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2022.08.31

投資を当てにしないサラリーマン長者の共通心得|1億円以上保有の日本人は366万人と現実味


日本の富裕層の数は世界3位(写真:Graphs/PIXTA)

日本の富裕層の数は世界3位(写真:Graphs/PIXTA)

「億万長者になりたい」「お金の心配をせずに暮らしたい」というのは多くの人の願いですが、会社員は「宝くじでも当たらない限り無理。自分には関係ない夢物語」と考えがちです。

ただ、日本には借金を除いた金融資産を百万ドル(約1.1億円)以上保有する富裕層が366万人いて、アメリカ・中国に次いで数が多いそうです(クレディスイス2021年調査)。会社員が億万長者になるというのは、そんなに荒唐無稽な話ではありません。

昨年12月から今年8月にかけて、日本の富裕層5人にインタビューをしました。5人はいずれも会社員で、遺産などに頼らず自力で1.3~5億円の純金融資産を築いた「サラリーマン長者」です。

インタビューを踏まえて、3回に分けて「サラリーマン長者」の実態と財産を築くためのポイントを紹介しましょう。1回目の今回は、彼らがどのようにして巨万の富を築いたのか、逆になぜ大半の会社員は億万長者になれないのか、という疑問について考えてみます。

支出を抑えることが肝心

財産を築くには、「収入を増やす」か「支出を抑える」かです。まず、「財産を築くうえで収入を増やすのと支出を抑えるのでは、どちらを重視していますか?」と尋ねました。

最初にインタビューしたのが、新田良平さん(仮名、40代男性)。電機メーカーに勤める傍ら20代から小型株投資を始めて、20年かけて2億円の純金融資産を築きました。新田さんから、私の質問を思い切り否定されました。

「日沖さん、それって愚問じゃないですか。投資で勝ち続けるのはプロでも難しいので、支出を抑えないと財産が残らない。でも、支出を減らすだけでは数千万円貯めるのがせいぜいで、億単位の財産は築けない。起業家とか専業投資家はわかりませんが、我々のようなサラリーマン長者は、両方ともしっかり取り組んでいるはずですよ」

それでも敢えて「収入を増やす」と「支出を抑える」のどちらを重視しているかを選んでもらったところ、新田さんを含めて5人全員が「支出を抑える」方だと答えました。

加藤匡さん(仮名、50代男性)は、物流会社に勤務し、陸運・海運株を数カ月で売買するスイングトレードで3億円の純金融資産を築きました。加藤さんは「支出を抑える方が断然大切」と力説します。

「結果的に、私の資産の大半が株式投資によるものですが、投資をまったく当てにしていません。株はやっぱり水物で、投資歴30年の今でも勝ったり負けたりです。それに対して支出を減らす方は、心掛け次第で確実に財産を築くことができます。

私の周りの個人投資家でも、ちょっと勝つと羽振り良く散財し、負けると蓄えが底を付いてしまって破産、という人がいます。投資の勝ち負けに関係なく節約生活を続けることが、何より大切です」

節約生活を続けるには?

サラリーマン長者たちの「収入を増やす」方法は次回紹介するとして、今回は「支出を抑える」方法について紹介しましょう。サラリーマン長者の倹約生活とは、どのようなものでしょうか。

松本早苗さん(仮名・40代女性)は、海外の個別株とETFへの投資で、20年足らずで1.3億円の純金融資産を築きました。学生時代は浪費家でしたが、社会人になってから節約生活を徹底しているそうです。

「コンビニや自販機で定価で物を買うことはありません。スーパーで夕方に見切り品を買うようにしています。カードをたくさん持つと金づかいが荒くなるので、一枚だけです。ブランドものには興味ありません。お酒が好きでたまに友達と飲みますが、安い店を選んでいます。着飾ったり、高級店に行きたがる友達とは、距離を置くようにしています」

