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2022.12.30

こんなにあった!もう使えない「平成の節約知識」|その「ポイ活」もはやお得ではないかもしれない


相次ぐ食品値上げと、光熱費上昇。世間にあふれる節約術は、今の時代に合っているでしょうか(写真:metamorworks/PIXTA)

相次ぐ食品値上げと、光熱費上昇。世間にあふれる節約術は、今の時代に合っているでしょうか(写真:metamorworks/PIXTA)

長年、節約精神を伝道してきた筆者にとって、2022年は厳しい年だった。相次ぐ食品値上げに対抗できる手は少なく、そこに光熱費上昇が追い打ちをかけた。物価高時代を乗り切るための節約法をあれこれ探求してきた1年だったが、手詰まり感はぬぐえない。

しかし、ご時世とあって世間には節約記事があふれている。中には「それ、もう使えないのでは」と言いたくなるようなネタも散見されるのだ。

従来の常識のままだと、逆に損をすることもある。アップデートが必要な節約術について代表的なものを取り上げてみたい。

固定費のカード払いでポイントを貯める、は有効か

節約の一環として「ポイ活」を始めた人も多いだろう。手始めに、毎月決まって引き落とされる固定費をカード払いに変えるのが、ポイントを効率よく稼げる方法だと言われている。しかし、カード会社によっては、この常識も怪しくなってきた。

楽天カードユーザーが仰天したのは、2021年の変更だった。公共料金(電気、ガス、水道)、税金(国税、都道府県税など)、国民年金保険料のカード決済の還元率を、100円につき1ポイントから500円につき1ポイントに、還元率を大きく落としたのだ。

2022年4月には、ソニー銀行が発行するタカシマヤプラチナデビットカードが、やはり公共料金のポイント率を2%から1%に下げた。

同じくデビットカードだが、GMOあおぞらネット銀行も公共料金や税金を支払った場合のキャッシュバック率を、これまでの利用実績に応じた0.6~1.2%から、7月以降は一律0.3%に下げている。

ついでにコンビニ払い用の請求書のバーコードを読み取って、スマホ決済で支払える請求書払いも、PayPayは4月からポイント特典の対象外とした。これらの動きを見ていると、固定費で手間をかけずにポイントを稼げるかどうかは、決済事業者の懐次第となりそうだ。

スマホ決済などへのチャージで付くポイントも大きく変わった。2022年12月から、au PAY カードでau PAYに残高チャージをしてもポイントが付かなくなった。これまではカードによるチャージで100円ごとに1ポイントが付き、au PAYで決済すると0.5%還元が付き、いわゆるポイント2重取りで合計1.5%還元だったのだが……。

楽天カードも、2022年6・7月にWAON、nanaco、ファミペイ、au PAY、Kyashなどへのクレジットチャージに対しポイント進呈をやめている。

d払いは、以前なら決済元にdカードをひも付けることで1.5%のポイントの2重取りができたのに、やはり還元率の変更が実施された。12月10日以降は、d払いでの決済では200円につき1ポイント、その決済元にクレジットをひも付けても同じく200円につき1ポイントで、合計でやっと1%の還元だ。これなら1%以上の高還元率カードで買い物したほうが割がいい。

各決済事業者は永続的な還元率より、折々のキャンペーンで大きく稼ぐほうに舵を切っているようにも見える。昔手続きしたやり方のまま情報を更新していない人は、思惑どおりにポイントが貯まっているか、再確認したほうがいいだろう。

食事は手作りしたほうが安く済む、とは限らない

2022年ほど食品の値上げが話題になった年もないだろう。パンにバター、ハム・ソーセージ、マヨネーズにケチャップ、油にレトルト食品と、スーパーに並ぶ食品が軒並み値上げされ、お菓子やアルコールまでが上がった。生鮮食品はどうかというと、春先には驚くような玉ねぎの暴騰。このところは肥料・飼料高に引っ張られ、コメや卵まで上がり基調だという。

正直、2重3重もの値上げの前では逃げ場がないという状態だ。なのに、いまだに「食費節約には手作りがいちばん」というアドバイスが金科玉条のごとく唱えられている。それ本気で言ってます? 最近スーパーで買い物しましたか?と問いただしたくなる。

