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2022.12.17

メンタル不調な人の職場復帰で注意したい重大事|家族も職場も再発リスクを甘く見てはいけない


すぐに以前と同じように働けないということを周囲は理解しなければなりません(写真:Mills/PIXTA)

すぐに以前と同じように働けないということを周囲は理解しなければなりません(写真:Mills/PIXTA)

精神科を受診する患者数が年々増え続けるなか、家族のメンタル不調をケアする立場に置かれる人も多いのではないでしょうか。産業医として1万人以上を診察してきた精神科医の井上智介氏の著書『どうする? 家族のメンタル不調』より、メンタル不調からの職場復帰後に注意すべきポイントを解説します。

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回復してから1年半~2年は油断できない

どのような精神疾患かにもよるのですが、たとえばうつ病であれば、症状が回復してから1年半から2年の間は、再発のリスクが非常に高いといわれています。たとえ薬の処方がなくなったとしても、安心はできません。

患者さんの多くは、薬が処方されないならと通院しなくなってしまうのですが、最低半年間は、2、3か月に1回くらいのペースでも構わないので、通院してほしいのが精神科医としての意見です。

精神疾患は全般に再発のリスクがとても高いです。何か少しでも不調を感じたとき、すぐに相談できる状況を整えておくことが大事です。薬がなくても通院し、数カ月後であっても次の受診の予約を入れておくことが、いざ何かあったときに患者さんの助けになるのは間違いありません。

多くの病院では、前回の受診から数カ月の間が空いてしまうと、過去に通っていた患者さんも初診扱いになってしまいます。すると、いざというときに受診の予約が取りにくくなりますし、非常に調子が悪くなってもすぐ受診できないリスクが出てきます。どのくらい間隔が空くと初診扱いになるかは、各病院によってルールが違いますから、事前に確認いただいたほうがいいでしょう。

職場や学校に復帰し、薬もゼロになったとなると、ご家族もようやく日常が取り戻せたと安心されると思います。

ただ何度も言うように、再発のリスクはありますので、気を抜くのは厳禁です。うるさがられるかもしれませんが、通院を継続するように患者さんに促していくことがとても大切なのです。

患者さんの家族には

「再発が心配だから、必ず次の予約だけは入れておいて」

と、心配している気持ちを前面に出して患者さんに頼んでほしいです。

「もう大丈夫だよ」

という本人の言葉に流されたりしないこと。もし通院が続けられているようなら、その事実を言葉で評価してあげるのが望ましいです。

「普段から、病院にも頑張って行ってもらってありがたい」

「通院してくれるおかげで、こちらも安心して過ごせるよ」

などと、声をかけてあげたらいいと思います。

復帰できても、頑張りすぎは禁物

うつ症状を引き起こす人の多くは、とても真面目な性格の持ち主です。また、仕事や学業で成果を挙げてきた自負のある人も多くいます。こういう人が復帰すると、遅れを取り戻そうとがむしゃらに頑張ってしまうことがあります。

ですから、頑張りすぎないようにブレーキをかけなければなりません。

産業医のいる会社であれば、復帰するにあたって産業医が会社と協力してブレーキをかけることが多いのです。たとえば、最初の1カ月は残業を認めず、定時に来て、定時に帰る就業の制限を設けたりします。1カ月を乗り越えたら、次の2カ月は残業時間の枠として1日1時間、マックスで月20時間まで、といった制限をかけるなどします。

原則として、就業の制限をかけるのは3カ月まで。

復帰から4カ月目以降も就業の制限をかけなければいけないとしたら、おそらく復帰の時期が早すぎたのです。回復しきれていないと判断して、あらたな手立てを考える必要があるでしょう。

もし産業医がいないのであれば、ブレーキをかける役割を家族が担わざるをえません。会社によっては人手不足で、

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「戻ってきてくれて助かるよ」

とばかりに、どんどん仕事をさせようとする場合もあるので、家族が本人によく言い聞かせて、就業時間を調整するなど再発防止に努める必要があります。実際、再発リスクの高い2年の間に、再休職になる人が驚くほど多いのです。復帰したからと安心せず、患者さんの様子をしっかりと見ておくことが大切です。

夜眠れているか、感情の波が激しくないか、食事量に変化はないか、一人で頑張りすぎていないか……。近くにいるご家族だからこそ気づけることはたくさんあります。もし異変を感じたら、早めに受診するように患者さんにアドバイスしてあげてほしいのです。

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提供元:メンタル不調な人の職場復帰で注意したい重大事|東洋経済オンライン

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