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2024.02.09

15年かけ「四国お遍路」やり遂げた人が語るリアル|いろいろかかるが「宿と食事は節約可能」


いつかは生きた「四国八十八ヶ所巡礼」。やり遂げた人が語る、かかったコストと得られたものとは?(写真:筆者撮影)

いつかは生きた「四国八十八ヶ所巡礼」。やり遂げた人が語る、かかったコストと得られたものとは?(写真:筆者撮影)

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「四国八十八ヶ所巡礼」「四国お遍路」の人気は高い。政治家としては旧民主党時代の菅直人元総理が歩き遍路で結願(すべての札所を回り終えること)したし、今どきは“インバウンドお遍路”の姿も見かけるという。

しかし、札所であるお寺は88もあり、すべてを打つ(お参りする)には四国4県をぐるりと回ることになる。「行ってみたいが、定年後に時間ができたら……」と二の足を踏んでいる人もいるだろう。

筆者も同じだった。もともと寺好き仏像好きで、現在のような御朱印ブーム以前に秩父札所三十四ヶ所観音巡礼を終えていた。しかし、四国霊場はその2.6倍も数が多い。まさに「時間ができたら」だったのだが、「まあ、行けるときに行けるだけ行こう」程度で回り始めたのが10数年前のこと。しかも、歩くわけではなく完全にモータリゼーション頼みだ。それでも継続は力なり、ようやく2023年12月に結願できた。

筆者は仕事柄、消費者が使うお金回りに目を配っている。結願を終えた今、四国八十八ヶ所巡礼でかかったコストと得られたものとの勘定をしてみたい。弘法大師様、バチ当たりでごめんなさい。

御朱印代だけなら2万6400円だが…

敬虔さが足りないと叱られそうだが、もともと「八十八ヶ所を巡礼せよ」とお大師様が命じたわけではなく、庶民が回り始めたのは江戸時代になってから。自由に生国を出て観光旅行などままならない時代に、庶民にとって神社仏閣参りは格好のレジャーだったはずだ。

お寺にとっても必ずお客が来てくれるのだから、八十八ヶ所の札所に入れるか入れないかの差は大きい。さらには飲食や宿泊で遍路道の周辺にもお金を落としてもらえる。この仕組みを最初に思いついた人は実に賢い。

まず最低限必要なコストから。本格的に巡礼用品を揃え始めるときりがないが、白衣と首からかける輪袈裟(わげさ)はあったほうがいい。「私はお遍路です」と周囲にわかりやすいからだ。いわば野球ファンが球場で贔屓チームのユニフォームを着るようなもの。それだけで気持ちが上がる。

札所にお参りした証しとして御朱印を受けるので、御朱印帳は必須だ。ものによって価格は変わるが、リーズナブルなものに抑えれば白衣と輪袈裟、御朱印帳で6000円くらいではないか。

海底から清水が湧く海水の中から湧く「弘法水」(写真:筆者撮影)

海底から清水が湧く海水の中から湧く「弘法水」(写真:筆者撮影)

御朱印を受けるために納めるお金は300円(御朱印帳の場合。掛け軸はもう少しかかる)。都合88カ所で2万6400円となる。

普段のお寺では本堂のみに詣でることが多いが、札所では必ず大師堂にお参りする。双方でお賽銭を納めるので(他にもお堂があることも)、お賽銭は176カ所分が必要だ。

ざっと計算してみよう。白衣と輪袈裟・御朱印帳6000~8000円+御朱印代トータル2万6400円=3万2400円~3万4400円 (※プラスお賽銭176カ所分)

最低限かかるお金はこんなものだろうか。別途ロウソク代や線香代、お札やお守りをいただいたりすると、そのぶんも上乗せになる。

しかし、悲報が舞い込んだ。なんと2024年4月1日より納経料金が改定され、300円から500円になるという。2万6400円が4万4000円と、ものすごいインフレぶり。迷っている人は1日も早く回り始めたほうがいい。なお、納経代やお賽銭は現金オンリーなので、小銭への両替を忘れずに。

宿と食事は節約可能、繁忙期でも良心価格の宿坊

次に宿泊費について。計画的なお遍路ではなく行けるときに行って回れる札所に行く「区切り打ち」式で、かつコロナ禍もあったため、1番を打ってから結願までざっくり15年はかかったのではないかと思う。

1日3~4カ所回り、2泊3日滞在したと想定して、1回の四国旅行につき9~12札所を回ることになり、88÷9なら約10回、88÷12なら約7回。年1回訪れるペースでは、やはり10年程度かかる。歩き遍路の人は安い遍路宿や民宿などを利用されるのだろうが、筆者は1泊1万円前後のビジネスホテルを使うことが多かった。

(1万円×2泊3日)×10年=20万円

これに食事代が加わるが、お遍路が目的なので観光名所的な食事処に寄ることはなく、夜も簡素にすませば節約は可能だ。筆者も昼は麺類、夜は現地のスーパーで総菜を買ってきて……というパターンが多かった。

