2018.01.10
iDeCo加入者は確定申告でお金が戻ってくる│年末調整を忘れた人は必ず読んでおきたい
「iDeCo」に加入して、年末調整を忘れていたら、確定申告をしよう。結構おカネが戻ってくる(写真 : KY / PIXTA)
読者の皆さん、お正月はいかがお過ごしになりましたか。「今年の正月はいつもよりちょっと多めに買い物ができた」という方も多いのではないでしょうか。
「所得控除」をよくわかっていないサラリーマンが多い
というのも、多くのサラリーマンにとって先月の12月は、何よりもボーナスが支給された月ですが、もうひとつ密かな楽しみが年末調整。年末調整は多くの人の場合、税金が戻ってくることになるので、ついつい飲みに行く機会も増えたかもしれませんね。
そんな年末調整ですが、2017年はどうやら例年よりもたくさん戻ってくる人が多かったようです。その理由は一体何かというと、2017年から加入対象者が拡大した「iDeCo」(個人型確定拠出年金)にあります。
最近は、マネー誌やネットの記事でiDeCoの話題を本当によく目にするようになりました。多くはiDeCoがいかに有利な制度かという内容の説明で、金融機関のCM記事と見まがうばかりのものも中にはありますが、どの記事を見てもiDeCoを利用する最大のメリットが掛金の「所得控除」だと書いてあります。自営業の人ならこの言葉はすぐにピンとくるかもしれませんが、サラリーマンにとっては、「所得控除」と言われても意味がよくわからないという人も多いかもしれません。
そもそも税金というのは、「収入全体」に対してかかるわけではありません。収入からそれを得るために必要な経費を引いた「所得」に対してかかるのです。サラリーマンで言えば、「経費の代わり」とされているのが「給与所得控除」と言われるものです。先ごろ2018年度の税制改正でこの金額が引き下げられることになり、年収850万円超の人にとっては増税になるということで話題になっています。
さらに、その所得に対してすぐに税金がかかるわけではなく、そこからさらにさまざまな「所得控除」が引かれて残った金額、これを「課税所得」と言いますが、税金は最終的にこの課税所得に対して掛けられるのです。所得控除の代表的なものとしては「基礎控除」や「配偶者控除」「医療費控除」といったものがあるのはご存じのとおりです。iDeCoの掛金は、その全額が所得控除として認められるのです。これを具体的な数字で考えてみましょう。
税金の額は、所得の多い少ないによって当然違ってきますので、一つの例として課税所得が400万円の場合を例にとって考えてみましょう。iDeCoの掛金はその人の職業や置かれた状況によって掛けられる上限金額が決まっています。仮に中小企業などで企業年金のない会社に勤めるサラリーマンであれば掛金額の上限は月額2万3000円ですから、年間では27万6000円となります。この金額が全額所得控除されるのです。つまり、この金額だけ所得が少なく計算できるということです。これによってどれぐらい税金が少なくなるかと言えば、年間で所得税と住民税を合計すると約8万4000円になります。
課税所得ではイメージしづらいかもしれませんが、条件によって異なるものの、課税所得400万円というのは年収ベースでみると650万~700万円ぐらいのイメージです。そこで今度は年収で考えてみましょう。仮に年収が500万円のサラリーマンの場合だと、戻ってくる税金の金額は5万5200円と計算されます。もちろんこれは一般的なケースで、人によって控除額が異なればこの金額も変わってきますので、おおよそでしかありません。また住民税は翌年課税されますので、この金額全部が年末調整で戻ってくるわけではありませんが、そうは言ってもこれぐらいの金額が税金から減るというのであれば、これは決して馬鹿になりません。昨年の年末調整で戻ってくる額が大きいと感じる人が多いと予想したのも、ここにその理由があります。
iDeCoの年末調整を忘れたら、確定申告をしよう
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実際、昨年2017年の1年間でiDeCoの加入者がどれくらい増えたかというと、40万人近くが増えています。2016年末で30万人だった加入者は2017年11月末で約71万2000人(厚生労働省HPより)ですからわずか11カ月で約41万人あまり増えたわけで、恐らく2017年末までの数字で見るとさらに増えると想定されます。すなわち、これだけの人にとって、新たに所得控除が拡大した結果、戻ってくる税金が増えたということになります。したがって年末調整で税金の戻る金額が増える人が多くなるのも当然なのです。
ただし、中にはiDeCoには加入したものの、年末調整の戻り額が全然増えていないという人がいるかもしれませんね。それは恐らく手続きをしていないのだろうと思います。一部の人を除けば、2017年に加入した人には10月末までに「小規模企業共済等掛金払込証明書」というのが送られてきているはずです。それを会社に提出すると共に、年末調整の用紙に加入している生命保険等の保険料払い込み金額と同じように記入しないと控除は受けられません。「え! 年末調整終わっちゃったじゃん。そんな手続きしてないよ! それじゃあ税金が損じゃない!」と思っている人も大丈夫。心配することはありません。もし会社への申告を忘れてしまったら、2018年に確定申告をすればいいのです。
もし、自分の周りに「うん、実は2017年の年末調整は結構たくさん戻ってきたよ!」という人を見かけたら、ご自分もiDeCoの所得控除のための手続きを忘れていないかどうかチェックしてみてはいかがでしょうか。
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提供元:iDeCo加入者は確定申告でお金が戻ってくる│東洋経済オンライン