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2018.01.10

1人あたり医療費が高い都道府県ランキング│医療費総額は42兆円を超え過去最高を更新


医療費増加の要因には、薬価が高い医薬品が保険対象となったことによる影響も…(写真:BASICO / PIXTA)

医療費増加の要因には、薬価が高い医薬品が保険対象となったことによる影響も…(写真:BASICO / PIXTA)

日本の国民医療費の総額が年間いくらかご存じでしょうか。直近の発表では、約42兆3644億円(2015年度)と過去最高を更新しました。ここ数年、国民医療費は毎年1兆円のペースで増加しています。どういった内容の医療費が高いのでしょうか。また、どういった内容の医療費が増加しているのでしょうか。最近のデータから、膨らみ続ける医療費の問題について今回は分析していきます(1人当たり医療費の高い都道府県ランキングは最後のページに掲載)。

医療費の増加率が高いのは薬局調剤

国民医療費は、医科診療(入院・入院外)、歯科診療、薬局調剤等の大きく4つに分けられます。2015年度は、医科診療が約30兆円と最も多く、総額の7割を占めています。次に、薬局調剤が約8兆円(総額の約2割)で、医科診療と薬局調剤で9割程度を占めます。医科診療を入院・入院外別にみると、入院が約16兆円、入院外が約14兆円と、入院が入院外を上回ります。

2010年度と比べると、国民医療費の総額は約13%増加しており、診療種類別でみても、おおむねすべての種類で増加しています。中でも薬局調剤の増加率が最も大きくなっています。

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医療費増加の要因として、国では、「人口増の影響」「高齢化の影響」「診療報酬改定の影響」などを挙げています。2015年度に前年比で増加した要因に関しては、医療の高度化、具体的にはC型肝炎治療薬の「ソバルディ錠」と「ハーボニー錠」等といった薬価が高い医薬品が保険対象となったことによる影響が大きいと分析されています。

性別、年齢別にみると、医療費支出は高齢期に集中しており、全人口の34%程度である60歳以上の医療費で、総額の7割近くを占めます。高齢では女性の人口が多いので、その分、医療費も女性が高くなっています。

性別、年齢ごとに医療機関でかかった診療費の疾病別内訳をみると、男女とも中高年になると、循環器系の疾患と新生物(主としてがん)が上位となります。がんの構成比が高くなるのが、男性が45歳以上であるのに対し、女性はそれより若い15歳以上です。これは、乳がん、子宮がん等女性特有のがん患者が比較的若いことによるものと考えられます(公益財団法人 がん研究振興財団「がんの統計’16」等より)。

男性でのみ上位の疾病は、44歳以下で骨折等の損傷、中毒およびその他の外因の影響、65歳以上で前立腺の疾患等の腎尿路生殖器系の疾患です。一方、女性でのみ上位の疾病は、15~44歳で妊娠、分娩および産じょくと、45歳以上で関節症や骨粗しょう症等の筋骨格系および結合組織の疾患です。

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国民医療費は、患者数×患者1人当たりの医療費で算出されるので、患者数が多くても、患者1人当たりの医療費が高くても総額は高くなります。たとえば、厚生労働省「2014年患者調査」によると、循環器系疾患の患者はがんの患者の4~10倍いることが推計されています。また、65歳以上の女性で、筋骨格関連の患者はがん患者の5倍程度と推計されています。つまり、筋骨格関連や循環器系の疾患については、がんほど患者1人当たりの医療費は高くないものの、患者数が多いことによって総額が高くなっていると考えられます。

生涯医療費は女性のほうが200万円以上高い

1人の人が生涯で必要となる平均医療費である「生涯医療費」も増加しています。2015年度データによれば、男性が2580万円、女性が2820万円でした。男女とも70歳以上で生涯医療費のおよそ半分を使います。自己負担するのは、このうち、所得と年齢に応じて1~3割で、残りは公的医療保険で賄われます。

男女を比較すると、20~49歳と75歳以上では女性の医療費のほうが高く、19歳以下と50~74歳では男性の医療費のほうが高い結果となっています。女性の85歳以上が極端に高いのは、男女で余命が異なるからです。85歳の人の平均余命は、男性6.22年、女性8.30年と、2年以上の差があります。

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国民医療費は今後も増加することが見込まれます。医療費増加の要因は、高齢化だけでなく、医薬品の価格上昇等の医療の高度化や、新しい医薬品や技術が保険対象となることにもよります。こういったことを背景に、現在、薬価が低い後発医薬品(ジェネリック)の使用が促進されているほか、薬価の抜本改革等の医療費の見直しが急務となっています。

最後に、都道府県別にみた1人あたり医療費のランキングを紹介します。人口構成や1人あたりのベッド数など、医療事情が異なるため、一概に上位の県に問題があるというわけではありません。ご自身がお住まいの県の実情を知り、自分で抑えられる費用はないか、考えるきっかけになれば幸いです。

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提供元:1人あたり医療費が高い都道府県ランキング│東洋経済オンライン

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