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2022.12.13

「趣味のモノを捨てられない」その意外な深層心理|「好きで大事だから」だけではない保存する理由


趣味のグッズをなかなか捨てられい……その背後にある深層心理がわかると、モノを整理しやすくなるかもしれません(写真:hellohello/PIXTA)

趣味のグッズをなかなか捨てられい……その背後にある深層心理がわかると、モノを整理しやすくなるかもしれません(写真:hellohello/PIXTA)

プラモデルやアイドルグッズ、洋服やスニーカー……人によって趣味は違うし、収集品もバラバラ。相手がモノに抱いている愛情を考えずに、パートナーに向かって「捨てれば」と口にして、大げんかした経験は誰もがあるでしょう。

相手を傷つけず、モノを整理するにはどうすればいいでしょうか。本書では、東大卒片づけコンサルタントの米田まりな氏が、溜め込みやすい「趣味の品」を簡単に整理・収納できるコツを紹介します(本稿は、『あの人にイライラするのは、部屋のせい。』より抜粋・編集を加えたものです)。

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愛情を注げる数には限度がある

物欲や収集欲の強弱には個人差があり、一概に「収集は悪」とは言えませんが、限度を超えたコレクションは家族に迷惑をかけてしまいます。ここでは、良いコレクションと悪いコレクションを見極める方法をいくつか紹介します。

「ダンバー数」という言葉を聞いたことはありますか?

イギリスの人類学者ロビン・ダンバーが「人は150人以上とは意味ある人間関係を結べない」と理論づけました(1993年)。現在はSNSの発達で、150人以上友人がいる方は少なくないでしょう。しかし年に1回以上、意味ある連絡を取り合う友人の数が150人を大きく超える人は、ごく一部ではないかと思われます。

モノとの向き合い方についても同じことが言えます。

年に1回以上手に触れ、愛情を注げるモノの数は、150点程度に絞られます。また、人が保有するアイテム数は1人あたり平均1500点と言われていますが、そのうち趣味に関するものが全体の10%程度という割合です。

趣味のアイテムを勝手に捨てるのはNGですが、家の収納スペースを占める趣味の品の増加を、野放しにするわけにはいきません。そんなパートナーには、溜め込んでいるコレクションを全て開示してもらい、特に大切なベスト150点を選んでもらいましょう。

そうはいっても、誰でも自分の趣味の領域に口を出してほしくはないもの。そういう時には、1点ずつ内容を聞きながら、細かくグルーピングをすることが効果的です。

とあるアイドルグルーブを応援している方の自宅を片づけた際、大量のDVDや雑誌、ライブグッズが保管されていました。「手放せるものは手放しましょう」とアドバイスしても、「どれも大切だから触らないでほしい」となかなか手をつけてもらえません。

コレクションに濃淡をつける

趣味のアイテムの片づけは、「捨てること」を前提に取り組むと挫折します。「より大切なモノを選び、安全な保管場所を優先的に割り当てる」という本人の意志を尊重しつつ仕分けする必要があり、通常の片づけより時間と根気を要します。

そのためにじっくり話を聞くと、どうやらアイドルグッズの中でも、思い入れに濃淡があることがわかってきました。

「出演番組を録画したDVDや、特典のないCDはデータ化しても構わない」「イシャツはライブの度に着るが、缶バッチとストラップは保存用なので、手の属きにくい場所に保管してもよい」「雑誌はアイドルが出ているページだけ切り取ればよい」「この本はレア度が高いが、あまり気に入っていないので友人に譲ってもよい」。

「要・不要」を勝手に判断せず、本人の価値観に耳を傾けながら、グルーピングしてあげることで、「人に売る・譲る」など自らモノの数を適正化する意欲が湧いてきます。

あなたがパートナーのコレクションに詳しくなければ、同じ趣味を持つ友人を家に呼んで協力してもらうのも手です。「君にはフィギュアのよさは到底わからないだろうね。どれも甲乙つけがたい魅力があるんだよ」とパートナーに対しては虚勢を張っている人も、コレクションのよさがわかるマニアの前では態度を変えるはず。

「部屋のスペースにコレクションが収まるように、仕分けを手伝ってもらえませんか?」と頼んでみれば、友人も優先順位決めに協力してくれるはずですし、欲しいモノがあればその場で引き取ってもらえることもあるので、処分の手間も省けます。

そうやって、 「どうやって捨てる」ではなく「どうやって残すか」を問いかけながら、パートナーにモノを仕分けてもらえばいいのです。

「趣味だから」と言って、何となくモノを収集しているケースもあります。バンドワゴン効果とは、「人が持っているモノを自分も欲しがったり、流行に乗り遅れたくない」という心理、ヴェブレン効果とは「希少性の高いモノを購入することで周囲に見せびらかしたい」という自己頭示的消費のこと。

こうした行動心理によるモノの購入は、家のスペースや購入費用をムダにするばかりか、罪悪感や焦燥感を抱く原因にもなります。広告に踊らされてついつい買ってしまったモノを捨てられないケースもこれに該当します。

そういった場合は、収集しているアイテムをビニールシートに広げてみて、グルーピングしてみましょう。

「使わないけれど捨てられない理由」は、下図のように分けることができます。

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「これらはDIYグッズだからひとまとめにしよう」などとカテゴリ単位で括らず、1点1点手に取り、「どういう意味で持っているか」という視点で分類していきます。

パートナー同士で「これはあなたにとってどんな意味があるの?」 とお互いに聞いてみるのもいいでしょう。何かしらの意味があるのなら、保管すればいいのです。ただし、「なんでこんなものを買ったの?」とパートナーの価値観を否定する問いかけはNG。パートナーを傷つけるだけです。

過去に投下した資金や労力のうち、戻ってこない費用のことを、経済学の用語で「サンクコスト」といいます。人は一度投下したコストをなんとか取り戻そうと、戻ってこないにもかかわらず、モノに執着し続けるという習性があります。

購入した時のことを思い出ずと心が痛み、認知をゆがめて「自分にとって必要なんだ」と錯覚してしまいます。モノとの過去のエピソードには触れず、今後どのように使用するか、という観点でのみ、質問を行ないましょう。

「このストレッチ器具ってどうして家に置いてあるの?どんな時に使うのかな?」といったように、1つひとつのモノに対して、持っている意味を尋ねるのがいいでしょう。

1回で片づけようとしない

思い出や応援など、ポジティブな気持ちで持っているモノならまだしも、しがらみや意地で持ち続けているモノばかりが増えると、本人にとっても恩苦しい空間になってしまいます。特にコンプレックスを想起させるモノは、精神衛生上、外に出すのがおすすめです。売る、譲る、預ける、(ベランダのコンテナや実家に)移すなど、モノと距離を置くことを提薬してみましょう。

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実際、趣味のモノの片づけは、本人に手をつけてもらうまでが最もハードルが高いのです。1回で整理を完了しようと思わず、根気よく片づけに付き合ってあげましょう。

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提供元:「趣味のモノを捨てられない」その意外な深層心理|東洋経済オンライン

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