2018.03.12
貯金があまりできない人は家計管理がヘタだ│収入と支出の正確な把握から始まる
月にいくらまで使っていいのかをまずは知りましょう(写真:Naoaki / PIXTA)
「今度こそおカネを貯めたい」と思うものの家計管理は難しい。そのうち考えようと思いながらズルズルと先のばし。おカネのやりくりはいつもその場しのぎで何とかする。このような家計管理を繰り返している人はいないでしょうか。
拙著『年1回見直すだけ!ラクして貯まる!あきのズボラ家計管理』でも詳しく解説していますが、このような場合に有効なのは、家計管理とは何のためにするものなのか、基本から家計を見直すことです。
『年1回見直すだけ!ラクして貯まる!あきのズボラ家計管理』 ※外部サイトに遷移します
家計管理の基本とは
家計の基本とは、「収入-支出=貯蓄」です。
近年では「収入-貯蓄=支出」という計算式も多く紹介されています。しかし、この計算式は初心者にはハードルが高いことがあります。なぜなら、支出の大きさを知らずに強制的に貯蓄をしても、「貯蓄を崩してしのぐ」という本末転倒な事象がおきるからです。
そのため、家計の基本を理解するには、まずは「収入-支出=貯蓄」の計算式から入ることをおすすめします。家計管理に慣れてきたら、「収入-貯蓄=支出」に挑戦するという順番の方が確実です。
「収入-支出=貯蓄」の計算式を成立させるためには、まずは収入を知ること。次に支出を知ることが必要になります。この収入と支出を知るために、家計簿は必ずしも必要ではありません。家計簿を使わなくても、ある程度正確な収入と支出を知る方法を紹介します。無理なくおカネを貯めている人のほとんどは、この基本をしっかりと理解し実践しています。
まず、収入を知る方法から見ていきましょう。
収入を知る方法は、簡単です。毎月の月収と、ボーナスや手当の概算を1年分加算するだけです。税込みではなく、手取りで計算しましょう。1円単位まで正確である必要はなく、端数はざっくりと計算します。
それも1カ月分ではなく、年間で計算するのがポイントです。なぜなら、1カ月分だけでは、次に紹介する支出を計算し、家計の計画を立てようと考えた時に、たとえば固定資産税のような高額支出に対応しにくい家計管理になってしまうからです。
おカネが貯められない人は、自分の収入さえ知らないというケースがあります。月収まではわかるものの、年間収入というと不明という方が多いのです。収入以上の貯蓄はできませんから、まずは年間収入を知ることから始めましょう。
家計管理の基本(支出)
次に、支出を知る方法を見ていきましょう。
支出を知るには、家計簿をつける必要があると考える方が多いものです。確かに家計簿があれば、即座に支出を計算できます。しかし家計簿をつけたことがない人でもわかる範囲で支出を計算してみましょう。
支出は、大きくは「固定費」「生活費」「特別費」の3つに分かれています。
このうち、家計簿をつけていない方が不明になりやすいのは「生活費」と「特別費」です。しかし、「固定費」と「特別費の一部」については、銀行引き落としになっていたり、支払い明細が手元に残っていたりすることが多いので、家計簿をつけていない人でも、比較的容易に把握できることがほとんどです。
まず、「固定費」を計算するためには、「毎月必ず支払うことが決まっている支出」を書きだします。家賃、光熱費、携帯電話、生命保険といったおもに口座引き落としになっている支出。習い事、学校の教材費、夫婦の小遣いなどおもに現金手渡しになっている支出。これらが毎月いくらくらいになっているか計算してみましょう。
エアコンで夏場や冬場は電気代が高い、教材費も月によっていくらになるかわからないなど、月による支出のバラつきは気にせず、だいたい月にこれくらいというざっくりとした金額でかまいません。
月にいくらかかっているかが計算できたら、12カ月をかけ、1年分の「毎月必ず支払うことが決まっている支出」を計算します。なお、「自動積立」などは、「貯蓄」とみなすため、毎月必ずかかるおカネであっても「固定費」に計上する必要はありません。
次に、「特別費の一部」である「年間で必ず支払うことが決まっている支出」を書きだします。住宅ローンのボーナス払い、年払いの生命保険、高額な習い事の発表会の費用など。出産費用、車検など「今年だけ必ず支払うことが決まっている支出」も忘れずに書きだしましょう。
