2024.10.11
「節約を趣味にする人」がやっている超楽しい発想|「お金を使わない喜び」はこうして追求する
節約を趣味にすると起きる効果を見てみよう(写真:リーサル/PIXTA)
「お金を使わない喜び」を追求する
10月からの値上げも「過酷」なものとなりそうだ。帝国データバンクは約3000品目もの食品がその対象になると予想している。
夏休みに9月のシルバーウイークにと、長期休暇で散財した人も多いだろう。ここからボーナスが期待できる年末までは一気に節約モードと覚悟するほかない。
とはいえ、節約ほど人に嫌われる言葉はない。うまくいっているのに自慢もしにくい。「あの人は節約家だから……」という言葉は褒め言葉に聞こえない。なぜか。それは「節約ってつらいし、大変だし、ストレスがたまる」苦役というイメージだからだ。だからというわけではないが、「節約愛好家」でもある筆者の結論はこうだ、「節約は趣味でやるべきだ。楽しんだほうがいい」。
先に言っておくが、節約を趣味にするとは「お金を使わない喜び」を追求することだ。お金を使うのが大好き、という人はやめておいたほうがいい。ちなみに、自分は使わずに人のお金をあてにする等の行為は、趣味としては認められないので、それも含まれない。それらを踏まえて、趣味にすると起きる効果を見てみよう。
1.見栄から解放される
「節約が趣味なんです」と宣言すると、いかに気楽に生きられるか。
スーパーで値下げ品を買う行為に対し、ネットでは賛否で盛り上がったりするが、半額の品や見切り品を買うことが恥ずかしいと感じるのは、どこかに見栄があるからだろう。だが、「趣味」にしてしまえば、そんなことからも解放される。「趣味だから、値下げ品をみると手が出るんです。好きなブランドの新作を見ると欲しくなるのと同じですよね」と嬉々として言われれば、相手もなるほど、そうですかとしか返しようがない。これで人目を気にせず、堂々と安いものを手に取れるようになる。
節約を趣味にしてしまえば、お金を使わないための免罪符を手に入れられるのだ。「節約するのが楽しい」と公言することで、お金をじゃんじゃん使ってきらびやかに騒ぎたい人からの誘いも減るだろう。それが気の乗らない支出の原因だったとすれば、このうえなく効果が大きいはずだ。
節約好きの「あるある」
2.引き算の消費になる
節約とはお金を使わないことからスタートするので、どんどん買い足していくのではなく、いかに買わずにやり過ごすかを考えるようになる。
当然、まとめ買いはしない。日用品のストックも、今使っているもので終わりという状況になってからようやく買う。冷蔵庫も収納庫もスカスカなので、まだ在庫があるのにうっかり買ってしまった――という二重買いも防ぐことができる。もちろん衝動買いなど言語道断だ。
インフレ下ではモノの価値が高くなるというが、節約が好きな人にとってはお金の価値こそ最も尊むべきものだ。だからこそ、何かを買おうとする時は一大事となる。
この金額が妥当なのか、そもそもなぜこれが必要なのか。その裏付けをあれこれ考えているうちに、もういいやとすっかり買う気が失せてしまうのも、節約好きの「あるある」だったりする。
3.頭が柔らかくなる
「お金は有限、アイデアは無限」というのが筆者の主義だが、節約には創意工夫の姿勢が欠かせない。特に、食費節約には柔軟な発想が必要だ。節約食材として真っ先に名前が挙がるのは「モヤシ」だが、ただ塩コショウの野菜炒めで使うのでは飽きてしまう。
筆者がよく作るのは、「ナポリタンもやし」。モヤシとピーマン・ベーコンをケチャップとソース少々で炒めるだけだ。モヤシの淡白な味にケチャップ味がからんで、十分ごはんのおかずになる。
これから寒くなると食卓には鍋料理が登場するが、我が家のカレー鍋ではモヤシが定番の具だ。
ケチャップもカレーも、モヤシにはあまり使わない味付けだが、なんでも試してみようという姿勢が節約道というもの。冷蔵庫にある調味料と食材を、自由に組み合わせてみると思わぬヒットメニューが生まれたりするものだ。
