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2018.03.26

49歳「アラフィフ残業貴族」を襲った年収減│年収1000万円超の「中身」が問われている


「アラフィフでも、伝統的な名門企業だから」との甘えがあったのかもしれない。年収激変をどう乗り切ればいいのか(写真:kou/PIXTA)

「アラフィフでも、伝統的な名門企業だから」との甘えがあったのかもしれない。年収激変をどう乗り切ればいいのか(写真:kou/PIXTA)

今回、私たちファイナンシャル・プランナーの事務所に「おカネの相談」に来たのは、49歳の会社員B男さんです。大手の歴史あるIT企業に勤め、専業主婦の奥様と高校生の娘さんとの3人家族です。理想的な家族に見えましたが、「年収1000万円超なのに、家計はかなり苦しい状況」だというのです。奥様も一緒に来たので早速、2人にお話を聞いてみることにしました。

「理想の家族」の何が問題だったのか?

B男さんの年収は1000万円超。奥様はつつましやかで、良妻賢母を絵に描いたようなタイプです。お聞きすると娘さんも名門高校に通い、まさに理想の家族です。しかし、質問を一つひとつしていくと、家計の問題点が浮き彫りになってきました。

まずは「お住まい」からです。有名芸能人が多く住んでいる人気エリアに一戸建てを所有。しかし、ちょうど不動産価格が高騰していた時期に購入したこともあり、購入当時の家の価格は約8000万円でした。毎月の住宅ローンの返済金額は20万円超。子供の教育費と合わせると、いくら年収1000万円以上を稼いでいるといっても、それほど家計に余裕があるとはいえません。

しかし、お話を聞いていると、数年前までは相談などする必要がなく、もっと余裕があったというのです。家族でときどき海外旅行に行ったりもしていました。今は危機感を感じている専業主婦の奥様も、働く必要性があるかどうかなど、あまり感じなかったとのことです。

その理由は、何だったのでしょうか。やはり収入面にありました。年齢も49歳ですし、「管理職のポストから外され、手当てが減ったことなのかな」とも思いましたが、違いました。収入減の要因は別のところにあったのです。

実は、B男さんには年間100万円以上の残業代収入があったのです。この毎月の残業代で、比較的ゆとりがある生活ができていたのです。

B男さんの会社は、おおらかな社風で、最近までは残業についても比較的寛容だったそうです。生活費を稼ぐ意味もあり、「本当は定時で帰れる時」でも、残業代を稼ぎたいばかりに、会社に残って仕事をしていたそうです。

「残業代込みの生活プラン」が破綻しかかっている

そもそも8000万円もの豪邸を購入できたのも、娘さんを中学から名門の私立に入れたのも、残業代を含めた年収で計算してのことでした。長年、残業の必要もないのに、生活費のために残業をするというスタンスが習慣化してしまったようです。

ところが最近政府が推進する「働き方改革」の影響がB男さんの会社にもやってきたのです。毎週水曜日などは、「ノー残業デー」となりましたし、毎日一定の時間になると、強制的に部屋の電灯が消えるようになり、ほとんど残業ができない状況になってしまったのです。

これで毎月の残業代が10万円以上減ってしまいました。家計には大打撃なのは当たり前です。残業代がなくなったことで、住宅ローンの支払いに加えて、気にも留めていなかった毎月5万円以上の教育費の負担が一気に重くのしかかり、家計は赤字に転落してしまいました。一方、奥様も20代で結婚してからずっと専業主婦だったので、すぐに仕事は見つからず、それまでの生活が維持できなくなってしまいました。

B男さん一家の収入を増やす別の手立てとしては、「副業」という選択もあります。しかし長年、副業をする必要もなくここまで過ごしてきているので、すぐに副業して稼げる土壌もありません。

このように、残業代ありきで生活を考えている人は、まだ少なくないと思いますが、これからは残業しにくくなる世の中になりそうです。前述のように、現在政府では「働き方改革」が推進されています。

その内容は一人ひとりの意思や能力、そして個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方ができる仕組みをつくり、一人ひとりが「ワーク・ライフ・バランス」を実現できる社会を目指すというものです。現在はその一環で、「罰則付き時間外労働の上限規制」を盛り込んだ法律の改定も進められています。簡単にいうと、残業できる時間に上限を設け、その上限を超えた場合には、企業が罰を受けるというものです。現在、多くの企業では、「ノー残業デー」や「リフレッシュデー」をさらに進化させ、社員に残業をしないような仕組みづくりを推進しています。

まだ法案は通っていませんが、高年収の専門職の人にとっては「残業ゼロ法案」も気になるところです。正式名称は「高度プロフェッショナル制度」といい、年収1075万円以上の高度な専門職についている人は、残業の支払い対象から外すという内容です。いろいろな意見があるのは承知していますが、法案の本来の狙いは、時間ではなく成果で評価するという仕組みを導入することです。また、この法案と関係なく、職種にもよりますが、報酬は何時間働いたかではなく、一定の成果を反映して支払われるべきでしょう。

世の中の流れが「無駄な残業削減」の方向にいっている以上、残業代を当てにした生活を送っていると、残業代がもらえなくなったときに生活が苦しくなります。

残業に時間を使わず、自己投資に時間を使う

もちろん、解決策がなくてはいけません。すでに残業ありきで生活していた場合には、大幅な生活のダウンサイズが求められます。お聞きすると、B男さんの場合は、以前に契約した住宅ローンの金利が少し高いままだったので、借り換えを実行し、毎月の返済額を減額しました。ほかにも車を手放したり、保険を大胆に見直しました。

また、日常の細かい費目にも、一つひとつメスを入れていきました。例えばランチは従来ほぼ毎日、同僚や部下と外食していました。また休日についても、趣味のゴルフに行ったり、奥様と歌舞伎を鑑賞したりと、B男さんのお小遣いや、余暇を楽しむ費用がかなり多かったのです。B男さんは奥さんと合意、お小遣いを相当減らし、ランチにはお弁当を持参。職場での飲み会にも以前は頻繁に参加していたのですが、誘いがあっても、口実をつけたりして、飲み会によっては上手に断るようになりました。

高校に通っている娘さんの教育費の確保を最優先させたこともあり、B男さん一家の暮らしはそれまでとは大きく変わりました。しかし、幸い、残業代がなくても赤字にならず、少しだけ貯蓄ができるレベルにまで家計が改善されたのです。

これからの働き方の評価は、一段と「時間」から「成果」へと変わっていきます。これは、評価の軸が成果に変わることで、たとえば、1日3時間、4時間しか働かなくても仕事で成果を出せば、それなりの収入がもらえる可能性があるということです。

仕事で成果を出すためには、読書やセミナーに参加することで知識・スキル・人間力を高めたり、人間関係を充実させるためにコミュニティや会合に参加して人脈を作ったり、健康のために体を鍛えたりと、自分自身に投資して、自分の能力、価値を高めていくことが必要です。

また、残業がしにくくなる代わりに、副業は認められる方向になっています。私たちのお客様の中にも、能力を磨き会社員の傍ら副業し、収入を得ている人はたくさんいます。

今回のB男さん一家のような、節約による家計見直しはもちろん重要ですが、収入経路を増やしておくことも大事なポイントです。おカネ自身におカネを生み出してもらうべく、投資の準備もしておくべきでしょう。無駄な残業をせずに余った時間で、その分、「自分」という資産と、良い金融商品の両方に投資したほうが、長い目で見ればリターンは大きくなるはずです。

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提供元:49歳「アラフィフ残業貴族」を襲った年収減│東洋経済オンライン

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