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2018.02.23

特約付き医療保険に入るのは本当に必要か│「先進医療」の中にはたった数千円の治療も


「治療が難しい病気にかかったら大変」と医療保険に加入する人は結構多い。だが「先進医療の定義」を知っていますか(写真:CORA/PIXTA)

「治療が難しい病気にかかったら大変」と医療保険に加入する人は結構多い。だが「先進医療の定義」を知っていますか(写真:CORA/PIXTA)

「もし病気になったら、おカネがかかる。特に治療が難しい病気になったら……」。このように医療保険に加入している人の中には「先進医療特約があるから」という人は多いかもしれません。そこで今回は、「先進医療」や、医療にまつわる公的保障などについて考えてみたいと思います。内容を把握できると、医療保険の選び方が変わるかもしれません。

「最先端医療」のすべてが特約の対象とは限らない

日々進化する医療の世界では、新しい技術が次々と生み出されています。
その中で、効果や安全性などを鑑みて、必要なものは公的保険の対象となり、私たちは、自己負担3割(現役世代の場合)で医療を受けることができています。

では、「先進医療」については、どう考えるべきでしょうか。現在のところ「公的保険の対象とするには至らないものの将来その可能性があり、厚生労働省が対象治療として認めている『先進医療』」は、102種類あります(2018年2月1日現在)。

実は、民間保険会社の医療保険に付加する、一般的な先進医療特約で保険金を受け取ることができるのは、この厚生労働省が定義する「先進医療」が対象です。最先端の治療は、先進医療以外にもありますが、それらすべての治療で保険金が下りるわけではない点に注意が必要です。

なお、先進医療の対象となるには、「指定された医療機関」で受診する必要があります。かかりつけの病院や、最寄りの病院で受けた治療では対象とならない場合があることは、保険金を受け取れるかどうかを考えるうえで、あらかじめ知っておきたい条件です。

そうすると、治療は大きく分けると、3つということになります。(1)公的保険の対象になる治療、(2)厚生労働省が認めた先進医療、(3)そのほかの最先端の治療法、です。(2)は前述したとおりですが(2)と(3)、つまり公的保険対象の医療以外は、費用のすべてを自己負担するのが原則です(自費診療)。

ここでよく聞かれるのが、混合診療です。混合診療とは、公的保険対象の診療と自費診療を同時に受ける場合のことを言いますが、すべて自己負担となるのが原則です。

たとえば公的保険対象の治療50万円と、自費診療30万円を同時に受診するとします。このとき、50万円については3割負担の15万円に、残りの30万円は全額負担で合計45万円に、とはならず、80万円すべてが自己負担となるのが原則です。

しかし、実は、先進医療(2016年4月以降は条件を満たす患者申告の最先端治療も)については混合診療を受けた場合でも、保険適用分の治療については自己負担3割が適用されます。つまり、先進医療分のみ全額負担となり、上記の例では45万円の負担となります。

こうした情報を整理すると、民間の医療保険に入ってメリットがある(保険が下りる可能性がある)のは、公的保障(3割負担や、月額自己負担額の上限を定める高額療養費制度)を使っても、医療費を貯蓄で賄えないケースや、差額ベッド台などの保険適用外の費用、先進医療を受けたい場合の費用ということになります。

また、先進医療以外の最先端医療については、通常は保険金が下りないため、そのときに自分たちで資金が準備できるかどうかで判断が分かれます。医療保険に頼れるところではありません(保険会社の先進医療特約には、患者申告の最先端治療を対象とするものも、一部あります)。

「白内障治療58万円」だが、先進医療は必ずしも高くない

それでは、先進医療を受けた場合、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。やはり、まさかのときのために民間の医療保険に入ったほうがいいのでしょうか。

2016年7月1日~2017年6月30日に実施された先進医療の内訳(表:筆者作成)

2016年7月1日~2017年6月30日に実施された先進医療の内訳(表:筆者作成)

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グラフは2016年7月1日~2017年6月30日に実施された先進医療の内訳です。実施された先進医療のうち、約45%を占めるのが、白内障の治療に使われる多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術です。1件あたりの治療費は約58万円となっています。2番目に割合が高いのが約36%を占める前眼部三次元画像解析で1件あたり3484円となっています。先進医療の代名詞となっている、ガンに対する陽子線治療や重粒子線治療は約200~300万円。先進医療全体からみると、約1割となっています。

保険加入の原則は、「起こる確率は低いけれども、起こったときに金銭的なダメージが大きいところをカバーすること」です。この視点で考えると、陽子線や重粒子線治療を受ける確率が高くないからといって、先進医療特約が不要とはいえません。

一方で前眼部三次元画像解析のような、数千円や数万円で済む先進医療も存在することは知っておきたいポイントです。また、陽子線や重粒子線治療でも特定の治療については保険対象とする動きや、その対象を拡大する動きもあるため、公的保険の中で受診できる可能性は高まっています。

ちなみに、私は複数の保険会社の勉強会に参加していますが、前出の白内障の治療に使われる水晶体再建術は、金額も大きく請求も比較的あるため、保険会社としては支払い事例が多いそうです。消費者としては、加入していて助かったと感じる治療かもしれませんね。医療保険や先進医療特約を検討する場合は、そもそも保険適用外の治療を自分は強く希望するかどうかや、希望する場合、その費用は自分で賄えないものなのかも合わせて考えると、より納得できる選択につながります。

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提供元:特約付き医療保険に入るのは本当に必要か│東洋経済オンライン

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