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2022.11.14

人生モヤモヤしてる人に効く「最強の言葉」とは|コピーライターが見つけた名前の持つ驚きの力


言葉の力を活かす方法とは?(写真:Fast&Slow/PIXTA)

言葉の力を活かす方法とは?(写真:Fast&Slow/PIXTA)

言葉には力がある。相手を言い負かすこともできれば、相手を包み込むように癒すことも、勇気づけることもできる。言葉の使い方や選び方によって、印象が一変するのも事実である。巷には、相手にいい印象を与えるようにするノウハウ本があふれ、何度目かの語彙力ブームが起きているようにも感じられる。

ジョージア「世界は誰かの仕事でできている。」、リクルート「バイトするなら、タウンワーク。」などを世に送り出したコピーライターの私が20年近く言葉を生業として感じるのは、言葉の力が発揮されるのは、他者に対してではなく、自分に対してである。

よく「人は自分が考えているようになる」と言われるが、言葉は考えていることに形を与えたものに過ぎないため、「人は使っている言葉のようになる」と言い換えることもできよう。

そこで、言葉の力を活かす方法としてお勧めしたいのが「自分の人生に名前をつける」ことである。自分のなかにある経験と言葉に光を当て、生きる指針として作戦名とも呼べる名前に集約する。すると、名づけによる「オーナーシップ効果」が発動し、一歩を踏み出す小さな勇気を生み出すことができるのだ。

「名前をつける」とはどういうことか

コピーライターとして仕事をする際、どんな仕事も等しく難しく、重要であることに変わりはないが、特に力が入る案件がある。それは、ネーミングの仕事である。

商品やサービスといったブランドの名前や、ドラマや映画などのコンテンツの名前をつけることもある。ブランドの名前を検討する際に、コミュニケーション効率を高めるために、ブランド名と社名を統一することになり、結果的に、社名変更という大仕事に立ち会うこともある。

企業やブランドにとって名前は、自分たちを体現する言葉であるだけでなく、インターネットでの検索ワードにもなる。そのため、名前の決定までには「愛せるかどうか」「言いやすいかどうか」といった観点から、商標確認や類似チェックなどのプロセスを経る必要がある。

それだけ重要な仕事なのだが、私はまた違った角度から、その重要性を感じている。名前をつけることは、対象に命を吹き込む行為であるだけではなく、名前をつけた対象と共に生きる約束をする行為でもある、という観点である。

いままで何かに名前をつけた経験を振り返ってみてほしい。

子どもの頃、ぬいぐるみに名前をつけたことはないだろうか。私も、ぬいぐるみと出会い、自分の手元にやってきたときに名前をつけて、名前を何度も呼びながら一緒に遊んだり、同じ布団に入って眠った記憶がある。

動物と一緒に暮らしている方も、名づけをしているだろう。大切な家族として迎え入れ、名前をつける。名前を呼んだら振り返ってくれたり、近くに走り寄ってくれた瞬間の喜びは非常に大きなものである。お子さんがいらっしゃる家庭では、子どもに名前をつけるという、大仕事を経験しているだろう。

なぜ、人は名前をつけるのか?

仕事において、製品名やサービス名、会社名を考えたことのある方もいるかもしれない。企業は決して無機質なものではなく、法人という言葉が示すように人格を持っている。製品やサービスも同様で、使ってくれる人と企業が触れ合う接点であり、開発者をはじめとしたあらゆる人の体温が宿るものである。

このように多くの人が、試行錯誤をしながら、さまざまなものに名前をつけてきた経験があるのではないだろうか。

では、なぜ、人は名前をつけるのだろうか。

「名前がないと不便だから」という理由もあるかもしれない。しかし、名前をつける意味は、それだけではない。名前をつけることの本質は、その対象に愛着を持ち一緒に生きることを決めることにある。

(イラスト:『きみの人生に作戦名を。』)

(イラスト:『きみの人生に作戦名を。』)

ぬいぐるみの場合、玩具売場やお土産店に並ぶ無数のイルカのなかから、表情や触り心地、自分との相性を探り「この子だ!」と決める。

そして、名前をつける。名前をつけた瞬間から、自分の胸に抱きしめたイルカと、その他のイルカは、まったく違う存在となる。名づけには、文字通り「うちの子」になるプロセスが含まれているのだ。その瞬間を境にして、その子の名前を呼ぶたびに愛着が増し、関係を育んでいくことになる。

名づけの名人として、私は『ドラえもん』に登場するのび太君を思い出す。彼は、目の前に現れた不思議な生き物と一緒に旅へ出る際に、必ず名前をつけるのだ。

映画版では、宇宙人や恐竜、妖精などの不思議な生き物が登場し、彼ら彼女らを救うために共に冒険に出る構成が多い。そのときに、のび太君は必ず名前をつけるのである。「この子に名前をつけてあげようよ」と言って、「じゃあ○○にしよう。○○よろしくね」と言ってから物語が動き出すのだ。

