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2017.09.22

生命保険に関する「困った質問」とは何か│「ありもしない正解」を求めている?


一般の方からの保険に関する困った質問とは?(写真 : naka / PIXTA)

一般の方からの保険に関する困った質問とは?(写真 : naka / PIXTA)

一般の方からの保険相談や各種媒体からの取材に対応していて「困ったな」と感じる質問を受けることがあります。「ありもしない正解」を求めているように思えるのです。以下、具体例と対処法をご紹介します。

「お得な保険」はあるはずがない

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まず、メディアの方々から「お得な保険を紹介したい」と言われることです。筆者は、お得な保険などというものがあるほうがおかしい、と思います。

「保険料-保険会社の運営費=死亡保険金や入院給付金等の原資」が原則だからです。加入者全体の収支は、保険会社の運営費分、マイナスになる仕組みです。そうでなければ、保険会社は破綻してしまいます。

あえて損得という言葉を使うと「保険は損を前提に利用するもの。得する保険はない」と伝えるのが、メディアの役割ではないでしょうか。

ついでに言うと、メディアの人たちが、各種の給付金を「もらいやすい」保険を得だと評する傾向にも困ったものだと感じます。

たとえば、病気やケガで、長期間、仕事ができないときに備える「就業不能保険」「給与サポート保険」について、給付金が支払われない期間(免責期間)に触れ、「180日より60日と、短いほうがいい保険」と評価するのは、ありがちな間違いです。免責期間が短いと、保険料が高くなるからです。

保険の利点は、安い保険料で重大な事態に備えられることですから、長い免責期間を超えて、就業不能状態が継続している場合に給付金が支払われる保険のほうが、利用価値は高いと考えられるのです。

あくまで「得する保険」にこだわる人は、保険料の「還元率」に関心を持つとよいでしょう。保険数理の専門家によると、たとえば、売れ筋の「医療保険」の保険料には、保険会社の運営費が30%程度含まれているそうです。

専用ATMに1万円入金すると3000円手数料がかかり、7000円が加入者に還元されるイメージです。金融商品としては暴利を疑われても仕方がない気がします。

現状、保険料の還元率を考えるために必要な情報が開示されていないのは、還元率を厳しく問う人が少ないからでしょう。「還元率を比較して、より良心的な会社や商品を利用したい。不明な場合、契約しない」と明言する人が増えると、相対的に保険の「お得度」は上がると思います。

次に「お得な保険」と背中合わせの関係のように感じるのが、お客様からいただく「今、入っている保険を解約しても大丈夫でしょうか?」という質問です。保険を解約した後、後悔することにならないか?という意味であれば、正直、愚問だと思います。

言うまでもなく、「医療保険」や「がん保険」などに加入している人が給付金を受け取る可能性は、加齢とともに高まります。そのため、保険契約を解約したあと、病気で入院することになったときなどに、「保険に入っておけばよかった」と感じる機会は増えるに違いありません。

保険は利用がふさわしい場合に利用したらいいもの

しかし、そういう問題ではないのです。保険は後悔しないためにあるのではなく、保険の利用がふさわしいときに限って利用すべきものだからです。

たとえば、自立していない子どもがいる現役世代の世帯主が、一定期間、急死に備えるような場合です。死亡する確率が低いので、安い保険料で手厚い保障を得ることができます。

「保険に入っていてよかった」と感じる機会はまれでしょう。だからこそ、負担しやすい料金で保険を利用できるのです。キーワードは「確率」と「コスト」です。

繰り返しになりますが、加齢とともに各種の給付金を受け取る確率は高まります。とはいえ、給付金等を受け取るにはコストがかかります。先に書いたように、医療保険などの保険料からは数十パーセントに及ぶ保険会社の運営費が引かれるのです。

「後悔しないように……」と考えると、おカネの心配をしたくない人たちが、加入者全体の収支はマイナスになる「おカネを失いやすい仕組み」を広く長く愛用することになりがちなのです。冷静でありたいと思います。

