2022.12.12
「年収450万貯金ゼロ」彼が2年で160万貯めたコツ|「貯める理由」をハッキリさせることが重要
お金を貯めたい、よりよい自分になりたい人が実際に変わるためには、どんなステップを踏めばいいのでしょうか(写真:bee/PIXTA)
岸田政権が「貯蓄から投資へ」の大綱を発表し、金融教育の開始やつみたてNISAの見直しなどが進められています。しかし、安易に投資に手を出すと、お金を増やすどころか、お金を減らすことにもなりかねません。まずはお金の基礎力である「貯める力」を身につける必要があります。
「貯金はゼロ。これまでの最高の貯金額は、ボーナス支給直後の30万円」という方が貯める力をつけ、2年目にして預貯金160万円を達成――。いったどんなワザを使ったのでしょうか? 本稿では『90日で「貯める力」をつける本』を一部抜粋し再構成のうえ、その秘訣である「お金を貯める8つのステップ」を紹介します。
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まずは「貯める理由」をハッキリさせる
ところで、あなたはどうしてお金を貯めたいのでしょうか? 老後の資金が足りないと言われているから? 子どもの教育資金をつくるため? それとも、自分の夢をかなえるため? 私は、人それぞれ違う「貯めたい理由」を相談者に具体的にたずねます。
するとほとんどの人が、
「将来、お金が足りなくなる話が多くて不安です。だから、とりあえず貯めておこうと思って……。でも、なかなか……」
というあいまいな返事が返ってきます。
ほとんどの方が貯める目的を持たず、漠然とした不安を、貯金によって打ち消そうとしているだけなのです。意志や希望を持たないまま、なんとなく貯金に取りかかっている……だから、貯められないのです。
鋼のような強い意志の持ち主は別として、多くの人は「なんとなく」で貯められるほどカンタンに貯金はできません。
人間は、お金があれば使いたいし楽しみたい、ラクをしたいと思う生き物です。さらに、限られた収入で家計をやりくりし、家族みんなで生活していかなければならないのが現実です。たっぷりと余裕があるという人など、ほんの一握りですからね。
要は、ほとんどすべての人がお金を使いたい気持ちをコントロールし、自分なりの考え方や価値観を持ち、それを家計に反映させる必要があるということです。だからこそ、「何のために貯めるのか」にフォーカスするのです。
[貯める目的をハッキリさせる]
貯める目的や目標をはっきりさせましょう。大それたものでなく、自分なりの考え方や夢が、具体的で現実的なものであればいいのです。
「目的ありの貯金」と「目的なしの貯金」では、成果にはっきりと違いが出ます。それは私の依頼者の方の成果からも明らかです。具体例をあげましょう。
⃝ここ数カ月でなるべく多くお金を残したいというAさん
⃝3カ月後に一眼レフデジカメを買うために8万円を貯めようとするBさん
1カ月目は1万円貯められたAさん。ですが、2カ月目は油断して使いすぎ、0円。3カ月目はあせってがんばりましたが、5000円。3カ月が過ぎたところで、1万5000円。このままでは4カ月目もダラダラと使ってしまいそうです。
Bさんはまず数字を決めました。最初の2カ月はペースを上げて3万円ずつ。最後の月は2万円。目的を励みにがんばれたので、カメラを手にすることができたのです。
このように目的を決めるという小さな工夫が、お金グセを変えていくための仕組みづくりであり、自分の気持ちにレバレッジをかけることになるのです。
(図表:『90日で「貯める力」をつける本』)
[目標がない人は、未来の自分の可能性のために貯める]
確実にお金を貯めるために目的があったほうがいいことはわかっている。でも、今はまだその目的がはっきりしない。そんな方は、さらに私に問いかけてきます。「夢や希望が特になくてもとりあえず貯めておいたほうがいいですか。それは何のためなのでしょう?」と。
答えはカンタン。私はこう言います。
「今、貯金にがんばっているあなたがお金を持つことにより、これからのあなたの可能性や選択肢が広がる。だから貯めてほしい」
ポジティブな動機なら、貯める力の伸びが明らかに違う
将来への不安ではなく、未来の自分の可能性のために貯める。
今後のためという意味では、不安だから貯めるのと同じベクトルかもしれません。でも動機がネガティブなものかポジティブなものかで、貯める力の伸びがままったく違います。とりわけ人生という長いスパンでは明らかな違いを指し示すでしょう。
何度チャレンジしてもお金を貯められない。そんな自分を変えたいと感じている人はとても多いものです。
先にも触れましたように、私の仕事はいわゆる「お金の問題児」ともいえる人に、その人の弱い部分を変化、補強するためのアドバイスをさせてもらい、再生していくことです。そして家計が再生すると、生き方までも変わります。
では、私のところにいらした依頼者の方のケースを例としてあげてみましょう。
■ 山本順一さん(仮名)27歳、独身、会社員。年収450万円。
貯金はゼロ。これまでの最高の貯金額は、ボーナス支給直後の30万円。本人曰く、特にムダづかいも、贅沢もしていないのに、月末になるといつも金欠とのこと。恋人との結婚を意識し、長年しみついた無計画生活を、90日貯金プログラムで転換しました。2年目にして、預貯金160万円。
■ 加藤芙美さん(仮名)35歳、主婦(パート)。年収80万円。
年収500万円の夫と小学生の子どもの3人暮らし。子どもの習い事や自分のストレスからくる買い物で、気づけば毎月赤字で貯金はゼロ。「将来のため」と思い、すすめられるままにiDeCoを始めたものの、赤字家計は直らず、クレジットカードのリボ払いに頼る生活。「このままではマズイ」と90日貯金プログラムをやったことで、3カ月で赤字家計を脱出、貯金ができるようになりました。2年ちょっとが経つころにはある程度のお金が貯まったので、つみたてNISAを1万円から始められるように。
