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2022.12.20

今年の確定申告で押さえておきたい4つの変更点|新しい申請書、住宅ローン控除、退職金の計算方法


令和4年の確定申告では、大きく4つの改正があります(写真:masa/PIXTA)

令和4年の確定申告では、大きく4つの改正があります(写真:masa/PIXTA)

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今年の確定申告では、大きく4つの改正がありました。(1)申告書の様式の変更、(2)住宅ローン控除の改正(ケースにより増税または減税)、(3)リフォーム・増改築をしたときの税額控除についての改正(住宅ローン控除を受けるとき以外は減税)、(4)退職所得の計算方法についての改正(増税)というものです。これらの内容について、『自分ですらすらできる確定申告の書き方 令和5年3月15日締切分』から解説します。

『自分ですらすらできる確定申告の書き方 令和5年3月15日締切分』 クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

1.「申告書A」が廃止されて新様式に!

今年、押さえておきたい改正点の1つめは、申告書の様式が変わったということです。

従来は、給与所得・雑所得・配当所得・一時所得のある人が使う「申告書A」(4つの所得専用)と、誰でも使える「申告書B」(すべての所得に対応)の2種類がありましたが、申告書Aが廃止され、新しい様式の申告書に統一されます。

ただし、新しい申告書は従来の申告書Bとほぼ同じ様式。申告書Aを使っていた人は少し戸惑うかもしれませんが、記入欄が増えただけで、書き込み方と計算方法はほとんど変わりません。ご安心ください。

また、新様式の導入にともなって、修正申告の際に使用されていた申告書第五表が廃止され、新しい申告書で修正申告ができるようになりました。

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2.住宅ローン控除が改正された!

住宅ローン控除の改正では、(1)住宅ローン控除率の引き下げ(増税)、(2)控除最高額と借入限度額の引き下げ(増税)、(3)控除を受けられる期間の変更(従来より長くなるケース、短くなるケース、従来と同じケースがあり、増税、減税、増減なしの3パターン)、(4)所得要件の引き下げ(範囲が狭くなる)、(5)中古住宅の要件の見直し(要件に該当すれば減税)、(6)住民税の住宅ローン控除可能最高額などの変更(増税)などがありました。

ざっと図でまとめると、下のようになります。借入限度額と控除最高額については、令和4~5年入居と令和6~7年入居の2段階で変更されるので、注意が必要です。令和6~7年入居になると、借入限度額と控除最高額が令和4~5年入居のときより下がります。とくに、一般の住宅の場合には影響が大きく、令和4~5年入居では最高21万円あった控除額が、令和6~7年入居では、「0」となっています。

(外部配信先では画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

●住宅ローン控除率

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●控除額と期間

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それぞれについて、少し詳しく見ていきましょう。

(1)住宅ローン控除率の引き下げ(増税)→0.7%に

改正により、住宅ローン控除率が0.7%(従来1%)に引き下げられました。今年から住宅ローン控除額は、「年末ローン残高×0.7%」の算式で計算することになりますので、増税となる改正です。

(2)控除最高額と借入限度額の引き下げ(増税)

住宅ローン控除には、控除最高額(限度額)があり、それを超えた控除を受けることはできません。

今回の改正では、環境性能に応じて4つの区分がもうけられ、環境性能がよい住宅ほど、住宅ローンの借入限度額(①で説明した算式に入れることのできる限度額)が上がり、結果として控除の最高額も上がるという仕組みになりました。

従来、住宅の区分は一般の住宅と認定住宅の2つでしたが、今年からは「ZEH(ゼッチ)水準省エネ住宅」(下図参照)と「省エネ基準適合住宅」(下図参照)という区分が追加されています。

控除の最高額を大きい順に並べると、令和4~5年入居、新築住宅・買取再販住宅(下図参照)の場合は、次のようになっています。

トップ1 認定住宅

最高35万円(住宅ローン残高5000万円まで)
  →令和6~7年入居では、最高31万5000円(3万5000円下がる)

トップ2 ZEH水準省エネ住宅:新設

最高31万5000円(同上4500万円まで)
  →令和6~7年入居では、最高24万5000円(7万円下がる)

トップ3 省エネ基準適合住宅:新設

最高28万円(同上4000万円まで)
  →令和6~7年入居では、最高21万円(7万円下がる)

トップ4 一般の住宅

最高21万円(同上3000万円まで)
  →令和6~7年入居では、控除額が「0」(21万円下がる)

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控除期間の変更はとくに注意

(3)控除期間の変更はややこしいので注意!(増税、減税、増減なしの3パターン)

今回の改正により、新築住宅の控除期間は13年(従来13年または10年)、中古住宅は10年(従来13年または10年)となりました。

新築住宅と中古住宅については、従来は、下図の「令和4年中に入居」の特例(特別特例取得または特例特別特例取得:図の右端に記載)に該当するときは13年、それ以外のときは10年でした。

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(4)所得要件の引き下げ(範囲が狭くなる)→2000万円へ

住宅ローン控除を受けるための所得要件については、従来の3000万円が2000万円に引き下げられました(上図参照)。控除の対象者であっても、合計所得が2000万円を超える年については、住宅ローン控除を受けることができなくなります。

なお、合計所得が1000万円以下の人については、従来と変わらず、住宅の床面積が40㎡以上(通常50㎡以上が要件)の場合にも、控除の対象となります。

(5)中古住宅の要件の見直し(要件に該当すれば減税)

中古住宅については条件が変更され、昭和57年1月1日以降に建築された住宅が対象に加えられました。これまでは、「マンションなどの耐火建築物の場合は、その取得の日以前25年以内、耐火建築物以外の建物の場合は20年以内に建築されたもの」が要件になっていました。

(6)住民税の住宅ローン控除可能最高額などの変更(増税)

住宅ローン控除では、所得税から控除額を引き切れなかったときに、住民税からも控除することができます。この点も改正があり、控除可能最高額が9万7500円(従来13万6500円)に引き下げられました。また、控除額については、「課税所得×5%(従来7%)」で計算することになります。

3.リフォーム・増改築をしたときの税額控除が変わった

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『自分ですらすらできる確定申告の書き方 令和5年3月15日締切分』(KADOKAWA) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

リフォームや増改築をしたときの税額控除には、住宅ローン控除、住宅耐震改修特別控除、住宅特定改修特別税額控除の3つがもうけられていますが、そのうち住宅耐震改修特別控除と住宅特定改修特別税額控除について、控除額が上乗せされるようになりました。

改正後の控除最高額や控除額の計算方法をまとめると、次表のようになります。

本文259ページ上半分なお、昨年まであった「特定増改築等特別控除」は、令和3年末で適用期限が終わっています。改正後の控除の主な適用条件などをまとめると、次のようになるので参考にしてください。

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4.勤続年数5年以下の退職所得の計算方法が変更

一般従業員が5年以下で退職し、退職金(短期退職手当)をもらったときの退職所得の計算方法についての改正がありました。「退職金-退職所得控除額」で計算した金額が300万円超の場合、退職金のうち300万円超の部分については、2分の1課税が適用されず、下の算式で退職所得を計算することになります。従来は、300万円という区切りはなく、「(退職金−退職所得控除額)÷2」の算式で退職所得が計算されていました。

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今回は、大きく上記の4つの改正がありました。ポイントを押さえて、今年の確定申告を乗り切りましょう。

(構成:前窪明子)

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提供元:今年の確定申告で押さえておきたい4つの変更点|東洋経済オンライン

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