筆者は料理が苦にならないほうで、何品ものおかずを並べたいほうだが、それをやるためには何種類もの野菜が必要だし、肉に魚、練り物に卵と、手作りすればするほど材料費がかかる。おまけに油も粉も調味料も高い。以前と同じものを買っているつもりでも、軽々予算オーバーしてしまう。今や手作りは節約の決定打にはならないのだ。

それよりも、3品作りたいなら、うち1品は出来合いの総菜にしたほうが材料費は増えないし、料理にかかる光熱費や調味料の節約にもなる。総菜を作る業者は一気に同じものを大量に作るので、当然コストは下げられる理屈だ。

ついでに家庭向けにおかずを宅配してくれる業者のメニューを何社か調べてみた。主菜おかずと副菜が3、4品セットになっていて、受け取ったらレンチンしていただく冷凍タイプが多い。4食、6食、10食などの単位で届けてくれるのだが、1食当たり約400~800円台というところだ。多人数家族だと割高になるが、1人暮らしなら自炊するより安く済むのではないか。

メインとサブのおかずを3品作るとしたら、普通はこの金額ではすまない。送料はかかるが、1週間分まとめて届くし、ご飯を炊く必要はあるが片付けの手間もかからない。カロリーや栄養面も管理栄養士などのプロが監修している。見切り品ばかりの手作りより見栄えがすることは確かだ。

食費を抑える=手作り必定、ではなく、「ひょっとして、1品買ったほうが安くすむのでは?」というバランス感覚を持つことも必要だろう。

いいものを買えば長く使える、は昭和の教え

洋服の場合、高額でも質のいい定番品を買うほうが、長く使えて結果的に節約になる──とはよく聞く。女性雑誌でもこうしたニュアンスで語られることは多い。しかし、残念ながら、今では賞味期限が切れた節約常識の1つだ。

わが家にも、長らくメイドインジャパンの質のいいスーツがしまわれていたが、結局ずっと人目に触れずに処分された。着る機会がないからだ。いくら定番とはいっても、洋服のシルエットはどんどん変わっていき、見るからに形が古めかしい。とても人前に着ていけない。

それをいちばんよくわからせてくれるのがリサイクルショップで、どんなに高かった品でも10年前の服には値が付かない。長くも着れないし、売ってもお金にならないのだ。SDGs時代と言えども流行は短サイクルで、どんどん古びていく。いいものを長く着るより、そこそこのものを短く着て売ってしまうほうが、節約面では悲しいかな正解といえる。

それに、年齢を重ねてくると、とにかく重さがしんどくなる。いい服は重いものだ。目の詰まったコートはずしり重いし、本革のバッグも肩がこるほど重い。気軽なカジュアルブランドの数千円の服と300円ショップのバッグで十分事は足りる。

おまけに、いいものは高かっただけに処分がしにくい。節約にとって大事なのは、不要な服をむやみに増やしてクローゼットをいっぱいにしないことだ。「いいもの」が回り回って節約の妨げにならないよう注意したい。

雲行きが怪しい「新電力」への切り替え

最後に取り上げたいのが「新電力」。電力自由化以降、大手電力会社より安値を打ち出す新電力は、確かに一時期、脚光を浴びた。いまも光熱費高騰の対策として「新電力」への契約切り替えを勧めるアドバイスがいまだ散見されるが、今は雲行きが怪しい。

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新電力事業者の多くは自前の発電設備を持たず、卸電力取引市場から電気を調達してくるのだが、エネルギー高のあおりで調達価格も高騰。販売価格を下げれば下げるほど利益を圧迫する逆ザヤ現象を招いている。帝国データバンクによると2021年4月までに登録のあった新電力706社のうち、11月28日時点で約2割が倒産や廃業、または契約停止や撤退などを行ったという。

むろん、堅実な経営を続けている一部の事業者もあるが、光熱費高騰対策のために新電力に契約を切り替えましょうとは簡単には言えないはずだ。

古くなってしまった節約情報をそのまま信じ込んでいないか、この機会にぜひ見直してみてほしい。

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提供元:こんなにあった!もう使えない「平成の節約知識」|東洋経済オンライン

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