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2017.06.19

【そなえる】相続税法が変わって、暮らしにどんな変化が?


出典元: RomoloTavani/iStock/Thinkstock

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74歳を迎える父。盆や正月に実家に帰ると、相続の話ばかり口にするようになりました。相続税法が変わったからみたいだけど、ウチみたいな普通の家庭でも何かした方がいいですか? 皆がどうしているか知りたいです。

Q1 そもそも相続税法ってどう変わったの?

出典元:wissanu_phiphithaphong/iStock/Thinkstock

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A1 これまでの相続税は富裕層の家庭にだけ関係するものでしたが、相続税法の見直しで、2015年からある程度の資産を持つ“小金持ち家庭”も相続税の対象となりました。

相続税は「一定額」を超える資産が相続されるときに納める必要がありますが、その一定額を「基礎控除額」といい、これは相続人の数(法定相続人)によって違ってきます。

たとえば、妻と子2人がいるAさんが死亡した場合の基礎控除額は4800万円になります(下記の計算式を基に算出。3000万円+(600万円×3人))。改正前は、8000万円(5000万円+(1000万円×3人))だったため、4割も縮小されたのです。今まで気にもとめていなかった家庭が、あわてて相続対策を始めるのもムリないですね。実際に、私がお付き合いのある相続専門の税理士さんは、この改正で依頼が急増し手が回らないくらいだとおっしゃっていました。

<相続税の基礎控除額の計算式>
現在:3000万円+600万円×法定相続人の数
改正前:5000万円+1,000万円×法定相続人の数
※厳密には、相続税の課税の有無は、相続人の状況や特例の適用なども含め判断する必要があります。

Q2 相続税の対策にはどんな方法がありますか?

出典元:KatarzynaBialasiewicz/iStock/Thinkstock

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A2 たとえば、生前贈与を活用する方法があります。

贈与は、年間110万円までは非課税なので、その範囲で利用するのもひとつ。
また、110万円を超える場合でも、非課税で贈与できる特例などもあります。

日本の個人金融資産は1700兆円あり、このうち約6割が60歳以上の高齢者に集中しています。現役世帯は、子育てやマイホーム購入などお金がかかる時期ですが、一方で高齢者のように資産が築けてないのが一般的。そこで、贈与の特例等を作ることで、相続前の早いうちに親から子へ財産を引き継ぎやすくし、ひいては現役世帯の生活が豊かになることが経済の活性化にも繋がると期待されています。以下に贈与の特例等をあげていますので参考にしてください。

<参考:生前贈与に関する特例等>
教育資金の一括贈与・・1500万円まで非課税(H31年3月末まで)
結婚・子育て資金の一括贈与・・1000万円まで非課税(H31年3月末まで)
住宅取得等資金の贈与・・最大1200万円まで非課税(H32年3月末まで、消費税8%のとき)
相続時精算課税制度・・2500万円まで非課税  ※それぞれ要件があります。

Q3 贈与以外の対策って何かあるの?

出典元:fotojog/iStock/Thinkstock

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A3 「生命保険を活用した対策」や「不動産を購入する対策」などはその一例です。

まず、「生命保険を活用した対策」というのは、 相続税の計算をするとき、「500万円×法定相続人の数」の範囲内の保険金が非課税になることを活用したものです。

たとえば、一時払いで生命保険に加入し、死亡保険金として遺族が受け取れば、非課税枠相当額の相続財産が圧縮されます。

例) A社の終身保険に加入
契約者・被保険者 :父(74歳)
受取人:子
死亡保険金 1000万円
一時払い保険料 約998万円

上記の保険に加入し、その後、父が死亡したら・・
法定相続人が母と子の場合、生命保険の非課税枠は1000万円(500万円×法定相続人2人=1000万円)となるため、死亡保険金1000万円は非課税扱いになるのです。

つぎに「不動産を購入する対策」です。

たとえば、投資用マンション。前述の相続税法が改正をうけ、投資用マンションを検討する人は急増しています。それは、現金のままで相続を迎えるよりマンションを購入して賃貸扱いにした物件を相続した方が、税の計算時に評価を大きく引き下げる効果があるからです。
評価方法は複雑なため別の機会にお話ししますが、実際に福岡でも、こういった節税対策のため市街地を中心に建設ラッシュ。地価上昇の一因になっています。

Q4 では、相続税の心配がない家庭は何もしなくていい?

出典元:PhotoAC

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A4 そうでもありません。税の心配がない家庭でも、相続自体への関心は高まっています。「自宅は独身の長女にあげたい。その代りに長男には現金を」など、自分がいなくなったあとも、家族が不自由なく、仲良く暮らせるよう願いを込めた「遺言書」を作成する人は増加傾向。実際にファイナンシャルプランナーである私のところにも、相続の相談がよせられ、遺言書作成で、公証役場に立ち会うこともあります。

なるほど。相続の話は、子どもから切り出しにくかったりもするけど、父の方から問題提起してくれるんだから、お互いの想いを伝えあったり、家族の絆を深めたりするいい機会ですね。世の中の動きをキャッチして面倒くさがらずに、父と一緒に相続のことを考えてみようと思います!

※この記事はふくおかフィナンシャルグループ傘下のiBankマーケティングが運営するWEBメディア mymo(マイモ)から提供されたものです。

ファイナンシャルプランナー 白浜 仁子

記事画像

FPオフィス フェアリンク。生活に関わるマネーの専門家。銀行を退職後、育児をしながらFP資格を取得。女性ならではの視点でコンサルティングを行う。その他、セミナー・講演、執筆活動など多数。

※この記事は、ふくおかフィナンシャルグループのiBankマーケティング㈱が運営するWEBメディア mymo(マイモ)から提供されたものです。

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