なお、お遍路旅にはリーズナブルかつありがたい宿泊施設がある。宿坊だ。札所のお寺に泊まることができ、朝夕の食事もついている(別料金でお酒もある)。駐車場も完備だ。もともとリーズナブル価格で、民間ホテルのように宿泊料が繁忙期だからと跳ね上がったりしない。大型連休や年末しかお遍路できない人にとっては実にありがたいのだ。

なお、宿坊はお遍路でないと利用できないわけではなく、幼児連れのファミリー客も見かけた。もちろんおひとり様でもOK。お大師様はどなたでも受け入れてくださるのだ。

ただし、88ある札所の中でも宿坊を備えたお寺は数が少ないうえ、団体の巡礼客が入るといっぱいになるので注意。

課題は四国までの交通費だ。筆者は東京からフェリーを使ったので、その往復費用が相当額かかってしまった。それゆえ1~2年に1回ずつのペースになり、結願まで10年以上かかったわけだ。歩き遍路でない限り、どうしても札所間の移動がネックとなる。これぞという節約法が思いつかないのは無念だ。

地元イチ押しスポットを発見しながらの旅

四国までの交通費はかかるが、お遍路中はそれほどお金を使わない。お寺に行くだけなので、大量に土産物を買うこともない。とはいえ、回っているうちに知らなかった観光スポットに遭遇することもある。今ではすっかりメジャーになった徳島県祖谷のかずら橋も、お遍路旅の途中で寄った(歩き遍路では通らない場所なのであしからず)。

「銭形砂絵」(写真:筆者撮影)

「銭形砂絵」(写真:筆者撮影)

金運を願いたいなら、香川県観音寺市の68番69番近くにある「銭形砂絵」は必見だ。有明浜の白砂に巨大な「寛永通宝」が描かれているのだが、大きすぎて展望台に上らないと全容がわからないほど。この砂絵を見れば健康で長生きし、お金に不自由しないと伝えられているそうで、筆者は2回も見に行ってしまった(無料である)。

西条市の鉄道歴史パークでは、国鉄時代の車両も見学できる(写真:筆者撮影)

西条市の鉄道歴史パークでは、国鉄時代の車両も見学できる(写真:筆者撮影)

鉄道好きにおススメなのは、JR伊予西条駅に隣接する「鉄道歴史パーク in SAIJO」。旧制西条中学出身で、第4代国鉄総裁として”夢の超特急”東海道新幹線の建設を実現した十河信二氏にちなみ、初代0系新幹線やC57形蒸気機関車など国鉄時代の車両が展示されている。運転席に乗り込むこともでき、乗り物好きにはたまらない。入館料が大人300円と激安のうえ、有名どころの鉄道博物館のように混雑していないのもいい。

運転席に乗り込むこともできる(写真:筆者撮影)

運転席に乗り込むこともできる(写真:筆者撮影)

なお、西条市は「うちぬき」という湧き水に恵まれた水の都でもある。中心部を水路が巡り、澄み切った水の流れを見ながら散策するのが楽しい。そこここに湧き水スポットがあり、港には海中から清水が湧き出る摩訶不思議な「弘法水」まで。西条市は本当に美しい街で、何度も訪れた。お遍路で四国を回ってこその発見だろう。

地方移住の下見にもなるお遍路

お遍路では徳島から高知、愛媛、香川と四国をぐるり一周する。何度も通ううちに、その土地の買い物事情や物価、公共交通機関の状況なども頭に入る。観光地を巡るだけでは見えてこない、生活者目線が備わってくる。以前は四国と聞いても徳島の阿波踊りや高知の桂浜、松山の道後温泉くらいの知識しかなかったが、回るうちに先に書いた西条市や、生活航路としてのフェリーが現役の高松市のファンになった。

わが足で歩き、わが目で見て知れることは多い。いつか二拠点生活をと考えたとき、愛媛や香川は筆者の中で候補の上位に来るだろう。これもお遍路をしたからこそだ。こうした札所巡り・霊場巡りは四国だけではない。お遍路で見知らぬ土地を回る体験は、地方移住の下見にちょうどいいのではないか。

筆者は生活者の消費をテーマにしているが、生活基盤が東京にあると、つい首都圏を基準に発信をしてしまいがちだ。しかし、四国に入るとコンビニの数もスーパー・ドラッグストアのチェーンも全部違う。大都市バイアスが自然に外れて、視界を広げてくれたとも思う。

コストと成果を勘定すると書いたものの、コストは計算しやすいが、成果を数値化するのは難しい。結願した今改めて思うのは、88という途方もない数でも、一つひとつ重ねていけば必ず終わるということだ。どんな苦しいことがあっても、前に進んでいけばかならず終わる。そうだと思えたことが一番の成果かもしれない。

最後に、「いつか時間ができたら……」という人に一言。たとえマイクロバスで回ったとしても、それは駐車場まで。本堂につくまでさらに険しい坂を上ったり、先が見えないほどの急な石段がそびえる札所も多い。寺社参りのご利益ゆえに長生きできるのではなく、寺社参りできるほどの脚力体力があるから長生きもできるというもの。いつかと思うなら、一日でも早く始めることをお勧めしたい。

(写真はすべて巡礼当時のもの)

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提供元:15年かけ「四国お遍路」やり遂げた人が語るリアル|東洋経済オンライン

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