上にあげた方々は、あなたよりも「お金の問題児」だったかもしれません。でも、再生をはたし、貯める力を身につけ、自分の可能性を最大限に広げて幸せな生活を送っています。
例えば山本さんは、お金の使い方のルーズさをあらためれば、自分の給料だけで結婚後も生活ができること、そして貯金もできることに自信を持ちました。そのように変わった彼を見て、恋人の女性も安心したようです。
加藤さんは、子どもの学費や将来を考え、「貯める力」をつけようと決意しました。何も考えずにiDeCoを始めたため、60歳までiDeCoは引き出せないことを知らず、カードで借金しながら家計をまわすという本末転倒ぶり。そのカードでの借金生活を変え、貯められるようになったことで、子どもや家族の将来をより前向きに考えられるようになったとのことです。
ですから、どうしてもお金が貯められないという方こそあきらめずに、これまでの経験や先入観をリセットして、もう一度取り組んでみてほしいのです。
たとえ現状がクレジットカード使いまくりのショッピング生活であっても、何度負けてもパチンコ三昧であっても、給料日前になると残高との戦いの生活であっても、
⃝こんな生活、続けていたらまずい。
⃝貯められない自分がイヤだ。どこかで人生を変えたい。
⃝お金をもっと有意義に使いたい。
そう意識するだけで、ムダづかいをなくし、貯金の達人となるチャンスと素質は十分にあります。それではお金を貯めたい、よりよい自分になりたい人が実際に変わるためには、どんなステップを踏めばいいのでしょう? 次のようにまとめてみました。
お金を貯める8つのステップ
(1) 自分の性格とお金グセを知る
(2) 無理なくできるお金習慣を考える
(3) 今の固定支出を疑ってみる
(4) 貯金目標とお金以外の楽しめる行動目標を持つ
(5) 今、お金を貯められる環境なのか判断する
(6) 期間設定と数字で自分を知る
(7)90日間での成果をふりかえる
(8) 貯まってきたら、投資にもチャレンジ!
こうしてお金の問題児だった人たちが、お金だけでなく人生の大逆転をもなしとげているのです。あなた自身にも当てはめられるように、内容を紹介していきます。
(1) 自分の性格とお金グセを知る
自分の今までのお金の使い方をふりかえってみましょう。おこづかい、お年玉に始まり、バイト代やお給料について。どんなふうに使ってきましたか?
過去の自分を責めるのではなく、自分のクセを知るためのふりかえりです。過去の失敗は自分の傾向。改善のヒントになりますから、向き合ってみましょう。
(2) 無理なくできるお金習慣を考える
続けられることでなくては意味がありません。貯金に関して挑戦してみたいと思ったことすべてに取り組むのではなく、本当に自分にできるのか考えてみてください。
例えば、「一食100円以下で作る節約メニュー」、「寝る前に全部の家電のコンセントを抜いて……」といった地道で手間のかかるコツコツ型の節約術を継続的に進められますか? 向いていないのなら、もっと大胆な部分での支出カットを考えたほうがいいでしょう。
(3) 今の固定支出を疑ってみる
「これ、本当に必要な支出なのかな?」と自分に問いかけるクセをつけましょう。私たちは、便利さや横並びの価値観に知らず知らずのうちに慣れ親しんでいます。そのため、一見固定費と思われる支出(スマホ代やタバコなど)についても疑ってみましょう。そうすると、〝自分の価値観〟が形成されていくのです。
(4) 貯金目標とお金以外の楽しめる行動目標も持つ
勘違いする方が多いのですが、お金だけで人生を有意義なものに変化させられるわけではありません。○○円貯めるといった数値目標も大切ですが、それ以外の行動目標も持ちましょう。やりたいことや夢が、よりお金を貯める原動力になります。
例えば半年に一度は旅行したいといった、自分をリフレッシュさせるための楽しみを掲げてみてください。そうすることで、あなたに輝きが出てきます。
貯まってきたら投資にチャレンジ!
(5) 今、お金を貯められる環境なのか判断する
今、安心してお金を貯められる環境にありますか? リボ払いや、完済できない高金利の借金があったりするのでは、いくら節約しても貯金できません。毎月収支がトントンなのに、積み立て投資をするというのも同じです。収支は赤字、貯金で補填というやりくりが見えてきます。ザルで水をすくっているようなものですね。あせりは禁物です。
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(6) 期間設定と数字で自分を知る
実行期間は、90日。効果をあげるためには、一定で長すぎない期間を決めておくべきなのです。失敗のもととなる、「なんとかなる」という希望的観測と「お給料安いから仕方ないよ」というあきらめ精神からの脱却を図っていきましょう。そのためには、数字を利用します。
(7)90日間での成果をふりかえる
貯金プログラムを90日間やったら、ふりかえってみましょう。はじめに決めた目標の達成具合はどうでしたか? 当初思い描いていた理想と現実を数字によって「見える化」させたのです。終えたあとの感想を、自分の言葉で書きだすという作業もおすすめです。
(8) 貯まってきたら、投資にもチャレンジ!
貯金ができるようになることは素晴らしいことですが、今は貯金だけではなかなかお金は増えません。将来のお金をつくるために、投資にもチャレンジを。つみたてNISAやiDeCoなら、貯金を積み立てていくように投資ができます。
8つのステップに従って進めるうちに、自然とお金を意識しながら生活できるようになります。
すると、必ず成果を感じ取れます。そうなれば、お金に関する基礎能力を身につけたという自信が持てます。自分の気持ちにレバレッジをかけることが近道であり、確実で揺るがない方法なのです。
この考え方を身につけることこそが、生涯の財産なのです。
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