頃には定年も65歳とか70歳になっていますから、場合によっては現役時代のうちに1億円を手に入れられます。

渋澤:ただ、問題は年平均7%のリターンが実現できるかどうかということです。

中野:まあ、今のような超低金利では、預貯金の積み立てで1億円をつくるのは絶対といってもいいくらいに不可能でしょうね。株式の期待リターンって、どのくらいでしたっけ。

藤野:大体、6~7%というところでしょうね。もし年平均で8%のリターンを目指そうとするならば、インデックス運用(代表的な指数に連動する運用方法)では難しくなると思います。やはり、よいアクティブ運用(代表的な指数を上回るリターンを目指す運用方法)の投資先を選ぶ必要があります。

中野:一定の期待リターンが実現するという前提で逆算すれば、誰でも1億円はつくれることになります。しかも、つみたてNISAなら毎月3万3000円ずつ積み立てていく、ただそれだけのことで1億円になる。マクロ経済分析や、テクニカル分析の勉強をする必要もない。マーケットタイミングを判断する必要もない。ただ、コツコツと積み立てていくだけのことですから、本来なら誰にでもできることです。投資で成功するためには、才覚も何も必要ない。唯一必要なことがありますけど。

中野:唯一必要なのは、規律ある行動を続けることでしょう。

渋澤:そうですね。20代のうちだと、おカネという資産はほとんど持ち合わせていないと思いますが、もうひとつ人間にとって非常に大事な資産である「時間」はたっぷりあるわけです。そして、時間という資産は確実に目減りしていくわけですが、無駄に目減りさせないために積み立て投資があるわけです。

時間を味方につけて、途中で絶対にやめないこと

中野:もし、20代の自分に時間を戻せるなら、真っ先にするのが積み立て投資です(笑)。

渋澤:何よりも楽ですからね。積み立て投資用の口座さえ開いてしまえば、自動的に積み立て資金が引き落とされていきますから、誰でもできます。

中野:もう一つ注意するとしたら、絶対に途中でやめないことです。人間って弱い生き物ですから、ちょっと値上がりしただけで利益を確定させようとして解約してしまうのです。で、二度と戻って来ない。

渋澤:「儲かった」ではなく、「殖えた」というイメージで捉えるのがいいかもしれませんね。口座の残高がいくらになっているのかは、ほとんど見なくて良いでしょう。私は2001年から17年間、個人的に自分と自分の子どもたちのために積み立て投資を続けていますが、口座の残高を見るのなんて年1回あるかどうかという程度です。

藤野:たとえば結婚資金ですとか、子どもの教育資金など、大事な出費がある時、それまで積み立てたものの一部を取り崩すのは、別にいいと思うのです。ただ、中にはマーケットタイミングを捉えて利益確定の解約をしようと目論んでいる人がいるのです。

実は、今が本当に売り時かどうかは、プロの投資家にもわかりません。それに投資信託、とりわけアクティブ運用の投資信託を持っている人がマーケットタイミングを計って解約してしまっては、何のために信託報酬を払ってファンドマネジャーに資金を託しているのか、まったく意味がなくなってしまいます。だから原則として、積み立てはずっと続ける。そして、何か自分の人生で大きなイベントがあり、当座の資金が必要だという時だけ、預金だけだと足りない部分を解約して充当するのが、正しい積み立て投資のやり方だと思うのです。

中野:今は含み益があるけれども、この先、値下がりしたら含み益を失うどころか、損失を被る恐れもある。それが怖いから、少しでも利益が出ると確定させたくなるという、いわゆるゼロサム的な発想では、いつまで経っても資産を殖やすことはできません。これは、かなり絶対的な真理だと思います。

藤野:よくセミナーで桐箪笥の話をするのですよ。昔、女の子が生まれると、庭に桐の木を植えるという風習があったそうです。そして、子どもの成長とともに桐の木も育ち、結婚が決まったら、桐の木を切って桐箪笥にして持たせるのです。桐の木は、そのくらい時間を掛けないと育たない。途中で切ってしまったら、元も子もなくなります。おカネを育てるのも、それと同じことだと思います。

中野:株式投資は本来、ゼロサムではなくプラスサムですからね。

渋澤:でも、どうして下がるのが怖いの?