「毎月必ず支払うことが決まっている支出」×12カ月
「年間で必ず支払うことが決まっている支出」
「今年だけ必ず支払うことが決まっている支出」
これらをすべて加算したものが、「必ず支払うことが決まっている支出」の総額です。
家計簿をつけていない場合は、支出のすべては把握できませんが、まず「必ず支払うことが決まっている支出」を計算してみましょう。
家計管理の基本(自由に使えるおカネ)
「年間収入」から「必ず支払うことが決まっている支出」を引くと、「自由に使えるおカネ」を計算することができます。
家計のやりくりとは、この「自由に使えるおカネ」を、「生活費」「特別費」「貯蓄」にいくらずつ配分するかを考えることにすぎません。
「必ず支払うことが決まっている支出」が多すぎ、「自由に使えるおカネ」が少なすぎる時は、収入を上げるか、「必ず支払うことが決まっている支出」を減らすようにします。
たとえば、「年間収入」が400万円、「必ず支払うことが決まっている支出」が200万円の場合は、「自由に使えるおカネ」は200万円です。「貯蓄」に年間100万円を回したいなら、「生活費」「特別費」に使えるおカネは年間100万円。「必ず支払うことが決まっている支出」をのぞき、平均して約月8万3000円で「生活費」と「特別費」をやりくりするように計画します。収入が予定どおりに入れば成功率100%で年間100万円の貯蓄ができます。
もしも月8万3000円ではとても生活できない……と感じるなら、「貯蓄」を年間80万円に減らし、「生活費」「特別費」に使えるおカネを年間120万円としたら生活できるのか、「必ず支払うことが決まっている支出」を減らし、「自由に使えるおカネ」を増やすことができないだろうか、など具体的に考えるといいでしょう。
そもそも約月8万3000円で「生活費」と「特別費」が足りるかどうかわからない……という場合は、1カ月だけでも家計簿をつけて、毎月の支出を範囲内におさめられるか確認するとより効果的です。
このようにして、「収入」「支出」「貯蓄」を、年間でいくらにするかという目測を初めにつけると、「月にいくらまでなら使ってもいいのか」「現在使いすぎているのかいないのか」「現在目標金額からどれくらい外れているのか」といったこともわかるようになります。
一見すると、当たり前のことのようですが、貯められない多くの人は、このような計算をしていません。家計の基本ともいえる計算をしていないので、あれこれとさまざまな家計管理術に手を出しては失敗する、の繰り返しになってしまうのです。
月にいくらまで使ってもいいのかわからず、無計画に高額な家電製品を購入してしまい、あとから支払いに苦労することもあります。知らず知らずに支払いが膨張してしまうので、節約しているつもりなのに貯まらないという現象にも陥りやすいのです。
一方、無理なく貯められている人は、必ずといっていいほどこのような計算をしています。
1年間の支出の見通しを年初にすませ、あとは計画どおりに実行するだけ。無理のない予算配分で計画しているので、無茶な節約をする必要もなく、ラクラクおカネを貯めることに成功します。旅行などのお楽しみにもおカネを使いながら、できる範囲で趣味を謳歌することができます。
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貯金に成功する人はおカネの使い方が違う
貯金に成功している多くの人が、ラクしておカネを貯められる理由は、収入が高いからではなく、同じ収入でも、おカネの使い方が違うからなのです。
家計管理の方法には、さまざまな方法が紹介されています。だからこそ小手先の改善策に手を出しやすいものです。うまくいかなければ次々と別の方法にかえる。この変更が功を奏すこともあります。しかし、何度方法を変更してもうまくいかない。チャレンジしても結果が今ひとつ。すぐ元に戻ってしまう。
このような場合は、根本的な家計の基本ができていないことが原因と考えられます。まず基本を理解することから始める。こうすることで、応用のききやすい健全な家計管理が身に付きます。
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提供元:貯金があまりできない人は家計管理がヘタだ│東洋経済オンライン