もちろん代用できるものは工夫して使おうと考える。ちなみに我が家にはオーブントースターがない。置き場所がないせいもあるが、パンは魚焼きグリルで焼けばいい。1人分のごはんなら、炊飯器を使うより1人用の土鍋で炊いたほうが時間が早い。お金をかけずに手間や知恵を凝らすというのが、節約の流儀でもある。それが別の趣味を生むことになり、さらに日常が楽しくなる可能性も秘めている。
不得意なことまでしなくてもいい
4.節約になると聞いても、苦手なことはしないに限る
世の中には、節約のためにこれをしていますというテクニックがあふれている。その代表はポイントやマイルを効率よくためることだ。
筆者の周辺にも達人は多いが、こうした達人は不断の努力家でないとなれない。マイラーは、貯めると決めたら航空会社を固定する。よそのバーゲンセールがあって航空券が安くなってもスルーする。クレジットカードも、当然マイルがたまるカードに集約し、どんなに他社のキャンペーンがあっても浮気をしない。そうして得たステイタスで、航空会社のラウンジで食事やアルコールを楽んだり、マイルで旅行もできるわけだ。
その過程で、「効率よく貯まるコツ」や「参加するとマイルがもらえるキャンペーン」や「マイルに交換できる他社ポイント情報」にやたら詳しくなる。これはもう学問の域だろう。
似たような構図はポイントでも起きるが、もっと面倒なのはポイント自体の種類が多いことだ。しかも、競うように各社がキャンペーンを行い、そこにQRコード決済やらクレジットカードのタッチ決済やら、ツールも複雑化してくる。それをすべて使いこなし、キャンペーン情報を整理して買い物に走る様は、こちらも一種の修行を見ているようだ。
筆者はそこまで求道者にはなれないので、マイルは積極的には貯めないし、ポイントも自分の生活スタイルに合ったものに絞る。節約が趣味としても、不得意なことまでしなくてもいいし、逆に多すぎる節約情報はノイズとして遮断したほうがすっきりする。
前にこの連載で食費節約について書いたが、料理が苦痛な主婦だってごまんといる。そういう人は無理に毎食手作りせずに、1食500~600円程度の宅配食を試してみるのも悪くない方法だろう。やってみて楽しい節約だけを、趣味として取り入れればいい。もちろん、マイルやポイントを貯めるのがことのほか楽しくてたまらない人は、どんどんその道を追求してほしい。
自分に向いているお金の生み出し方を選ぶ
5.やっぱり節約は苦手だという人の場合
結局のところ、節約というのも手間がかかるものだ。人には得手不得手があり、料理や家事が苦手な主婦(主夫)ならそこに労力をかけるよりも、どんどん働いて収入を増やしたほうがいいかもしれない。
ちょうど10月から最低賃金も上がるし、そうでなくても時給を上げなくては働き手を確保できないのが今の日本だ。また、社会保険加入対象となる企業の規模が、従業員数101人から51人以上に拡大されたばかり。健康保険・厚生年金に加入すると手取りが減って働き損だとかなんだと騒がしいが、年収106万円を超えないようにと考えるのはこの物価高時代に現実的ではない。食費が上がり、サービス利用料が上がり、電気代もガス代ももっと上がっていくというのに、あえて収入を抑える行為に意味がないからだ。
目減り分を取り返すくらいにより働いて収入を増やす。それに尽きる。パート・アルバイトで働く人の多くは社会保険加入へという流れは、今後も止まらないだろう。そうであれば余計にもっと高い時給の仕事を選んで、しっかり働いたほうがオトクに違いない。
節約だけが物価高の対抗策ではない。趣味として面白がれる人がすればいいことで、答えは人それぞれだ。自分に向いているお金の生み出し方を選んだほうが健全だ。できれば、楽しめる方法で。
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提供元:「節約を趣味にする人」がやっている超楽しい発想│東洋経済オンライン