中野:損するからでしょう。

「目先の損」を恐れず、成長するものに投資せよ

渋澤:定額で購入するので下がれば余計に口数を買えるじゃないですか。そこをもっと見るべきだと思うのですよ。確かに目先は損をしているように見えるかもしれない。でも、大きく下がれば、より多くの口数が買えるわけですから、そこでしっかり買えていれば、次に訪れる上昇局面で、いち早く損失が回復します。ただ、この下がったところで買うという行動を、人間の判断で行おうとすると、なかなかうまくいきません。もっと下がったらという考えが浮かんできて、十分安くなっているのに買えないのです。この点、積み立て投資なら自動的に買い付けていきますから、判断に迷うこともありません。

記事画像

企業価値だけでなく、物事の本質を見極める力がある。「草食投資隊」が個人投資家から支持されている理由はここにある(左からセゾン投信の中野晴啓社長、コモンズ投信の渋澤健会長、レオス・キャピタルワークスの藤野英人社長兼CIO)(撮影:今井康一)

中野:本当に不思議なもので、まったく逆の行動を取る人も多いのですよ。ガンガンに値上がりしているときに、より多くのおカネを入れてくるのです。強気になるからだと思うのですが、これでは高値づかみをする部分が多くなるので、長期で積み立てる効果が薄らいでしまいます。

藤野:つねに勝てる人はいないけれども、つねに負ける人はいるものです。逆指標ですね。

中野:投資の基本は、成長するものにおカネを入れること(=株式投資なら個別株や投資信託などを買う)です。だから、これからも成長が続くことを確信する気持ちを持つことが大事です。

渋澤:そうですね。特に20代は、未来を信じる力を持つことが最も大事ではないでしょうか。長期投資は未来を信じることであり、それができないと、未来は自分にとって不幸なものになってしまいます。

藤野:強く未来を信じられる人はリーダーになれます。今まで、いろいろな投資家やビジネスパーソンを見てきましたが、やはり明るい未来を信じられる人が成功しています。

渋澤:渋沢栄一の講演録である『論語と算盤』という書籍に、「大丈夫の試金石」というのがあります。そこでは「自分からこうしたいああしたいと奮励さえすれば、大概はその意のごとくなるものである。しかるに多くの人は自ら幸福になる運命を招こうとはせず、かえって手前の方からほとんど故意にねじけた人となって逆境を招くようなことをしてしまう。それでは順境に立ちたい、幸福な生活を送りたいとて、それを得られるはずがないではないか」、と言っています。

要するに「順境も逆境も自ら招くものであり、それは自分の考え方次第」ということなのです。明るい未来を信じて、今から長期でコツコツと積み立て投資をすれば、きっと「億り人」になれるはずです。

記事画像

【あわせて読みたい】※外部サイトに遷移します

20代若手社員が億万長者になる地味な投資法

共働き「ブラックボックス家計」が危険な理由

提供元:20代の会社員がゼロから1億円を貯める方法|たった一つのことを守れば達成が見えてくる|東洋経済オンライン

おすすめコンテンツ

関連記事

「節約を趣味にする人」がやっている超楽しい発想|「お金を使わない喜び」はこうして追求する

「節約を趣味にする人」がやっている超楽しい発想|「お金を使わない喜び」はこうして追求する

「106万円の壁」と「130万円の壁」はどちらを優先?|パートタイマーが社会保険料の天引きを避けるポイント

「106万円の壁」と「130万円の壁」はどちらを優先?|パートタイマーが社会保険料の天引きを避けるポイント

金利上昇で考え直す「タンス預金」の運用バランス|自宅に置いておくお金はどの程度がいい?

金利上昇で考え直す「タンス預金」の運用バランス|自宅に置いておくお金はどの程度がいい?

「よかれと思って」損する!?エアコン節電の"ウソ"|「月1000円以上」電気代をムダにしているかも!

「よかれと思って」損する!?エアコン節電の"ウソ"|「月1000円以上」電気代をムダにしているかも!

戻る