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2022.12.12

「ネガティブ思考な人」のパフォーマンスが高い訳|一流のアスリートだけが知る能力最大化の秘策


一流のアスリートは自分を客観視し、チャッターをうまくコントロールできるので、常に最高のパフォーマンスを発揮できます(写真:FS-Stock/PIXTA)

一流のアスリートは自分を客観視し、チャッターをうまくコントロールできるので、常に最高のパフォーマンスを発揮できます(写真:FS-Stock/PIXTA)

「明日のプレゼンはうまくいくだろうか」「昨日はあんなことを言ってしまった」など、私たちは日々、頭の中で話をしている。
このような「頭のなかのひとりごと(チャッター)」はしばしば暴走し、あなたの脳を支配し、さまざまな問題を引き起こしてしまう。
一方、この「チャッター」をコントロールすることができれば、あなたは本来持っている能力を最大限に発揮できるという。
賢い人ほど陥りがちな「考えすぎ」をやめる方法とは何か? 今回、11月に日本語版が刊行された、40カ国以上で刊行の世界的ベストセラー、『Chatter(チャッター):「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法』について、『自分の最高を引き出す考え方』の著者でスポーツ心理学者の布施努氏に話を聞いた。前編と後編の2回に分けてお届けする。

『Chatter(チャッター):「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法』 クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

アスリートが用いる「自分のノート」

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『Chatter(チャッター):「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法』 クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

野球やラグビーなどのチームにおける心理的な側面からのコーディネートや、個人のパフォーマンスを上げるサポートを行うのが、スポーツ心理学の役割です。

実際に行っていることは、『Chatter(チャッター)』に書かれていることと深く通じることが沢山あります。

本書に、日記を書くことの効能が取り上げられていますが、実際トップアスリートにも、自分のノートに日々のことを書き込んでもらっています。

例えば、日本代表ラグビーの齋藤直人選手は、自分のラグビーノートを持っていて、そこに、今の自分には何が起きていて、どんなことを不安に感じるのかを毎日書いています。

そして、「齋藤直人、こういう時はどうするんだ?」と客観視し、自分に語り掛けるということをやっているのです。この点は、本書の内容とまったく同じです。

野球の社会人日本代表チームは、専用の野球ノートを作っていて、選手全員が、自分のノートを持って遠征しています。

「チャッターから逃げる」のではなく、視点を変えたり、問題からあえて離れたりすることが大事と書かれていますが、ここは重要なところですね。

ネガティブなことからは逃げられません。よく「ポジティブになろう」と言いますが、勘違いです。トップアスリートは、そう簡単にポジティブにはなれません。

特に、試合前日になると、こんなことが起きるかもしれない、こうなったら困る、ということがたくさん頭を巡って、非常にネガティブになっています。

しかし、実際には、そういう人ほどいい選手なのです。

ネガティブな思考を無理やり押さえ込んでしまうと、実際にそれが本番で起きた時、対処できなくなってしまいます。不安に向き合って、リスクを想像して対処する方法を想定しておかなければ、いいパフォーマンスは出せません。

ですから僕は、いい選手のことを「ネガティブな人」ではなく、「リスクマネージメントができる人」と言っています。

アスリートだけでなく、ビジネスパーソンでも、パフォーマンスの高い人ほどネガティブなことに目を向けることができますし、対処ができている人が多いと思います。

最低目標を立ててコントロールする

プロのアスリートは、不安に思うことをノートに書き出しながら、「このような場面になったとしても、最低限、これができるのではないか」という最低目標を作っていきます。

最低目標があると、本番でアテンションコントロールができます。

例えば、マウンドに立つピッチャーの頭のなかで、不安のチャッターが渦巻いたとします。その時に、「自分のピッチングは、右足にしっかり体重を乗せることがいちばん重要だ」という最低目標があれば、そこに注意を向けて、思考が前後の時間軸に飛びそうになるのを押さえることができるのです。

ゴルフでも、「打てる、打てる」と思うとうまくいかないものですが、自分のショットのいちばん大切なところ、例えば、「トップをしっかり作ろう」といった意識できる先を作ることにより、アテンションコントロールが利いてきます。

特にメダリストたちは、こういったこととどうしても向き合わざるを得なくなる時があるでしょう。チャッターと向き合い、折れそうになるところを、どうやって折れずにやって来たか、ということですね。

ピンチになると、普段の自分ならできているパフォーマンスができなくなってしまいますが、それでも、普段通りにやろうとすると、不安ゾーンに入ってしまいます。

いいアスリートは、そういった場面ではあえて目標のレベルを落とします。今の自分のパフォーマンスにちょうどいい目標を設定するのです。

例えば、サッカーでサイドバックの相手がすごい選手で、「これは自分には止められないかもしれない」と感じた場合、「それでも絶対止めてやる」と思うと、不安ゾーンに入ります。

そこで、「自分1人では無理だけど、隣の選手とコミュニケーションをとりながら、2人で立ち向かえばなんとか止められそうだ。だから今は、コミュニケーションをとることがいちばん大事だ」と考えて、今できる具体的な目標に落とすわけです。

チャッターをどう客観視するか

こういったスキルを持つ選手は、外からはとても強いメンタルを持っているように見られがちです。しかし、実際には、持って生まれた鋼鉄のメンタルがあるのではなく、対処能力が高いのです。

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『自分の最高を引き出す考え方』(日本能率協会マネジメントセンター) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

アスリートたちは、「チャッターをうまく客観視する練習」を、自然な形で毎日やっているとも言えます。

ただ、このことに気づいている人はまだ少ないですね。

心のつぶやきをポジティブに変える「セルフトーク」が注目されてはいますが、誤解も多いかもしれません。ただポジティブなことを言い続けていると、逆に、頭のなかにチャッターが広がってしまうこともあります。

その点、『Chatter(チャッター)』は、客観視するための方法、ネガティブなことから距離を取る方法がさまざま紹介されていて、とても参考になると思います。

(構成:泉美木蘭、後編へ続く)

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提供元:「ネガティブ思考な人」のパフォーマンスが高い訳|東洋経済オンライン

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