2022.12.15
「推し活」が生活に幸福をもたらす4つのメリット|「過度な交流」はトラブルを生むので要注意
「推し活」のメリットはたくさんありますが、活動方法によってはデメリットも(写真:USSIE/PIXTA)
こんにちは。生きやすい人間関係を創る「メンタルアップマネージャⓇ」の大野萌子です。
「推し活」にハマっている方、多いのではないでしょうか。「推し」というと少し前までは、アイドルを中心とする実在の人物やアニメなどのキャラクターなど人物を指すことが多かったと思いますが、最近は、人物にとどまらず、作品自体であったり、城などの建造物や鉄道など多岐にわたります。
気持ちのよりどころとなる推し活
好きなものや夢中になれることがあるということは、生活に彩りが生まれ、生き生きとした毎日につながります。楽しいことがあると気持ちが豊かに前向きにもなります。実際に「推し」の存在によって、仕事や勉強へのエネルギーが湧いてくるということはよく耳にします。特に、コロナ禍になってから、人と関わる機会が減り、面倒なしがらみから解放されたという一方、孤立や孤独を訴える方は増えてきました。そんな方々の気持ちのよりどころともなっていると感じます。
推し活が与える心理的なメリットは、次のようなものが挙げられます。
(1) 気持ちの切り替え
気持ちは、意識してもなかなか切り替えられるものではありません。嫌なことや気になることがあれば、四六時中頭をよぎり、考えないようにしようとすればするほどとらわれてしまうものです。そんな時に有効なのが、「集中」です。何かに集中する、夢中になると、他のことを一時的にでも遮断できます。もちろんすべて忘れてしまうことはできません。ただ、一時的であっても「嫌なことを考えない時間」を持てることが、気持ちのリカバリーを助けます。無理に気持ちを切り替えようとせずとも、何か夢中になれることがあれば、容易に可能になるのです。気持ちには緩急が必要で、これがストレスを軽減することにもつながります。
推し活が活力源に
(2) 孤独感の解消
推し同士での交流ができることが、孤独感や孤立感を払拭するのに有効に働きます。実際にコンサートやイベントに参加して、一体感を味わうこともできますし、また直接でなくとも、SNSなどを介しての情報のやり取りをしたり、感動を共有することも可能です。同じ「推し」を好きな気持ちを分かち合える喜びが、おおいに孤独感の解消に役立ちます。
(3) 承認欲求を満たしてくれる
「推し」が活躍している、注目を浴びているということが、自分の承認にもつながります。自分が認めていることが、世間にも認められている。「推し」の存在を通して、自分のアイデンティティの確立が実感できるのだと思います。また、「推し」をSNS等で発信し、いいね!をもらうことにより、自分の「好き」が承認され、それを発信している自分自身も承認されていると感じることもできます。このように他者が評価されることを嬉しいと思う気持ちは、親心にも似ているのかもしれません。
(4) モチベーションのアップ
「推し」を応援する資金を確保するために、仕事を頑張ることができる。
会いに行くことを糧に、日々の生活を能動的に過ごせる、忙しい毎日の中でも、すきま時間にSNSをチェックしたり、動画を見ることが癒やしとなり、次の活力につながる、「推し」も頑張っているから自分も頑張ろうなど、モチベ―チョンアップに大いに影響します。「推し活」の方法はそれぞれでも、こころの栄養となり、活力源になります。
そんな、メリットの多い「推し活」ではありますが、反面、「推し疲れ」というワードも最近は気になります。
何事もバランスが大切なのですが、度を越してしまい、経済的に困窮してしまった、全てが「推し」中心の生活で、本来の生活(仕事や勉強)が立ち行かないなどの悩みも増えてきています。
大切なのはバランス
寝食を犠牲にしてしまうほどのめりこみすぎるのは、楽しむことを通り越して「依存」です。経済的・時間的にゆとりがなくなると、必然的に精神的なゆとりも奪われてしまい、普段の思考に戻れず、負のスパイラルにハマってしまいがちなので注意が必要です。また、推し仲間との頻繁で過度な交流は、トラブルや軋轢を生みやすくもなります。コミュニティ、SNS上のみであっても、攻撃などを受ければ大きなダメージになります。
せっかくの楽しみが、つらさ、嫉妬、不安、怒り、失望などの感情に支配されては、本末転倒です。
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ですから、少しでもマイナス感情が芽生え始めたら要注意です。つらいと感じることが出てきたら、ひとたび立ち止まることも大切です。
その時は、「推し活」から物理的に離れてみましょう。SNS等を見ないなど、情報を取りにいかないことが必要です。
「推し活」を楽しむためには、「推し活」を、自分と自分の生活以上に優先することを避けることが大切です。何事も適度が重要、自分なりの基準を模索して、ここちよいところを見つけていきましょう。人によって関わり方の差はあるとは思いますが、心身ともに無理をせずに、あくまでも自分のペースで自由に「推し活」を満喫していただきたいと思います。
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提供元:「推し活」が生活に幸福をもたらす4つのメリット|東洋経済オンライン