2022.09.08
100均でついに130円の値札!店頭を調査してみた|半年前と比べてみたらこんなにも変化が
「9月から値上げになりますからね、今のうちに買っておいたほうがいいですよ」
レギュラーコーヒーを物色している時に、店員からそう聞かされた。「今年に入って一度上がったんですけど、もう二度目です」とも。
そのとおりだ。今、食品値上げは「再値上げ・再再値上げ」の波にさらされている。帝国データバンクによれば、2022年1月から8月時点で、2回以上値上げを行った企業は25.8%と、約4社に1社が複数回の値上げを行っていたという(食品以外も含む)。
二度にわたる値上げの波
一度目の値上げは、主な要因はコロナ禍だった。原材料費の高騰に加え、脱コロナに舵を切った国での急激な需要拡大で取引価格が上昇。さらにはコンテナ運賃など物流費の影響も受け、膨らんだコストに耐えかねて――というものだった。
二度目はそこにウクライナ情勢が加わった。小麦価格の上昇、エネルギー価格の高騰に円安要因。食品では原材料だけでなく、包装資材やトレイなどの容器価格も上がっており、1回の値上げではまるでコストが吸収しきれないという企業も少なくないという。
企業もつらいが、消費者もつらい。1円でも抑えたいのが人情で、安く買える店はどこなのか、日々頭を悩ませる人は少なくない。
筆者は半年前の3月に「100円ショップの食品は、価格的にしばらく優位では」と書いた。
以前は調味料や加工品の中にはスーパーやドラッグストアで98円で買えるものも多かったため、100円ショップより安かったのだ。しかし、この値上げラッシュで98円では収まらず100円越えに上がっていけば、逆転して100均のほうが安くなるのではと予想した。
あれから半年たち、当時の予測を上回るスピードでさまざまなものが値上げされたが、はたして100均食品の現状はどうなっているのだろう。まだ粘っているのか、それとも――。都内で食品を扱う100円ショップを回ってみた。
小麦粉は見事な「ステルス値上げ」に
100円ショップの泣き所は、100円という切りのいい価格設定だ。むろん、今では200円、300円、500円といった他価格帯戦略にシフトしているとはいえ、食品はまだ100円が王道。そのため、価格ではなく内容量を減らす「ステルス値上げ」方式で調整するしかない。
最初に調べたのは、値上げの1番バッターである小麦粉だ。3月に調査した時は「同じメーカーで100円ショップでは500gのものが、スーパーでは200円以上で売られていた」という状況。その時購入した小麦粉が手元に残っていたので比較してみたら、同じ店で買ったのに見事に分量が違う。
小麦粉は500gから300gに減量(写真:筆者撮影)
パッケージの形状が違うので差がわかりにくいが、3月に500gだったものが、8月現在で300gと、実に200gも減っていたのだ。
裏面にある「お好み焼きの作り方」には、小麦粉100gで2枚作れるとある。3月には1袋で10枚作れたのに、8月は6枚となってしまった。キャベツを多めに入れてかさ増しするしかない。
10月には輸入小麦の政府売渡価格の改定がある。売渡価格は直近6カ月間の買付価格の平均額に経費等を上乗せして算出されるが、今度の改定ではウクライナ情勢で上昇していた国際価格の影響を大きく受けて一段と上がるだろうと考えられていた。
しかし、さすがに物価への影響が大きいとして、政府は10月の政府売渡価格を据え置く方針だ。100均小麦粉の分量も、当分は300gで据え置きになるだろうか。
マヨネーズはとうとう100円の聖域を越えた?
