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2017.09.01

「人生で一番大切な保険」を知っていますか?│「子どものためだから」と生命保険に入る前に


「人生でいちばん大切な保険」とは何か? 「子どもの将来のためだから」と生命保険に入る前に、知っておきたいことがある(写真:ふじよ/PIXTA)

「人生でいちばん大切な保険」とは何か? 「子どもの将来のためだから」と生命保険に入る前に、知っておきたいことがある(写真:ふじよ/PIXTA)

人生でいちばん大切な保険は生命保険?それとも?

日本人は世界一保険の好きな国民だといわれています。生命保険、火災保険、医療保険、学資保険等々、保険の種類は実にたくさんありますが、では、保険の中で「最も大事な保険」はいったい何でしょうか?

その答えは「社会保険」です。社会保険とはいったい何か? 公的年金、健康保険、介護保険、雇用保険といったさまざまな公的給付を受けられる制度のことです。これら社会保険は普段、あまり気にすることがありません。でもわれわれが社会生活を営むうえで、この社会保険による給付は欠かせない、とても大事なものです。

たとえば、種類は違っても誰もが健康保険には加入していますから、病気になっても本人負担は(6歳~69歳の場合)かかった費用の3割で済みます。しかも上限額が決まっていますから、仮に入院して月に100万円の入院費がかかっても自己負担額は9万円足らずで済みます。保険会社の医療保険に入っていないと病気になったときに不安だと思う人もいますが、そんなことはありません。日本は国民皆保険ですから自動的に公的な医療保険に加入しており、決して無保険というわけではないのです。

また、生命保険も考えてみましょう。生命保険は、もしその人が亡くなったときに経済的に困ることのないように遺族に対して支払われるものです。

ここで、仮に「夫婦共に30歳」という若い夫婦、しかも奥さんは専業主婦で、小さい子どものいる家族を考えてみましょう。常識的に考えて、これは生命保険に入るべきケースだと考えられます。

では、もしこの家族で30歳の若いお父さんが亡くなった場合、いくらぐらいおカネが必要でしょうか。もちろん、これは状況によってさまざまですから一概には言えませんが、私は基本的に残された家族が何もしなくても数年分は暮らしていけるおカネがあれば、それで十分だと思います。具体的な金額を考えてみましょう。

ここで社会保険の登場です。公的年金に加入していると本人が亡くなった場合、遺族に対して年金が支給されます。サラリーマンの場合だと遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。

子ども2人なら遺族向け基礎年金が毎年122万円

仮に子どもが2人いる場合、遺族基礎年金は子どもが18歳になるまでは毎年約122万円が遺族に支給されますし、遺族厚生年金も条件によって異なりますが、多くは年間30~40万円程度は支給されます(実際の金額は、ケースによって異なるため、一律ではありません)。

さらに、この若い旦那さんが勤めている会社によっては、会社から弔慰金が出ることもあります。それらに加えて、自分たちが持っている貯金も合わせた金額を計算し、数年間生活するために必要な金額に足らない部分だけ生命保険に入ればいいのです。

ここで読者の皆さんは「でも、なぜ数年間なの?」と思われるかもしれません。「生涯にわたる保障は必要ないのか?」と。

もちろん、旦那さんを亡くした奥さんの悲しみは深いものです。おそらくその悲しみは決して癒えることはないでしょう。しかしながら、いつまでも泣き崩れているわけにはいきません。生活していくための手段を考えなければなりませんから、少なくとも何年かすれば奥さんは働きに出ることが考えられます。また、別な良縁があって再婚することになるかもしれません。こういう場合に残された一家が食べていくケースは3通りあります。

1. 奥さんが再婚して専業主婦を続ける。

2. 奥さんが働いて一家の暮らしを支える。

3. 一生、遊んで食べていけるだけのおカネが用意されている。

このうち、「最も現実的なケース」は上の1から3のうち、どれだと思われますか?

答えは、1の「奥さんが再婚して専業主婦を続ける」か、2の「奥さんが働いて一家の暮らしを支える」でしょう。3はちょっとありえない話です。

よく「保険は家族への愛情」という宣伝文句を目にします。しかし、この宣伝文句は、実は、無言のうちに「3を勧めているのと同じこと」とも言えます。最近の男性はこんな人はだいぶ少なくなったと思いますが、「俺が死んだ後は、十分なおカネを残してやるから絶対に再婚するな! 俺のことを一生想い続けて生きろ!」というニュアンスがあるようにも思えます(笑)。

つまり、若い夫婦であれば、旦那さんが亡くなった後の長い人生のすべてを保障するという必要はなく、「数年間、何もしなくても食べていける分」が用意できれば十分でしょう。

もちろん、とはいっても子どもが独立するまでの期間の一定程度の保障は必要でしょうが、「子どもが小さいから」というだけでほかの要素を何も考えずに無条件に高額の生命保険に入るのは、よくよく考えたほうがいいと思います。

「申請すればもらえるおカネ」の制度を把握する

健康保険と公的年金だけの話をしましたが、ほかの社会保険も同様です。もし介護保険がなければ、介護にかかる費用はすべて負担しなければなりませんし、失業した場合でも雇用保険に入っていればこそ、当面の生活がしのげるのです。

そして、これらにかかる保険料はサラリーマンの場合、すべて給料から天引きされていますから、否応なしに負担しているわけです。だとすれば、これらの社会保険はフルに利用しなければ損です。まず、公的な保険制度にどんなものがあるかを調べることが先で、それでも足らないという部分があれば、初めて民間の保険への加入を考えるべきなのです。

それに公的保険は民間の保険会社と違って、制度の目的が収益を上げることではありません。それどころか、保険料だけではなく、税金だって投入されていますから、受益者であるわれわれの費用対効果は決して悪くありません。優先順位としては、まず公的な社会保険を活用し、それで不十分な場合にのみ、民間の保険会社を活用すればいいでしょう。

問題は、多くの人が社会保険の種類と仕組みをよく知らないことです。それにこうした社会保険は、ほとんどが申請しないと受け取ることができません。

結果として、有効に活用できる制度がありながら、それを知らないというのはとてももったいない話です。これらの多くは、年金事務所や住んでいる市町村の窓口等で聞けば教えてくれます。自助努力でさまざまなリスクに備えることは基本ですが、その前にせっかく自分たちが負担している社会保険料によって受け取ることができるおカネを知っておくことはさらに重要ではないでしょうか。

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