最後に、「正解は誰にもわからないはずだ」と感じるのが、万が一の際や老後に必要な資金に関する「いくら(おカネが)あるといいのでしょうか?」という質問です。

老後資金を例にしてみましょう。ある保険会社のホームページには、夫婦2人でゆとりある老後の生活を送るには月額で平均34万9000円が必要、という記載があります。

引用元は、公益財団法人生命保険文化センター 平成28年度「生活保障に関する調査」です。素朴に、収入や生活水準などが異なる他人がイメージする金額を知っても仕方がない、と感じます。

公益財団法人生命保険文化センター 平成28年度「生活保障に関する調査」 ※外部サイトに遷移します

自分の人生に必要なおカネの額は、自分で考えてみるしかないと思うからです。しかも、それほど難しいことでもないのです。筆者の例をご紹介します。

まず、老後が何年続くのか想像してみます。余命は、長めに90歳まであるとして、65歳まで働くことにすると、リタイア後の人生は25年、月数に換算すると300カ月です。

ローンなしで、旅行や社交にもほとんど興味がないため、毎月15万円もあれば暮らしていけると思います。

すると総額4500万円です。自営業で退職金はゼロですから、主な資金源は「公的年金」です。その額は日本年金機構の「ねんきんネット」に登録しておくと、試算できます。筆者の場合、65歳以降、月額約11万円、25年では3300万円です。

ほかに、「確定拠出年金」があります。60歳時点での積立額は700万円くらいになる見込みです。公的年金の総額と合わせて約4000万円、すると不足分は500万円、300カ月で割ると1万7000円弱です。

しかし、悲観してはいません。確定拠出年金を65歳から毎月4万円取り崩すと、14年半くらい、公的年金11万円と合わせて15万円が確保できます。その間には、妻も年金受給者になる見込みです。2人分の年金があれば、将来、住居のメンテナンス費などが、重く感じられる時期があっても、持ちこたえられそうに思っています。

もちろん、公的年金の受給開始年齢が70歳くらいになり、給付額が減額される可能性も考えられます。税金や社会保険料負担は大きくなっているかもしれません。

とはいえ、どのみち、さまざまな変数はつきもので、あらゆる不確実性を反映した対応は無理なのです。「先が見えない」と不安になるより「老後を想像していられるのは、今日、明日の暮らしに困っていない証拠」と受け止め、仕事を細く長く続けられるように努力することにします。

大切なのは、具体的に試算すること

いずれにしても、大切なのは、具体的に試算することでしょう。変数の多さを考えると、緻密にやる必要はないと思います。少なくとも筆者の場合、至極簡単な試算をしただけで、「漠然とした不安」のようなものはなくなりました。自分と向き合わないままでは、何も始まらないのではないでしょうか。

3つの困った質問は、どれも「おカネは大切だ」と考えるがゆえに、繰り返されるのだと思います。そうであれば、迷うことはありません。「おカネが増えやすいのか、減りやすいのか」を判断の軸にしたらいいのです。

保険は、おカネが減りやすい仕組みなので、利用を最小限にとどめます。「お得な保険」や「解約後の後悔の念」を想像することも、人の感情としては理解できます。だからこそ、原則を重視するのです。

そして、自分の人生で必要になるおカネの額については、自分の試算を基にします。金融機関が提供する情報などは、他人の(大事な)おカネを動かしたがっている時点で、「彼らのおカネが増えやすい(その分、こちらのおカネが減りやすい)話につながるのではないか」と疑うことにするわけです。

保険以外の分野でも応用が利きそうな気がしますが、いかがでしょうか。

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【あわせて読みたい】 ※外部サイトに遷移します

「安くてわかりやすい生命保険」の見分け方

「人生で一番大切な保険」を知っていますか?

「終身保険=実質の保険料負担なし」は誤解だ

提供元:生命保険に関する「困った質問」とは何か│東洋経済オンライン

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