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2022.11.28

日本人だけが知らない「心のケア」の超重要度|「心の健康」はすべてのパフォーマンスの土台だ


日本企業は「心の健康」の重要性を理解せず、メンタルの問題に関して予防的ではなく対処的な発想になってしまっています(写真:shimi/PIXTA)

日本企業は「心の健康」の重要性を理解せず、メンタルの問題に関して予防的ではなく対処的な発想になってしまっています(写真:shimi/PIXTA)

「明日のプレゼンはうまくいくだろうか」「昨日はあんなことを言ってしまった」など、私たちは日々、頭の中で話をしている。

このような「頭のなかのひとりごと」(チャッター)はしばしば暴走し、あなたの脳を支配し、さまざまな問題を引き起こしてしまう。

一方、この「チャッター」をコントロールすることができれば、あなたは本来持っている能力を最大限に発揮できるという。

賢い人ほど陥りがちな「考えすぎ」から抜け出す方法とは何か? 今回、11月に日本語版が刊行された、40カ国以上で刊行の世界的ベストセラー、『Chatter(チャッター):「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法』について、マインドフルネスのプラットフォーム「MELON」の代表、橋本大佑氏に話を聞いた。前編、中編に続き、後編をお届けする。

『Chatter(チャッター):「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法』 クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

前編

中編

メンタルヘルスへの日本の偏見と遅れ

上場会社から中小零細企業の経営層、ご自身で事業を営まれている方まで、「実はストレスを抱えている」というご相談はたくさんあります。

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『Chatter(チャッター):「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法』 クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

フェイスブックでマインドフルネス会の告知をすると、そういったことには興味がなさそうだった方から、「参加してみたい」と連絡をいただき、意外に感じることが少なくありません。

個別にお話をさせていただき、マインドフルネスを実践すると、多くの方が「すごくいい」「ぜひ継続して、会社でも取り入れたい」とおっしゃいます。

心のマネジメントをすることで、より良いベネフィットが得られるということも理解されるようになり、日本の経営者層も、変化してきたと感じています。

ただ、みなさん個別でのご相談です。つまり、「ストレスを感じて参っているけれど、みんなには言えない」という感覚があるわけです。

メンタルの問題に関して、世の中ではタブー視されているという認識があるのかもしれません。ストレスがある、心が疲れて参っているということは、誰にでもあるはずですが、自分がそれを広く発信したときに、偏見の目で見られてしまうのではないかという恐れがあるのです。

スポーツ選手や芸能人などの話で、かなりオープンになってはきていますが、残念ながら、まだまだ日本では、メンテナンスをしなければいけないという意識が希薄であることは否めません。

かつては、「うつ病になるのは根性が足りないからだ」などと言う人もいましたが、もうそんな時代ではありません。今は、適切なマネジメントをしましょうという時代なのです。

心の安定や健康はすべての土台になる

企業では、ウェルビーイングやマインドフルネスは、「メンタルヘルス改善」より利益に直結する「生産性を上げる」という文脈のほうが注目されやすいですが、厳密に言えば、心の安定・心の健康とは、体の健康がすべての土台になるのとまったく同じものです。

働く従業員にとっては、心の健康は、ベースとなる最低限の保障のようなもので、それがパフォーマンスの向上につながるわけですから、決して切り離せません。

また、企業は、目に見えてメンタルの問題が起きている人については、ケアしなければならないという意識があるようですが、メンタルの問題というのは、グラデーションになっているということが認識できていないと感じます。

ストレスにさらされつづけていると、それが閾値を超えたとき、ご飯が食べられない、起き上がれない、会社に行けないといった症状となって表れます。それは、突然起きるのではなく、少しずつ積み重なって、あるタイミングで目に見える状態になるわけです。

ですから、実際には「うつ予備軍」と言ってもよい、ストレスにさらされた状態の人が社内にはたくさんいて、いつ閾値を超えてもおかしくはないのです。

全社的なケアをするべきなのですが、日本企業は、「病気になった人たちをどうしよう」という思考で、予防的ではなく、対処的な発想になっています。

その結果、働き方については何も変えずに、「こうなってしまったから精神科に行って下さい」「休職して就労支援を受けて下さい」と言うわけですね。

従業員の心の健康を保つことで、パフォーマンスを上げてもらい、経営を回していかなければならないのに、目に見えない予備軍のケアができていないのです。

グーグルなどの欧米の企業は、すべての人をケアするべきだという認識があり、全社研修を行っている会社も増えています。

一方、日本の場合は、目に見える問題が起きていないのに、なぜ予算を割かなければいけないのかという感覚の企業が多い印象です。

現在、注目されているリスキリングには、DXのようなハードスキルだけではなく、自分でウェルビーイングのケアをするトレーニングなど、ソフトスキルも含まれます。そのソフトスキルは、EQ(心の知能指数)やリーダーシップにも役に立つわけです。

しかし、まだまだ現実とはギャップがあると感じます。

とくに、ウェルビーイングは、はやりのキーワードではありますが、考え方が非常に広いため、経営や人事施策に落とし込んだ時に、具体的になにをすればいいのかわからないという状態にもなりがちです。

基本的には、食事、睡眠、運動がしっかりできていれば、心も体もそれなりに元気でいられます。しかし、そこは会社が直接介入できるものではありません。その点、マインドフルネスやセルフアウェアネス(自己認識能力)は、直接的にトレーニングできるスキルでもあります。

ビジネスパーソンこそチャッターの制御を

大企業で働く人々だけでなく、スタートアップの経営者も、メンタルを病んでしまい、残念ながら事業がうまくいかないという人が増えています。

カリフォルニア大学の専門家が調査したデータによれば、起業家は、普通の人にくらべて、うつになる可能性が2倍、依存症になる可能性が3倍、そして、精神科入院や自殺願望を持つ可能性が2倍高いということです。

事業を回すことに忙しくなり、セルフケアができていないわけです。そして、プレッシャーがとても大きい。

『チャッター』は、まさにそういう方を含め、ビジネスパーソンにこそ読んでいただきたい一冊です。ご自身の思考パターンや感情に自覚的であること、チャッターに意識を向けてみることが、メンタルヘルス悪化の予防の第一歩になるでしょう。

自分の頭の中のおしゃべりに気づくことができれば、対処法はたくさんあります。ですから、その自覚を得るためにも、本書で、チャッターという誰にでも起きている問題に目を向けて、知っていただきたいなと思います。

(構成:泉美木蘭)

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提供元:日本人だけが知らない「心のケア」の超重要度|東洋経済オンライン

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