ただ、ケチケチの節約生活は、あまり長続きしないのではないでしょうか。小松芳朗さんは(仮名・40代男性)、マンション投資とETFの積み立て投資の2本柱で5億円の純資産を築きました。節約生活を続けるコツについて語ってくれました。

「世間で紹介される節約術は、一通り試すようにしています。試してみて、自分の性分に合わないようなら諦めて、続けられそうなものだけをしっかり続けるようにしています。私はライブに行くのが好きなので、かなりお金を使っています。何でもかんでも節約となると、息が詰まって長続きしません。メリハリをつけるのが、長続きするコツだと思います」

見栄が最大の敵

ここまで読んで、「その程度の節約なら俺でもやっているよ」という方が多いのではないでしょうか。“塵も積もれば山となる”ということわざがあるものの、「これくらいの努力で、本当に億万長者になれるの?」という疑問も湧いてきます。

加藤匡さんは、「日常のケチケチは欠かせませんが、サラリーマン長者になるための必要条件にすぎません」として、もう一歩踏み込んだ節約が必要だと主張しています。

「支出の中でやはり金額的に大きいのは、住宅・教育・保険・自動車。これらの支出を抑えることが、ポイントだと思います。私は、ずっと安いアパートで暮らし、十分に資産を作ってからようやく最近自宅を購入しました。子供は、高校まで公立学校に通わせました。生命保険は資産を持っていれば必要ないので入っていません。自動車も都市部で暮らす私には不要です」

こうした大きな節約をするうえで障害になるのが、周りの人に対する見栄です。小松芳朗さんは、見栄を張って贅沢をしてしまうかどうかが「貧乏父さんとサラリーマン長者の分かれ目だ」と言います。

「サラリーマンは、どうしても会社の同僚を意識して見栄を張ってしまいます。とくに社宅に住んでいると、同僚の誰がどうしたという情報が入ってきます。私は大手企業で社宅に住んでいた頃はあまり節約できませんでしたが、転職して社宅を出たら俄然お金が貯まるようになりました」

日本企業では、将来が嘱望されるエリート候補も平社員のまま終わるノンエリートも同期で入社し、一緒に同じような仕事をします。そのため同期への強い対抗意識が芽生えて、同期の誰かが贅沢をすると、見栄を張って同じように贅沢をしようとします。

「同期の□□が今度、武蔵小杉のタワーマンションを買うらしい」

「あなたの同期の△△さんは、お嬢さんを私立中学に入れるらしいわよ」

「同期の○○が今度ハワイに旅行に行くらしいぞ」

人並みのことをしていたら、人並みの財産しか残りません。会社の同僚、とくに同期を強く意識して無駄な支出をしてしまうのが、大半の会社員が億万長者になれない大きな理由なのです。

本多静六に学ぶ

今回インタビューした5人は、見栄を捨て、確固たる信念で節約生活を続け(さらに着実に投資して)、サラリーマン長者になりました。では、こうした節約生活をするようになったきっかけがあったのでしょうか。

新田良平さんと松本早苗さんは、本多静六著『私の財産告白』を読んで衝撃を受け、浪費生活を止めて節約生活を始めたそうです。「是非一読を」ということでした。

本多静六(1866~1952)は東京大学教授の林学者で、日本の元祖・サラリーマン長者です。若い頃から給料の4分の1を貯金し、それを株や公共事業に投資して巨万の富を築きました。『私の財産告白』などの著作で「見栄を捨て生活を合理化する」ことを強く勧めています。

インタビューした5人や本多静六を見ると、会社員が億万長者になるのは「簡単なことではないが、決して不可能ではない」と言えそうです。次回は、サラリーマン長者になるための「収入を増やす」方法を紹介します。

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「年収900万円家族」は一歩間違えば破綻する

浪費家になる子と倹約家になる子の育ちの差

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提供元:投資を当てにしないサラリーマン長者の共通心得|東洋経済オンライン

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