一見、当たり前のように見える行動によって、愛着を持ち、自分との関係性を確かなものにする。仲間として認め、自分の一部として理解しようとする。その不思議な生き物と一時的に対立しようとも、決して裏切ることなく、最後まで支援しようとするのだ。物語の終盤で、名前を大声で呼ぶ場面は、感動なくしては見ることができないほどに感情移入してしまう。

のび太君としては「呼びやすい名前をつけよう」と思っての行動かもしれない。しかし、その効果は、本人が意図している以上の力を発揮する。あえて名前をつけるならば「オーナーシップ効果」とも呼べるような、自分とその対象が無関係な存在ではなく、確かなつながりを生みだし、相手を自分のことのように大切な存在として扱おうとする効果を生むのだ。

名づけによるオーナーシップ効果は、汎用性が高く、どんな対象にも効果を発揮する。先に述べた、生き物やブランドだけではなく、あらゆるプロジェクトやチームに対して、「自分自身」に対しても、遺憾なく機能する。次項からは、具体例について見ていくことにしよう。

成功する仕事には、いいプロジェクト名がある

私は、普段から、どんな小さなプロジェクトであっても、チームメンバーが決まった段階でプロジェクト名をチーム全員で考え、決めることを行っている。

新しい仕事が生まれるとき、違う組織から同じ目的を持った人たちが集まって協働することが多い。その場には「この事業をよいものにしたい」という共通認識はあるものの、それぞれ職能も違えば、これまで過ごしてきた環境も、提供できる価値も違う。お互いの専門性が高ければ高いほど、同じ案件に取り組むとしても、見えている世界に大きな違いがあることも多い。

そのため、腕利きのメンバーが集められたとしても、チームとして機能しはじめるには時間がかかるのが常である。みんなが好き勝手に行動したらチームは崩壊してしまうし、お互いの出方をうかがっているだけでは、プロジェクトは進捗しない。

このような場合、私はこのチームは何のために組成され、何を実現するのか、どのような状態に達すればゴールと言えるのかを言葉で定義し、合意形成することからはじめるようにしている。それがわかる旗印としての明確な言葉をつくり、作戦名に落とし込むのだ。

その定義に全員が賛同できるような状態になっていれば、皆が同じ目線になり、同じスタートラインに立ち、いい方向に進むことができるようになる。それこそ、その先は思う存分、自分の得意なことを行えばいい状態をつくり上げるのだ。個人の活動だけでなく、チームをつくるうえでも、作戦名は大きな役割を果たすことになる。

自分というプロジェクトに名前をつける

名づけの効果は、複数人で行うプロジェクトのみならず、人生という、たった一人のプロジェクトにおいても、効果を発揮する。人生に名前をつけると言っても、生まれてから与えられた名前を改名しようということではない。自分というプロジェクトの名前、つまり、人生の作戦名を検討し、名前をつけることには大きな意味があるのだ。

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『きみの人生に作戦名を。』(日経BP 日本経済新聞出版) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

名前は、その対象を呼ぶためにつけることが多い。そのため、自分に対して、名前をつけようという力は働かない。

しかし、本当の自分と偽りの自分という言葉が示すように、自分が自分から離れていくような現象も起こる。だからこそ、自分の人生を自分に取り戻すために、自分の活動に名前をつけることに意味があるのではないだろうか。

そこから私が実験台となり、自分の作戦名をつけることで、何が変わり、どんな効能を得ることができるのかを試すことにした。

事実、拙著『きみの人生に作戦名を。』は2年以上も前にテーマもタイトルも現在とほぼ同じ形で決まっており、自身による検証を行ってきた。

私は自身に「インナー・コピーライティング戦略」という作戦名をつけて、経営者や起業家と向き合い、自分ができることを試行錯誤してきた。そこで、自分の行動が作戦名によって先鋭化した実感を持つことができ、その考え方と方法を書籍にまとめるに至っている。

自分の人生を振り返り、未来に思いを馳せることで自分軸を見出す。その軸に名前をつけたものが、自分自身の作戦名である。作戦名を検討する過程で、人生を自分の元へたぐり寄せ、自分の手に取り戻すのだ。

作戦名は、自分の人生を愛し、自分のものにし、自らの価値とそこから生まれる未来を自分で指し示すことにつながる。自分の生き方に名前をつけることは、自分のオーナーシップを取り戻すことである。その方法論を簡潔にまとめたものを前回の記事(『続かないと悩む人は「一貫性の罠」にハマっている』)に記しているので、興味のある方は参考にしていただきたい。

『続かないと悩む人は「一貫性の罠」にハマっている』 ※外部サイトに遷移します

自分の人生に責任を持つ。伸びしろを自ら見出し、誰かからの依頼によって行動するのではなく、自らやりたいことを切り開いていく。そのきっかけとして、自らの作戦名を検討することは有効な方法であると確信している。

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提供元:人生モヤモヤしてる人に効く「最強の言葉」とは|東洋経済オンライン

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