二度目の値上げと言えば、マヨネーズもそうだ。キユーピーは3月に一度価格改定を行ったが、10月にも再値上げを予定している。
もともと100均のマヨネーズは写真の通り、130gのミニサイズだ。内容量自体は3月と変更はない。同じキユーピーのスーパー用通常商品(350g)と比べると、このくらいのサイズ感だ。
写真左から、マヨネーズ130gと350g(写真:筆者撮影)
なお、この日に見たスーパーでの店頭価格は350g入りが267円だった。ただし、驚いたことがある。ある100円ショップではこの130g入りマヨネーズに「130円」という値札が張られていたのだ。とうとう食品高騰は100円の聖域を越えさせたのか――と衝撃を受けた。
内容量で比べれば、通常商品の約37%のため、100円ならまずまず妥当だろう。しかし、さらに30円の上乗せが許容範囲かどうかわからない。そもそも130gはかなり少量で、家庭用としては100均で買うメリットはあまりない。
なお、マヨネーズ値上げの要因は食用油の高騰だ。油は昨年から上昇し続けており、同じ100均にあったキャノーラ油(265g)にも130円の値札が付いていた(通常の家庭用は1000gでスーパー店頭価格400円ほど)。あまりに高騰が続くと、そもそも100均の棚から消えてしまいかねない。
ソースはもはや「人形の家」サイズに
次はソース。6月に値上げしたブルドックソースは、理由として野菜・果実、砂糖類、食塩の急激な高騰と、包材費や燃料費のコスト高などをあげている。
スーパーで購入した中濃ソース300ml入りは235円だった。では、100均のソースは……と探したところ、絶句した。100円で買えるブルドックソースは、僅か60mlしかないのだ。
写真左から、ソース60ml、ソース300ml(写真:筆者撮影)
サイズ感は、PCのマウスと並べてみた写真を見ていただくとおわかりだろう。食卓で使うにも、人形の家でないと用は足りそうにない。キャンプ飯用に持っていくにしても少なすぎる。さすがに「このサイズに100円払う客はいるのか?」と思われ、買う理由が見つからない。
ただし、これが半年前より減っているかどうかまではわからなかった。3月時点でソースの分量をチェックした記録が残っていないからだ。とはいえ、今後さらに値上傾向が続くと、さらにボトルが細っていくのだろうか?
なお、100均にはブルドックソース以外のブランドも置いてあり、そちらはまだ“人間の家”サイズで売られている。
100均のブルドックソースとマウス(写真:筆者撮影)
ポテトチップスはスーパーと同量入り
調味料類では苦戦したが、菓子はどうだろう。
100均で売られているものは、同一ブランド商品ではスーパーで売られているより少量サイズであることが多いが、カルビーのポテトチップス(うすしお味)は、どちらも同じ60g入りだった。
もし、100円以上で売っている店が多いとすれば、100均で購入したほうが安いことになる。しかし、残念なことにスーパーの売り場で確認した同商品は98円……これはスーパーのほうを褒めるべきだろう。ただし、同商品は9月1日より値上げの予定がある。ここで100円ラインを突破するかは見守るしかない。
ポテチでは負けたが、小麦粉や砂糖・油脂が値上がりする中、スナック菓子やクッキー類もじわじわ値上げされている印象がある。菓子類の品ぞろえが豊富な100均はありがたい存在だ。なんとか粘ってほしいと願う。
2022年に値上げされた食品を中心に100均食品の現状を見てきたが、やはり値上げの波はしっかり及んでいるようだ。小麦粉はスーパーで買うほうが割安だろうし、そもそも棚にない100円ショップもあった。値上げが続くと100均の棚から消えてしまう商品も増えてくるかもしれない。
先にも書いたが、100円にこだわる以上は、スーパーなどの通常用と比べて内容量を減らして対応するしかない。
改めて比較してみると、例えば焼きそばは通常品が120g入りのところ、100均食品は106gしかなかった。ドレッシングのボトルもスーパー用は180ml入りだが100均では150mlと、地道なコスト削減策が見て取れる。
こうした努力が100均の食品を支えてきたわけだが、さてこの先はどうなるのか。また半年後にリサーチしてみたい。
(※本文中の価格は税抜き価格です)
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